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4.小さい頃のアーサーも最高です!
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「アーサー、アーサー、どこ、どーこー!アーサー!」
「ここだよマルク。マルク、うるさいよ。しー!あかちゃんがびっくりしちゃうでしょ!」
「アーサー、はんぶんこ。はんぶんこ。はやく、はんぶんこ。こないと、ぼくないちゃうよ。」
「えっ?なに?はんぶんこ?ないちゃう?」
お兄様すごいわ。アーサーがちゃんとついてきてるわ。必殺天使の泣き落としってところかしら?!
「はやく、はやく。」
「わかったから、まって。」
あれ、お父様は何処かしら?あそこだわ。魔法で隠れているのね。魔法って本当に便利ね。やっぱり勉強しなきゃ。
お兄様の声で赤ちゃんが起きちゃったじゃない。赤ちゃんお願いだからアーサーに笑ってあげて、お願いよ、泣いちゃだめよって、あれ?!……おかしいわね……。ん?!……ちょっと待って、あれ?!私、赤ちゃんになってる?!
そんなことありえる?………。深く考えるのはやめましょう。もともとが夢かもしれないし、さっきから不思議なことしか起きてなかったわ。とにかく第一印象は大事よね。
アーサーに、心を込めて微笑みます!
「マリーがアーサーをみて、わらったよ。」
あら?アーサーの顔が真っ赤になったわ。
「アーサー、マリーにあいさつしよう。」
「こんにちは!おにいちゃまですよ。」
お兄様にも感謝の気持ちを込めて微笑むわよ。
「「かわいい!!」」
二人でハモったわね。アーサーに可愛いって言ってもらっちゃった。嬉しい……。
「ほら、アーサーもあいさつして。」
「こんにちは。アーサーだよ。」
二歳のアーサーの笑顔はやばいわね。心臓が壊れそうよ。瞳がキラキラしてちょっと不安そうなのに、何だかとても期待されているような…。期待に応えないと。
アーサーにはとびっきりの笑顔と、スキンシップを贈るわ。とは言っても、赤ちゃんだからね。
アーサーの小指をぎゅっと握ったわ。赤ちゃんにはこれが限界よ。
「ずるいよアーサー。ぼくもまださわってもらってないのに。」
お兄様が指を出してきた。もちろんお兄様ともしますわよ。でも右手はアーサーの小指の余韻を楽しみたいので左手でね。
「ぼくにもあくしゅしてくれた。マリーはやさしいね。」
「うん、やさしい………。」
アーサーが更に、真っ赤になってる。泣きそうなくらい嬉しそう。
もしかして、私の恋心もう届いちゃったの?!
「かぞくだよ。アーサーもかぞく。わかった?うれしいも、はんぶんこ。」
あーあ、とうとうアーサーが泣いちゃった。声も出さずにぽろぽろぽろぽろと、次から次と大粒の涙が出てるけど、小さい頃から泣き虫だったのね。でも、お兄様の気持ち届きましたね。
これは、恋心ではなく、家族愛だったのね。私も思わずもらい泣きしちゃった。今は生まれたばかりの赤ちゃんなのに、声も出さずにすーと涙を流しちゃった。冷静に考えるとちょっとしたホラーみたいだけど、お父様もいつの間にか姿を現して泣いてるし、まぁ、いいのかな?
長かった回想?!もここまでのようで、一瞬だけ頭がくらっとして、私は寝ようとしていたベッドの上で目を覚ましたわ。知らないことだらけだったわね。
ゲームの中ではブラックリリー公爵家は、魔力が強くて、ツンケンしていて、怖いイメージだったけど、全然違ったのね。
前世と同じくらい素敵な家族だわ。とっても恥ずかしがり屋なお母様に、愛情表現が不器用なお父様。天使のように優しくて純粋なお兄様。優しくて泣き虫なアーサー。本当に素敵な家族。
前世の記憶を思い出したおかげで、明日のデビュタントで私がおこす魔力暴走も、そのせいで学園で味わうことになる悲しい出来事も、全部回避できるわよね?
とりあえず、明日のデビュタントで私が起こすはずだった魔力暴走の対策は完璧よ。だって、あまりにも不気味で、気持ち悪くて(どくろみたいな形……)内緒で捨てたお兄様から夕方もらったプレゼントの魔道具を、ゴミ箱から拾って持っていくだけだもの。
あとは攻略対象者の印象に残らないようにしないとね。真っ赤なドレスはやめましょう。大体なんでそれにしようと思ったのかしら?みんなが反対していたのに。やっぱりゲームの強制力かしら?怖いわね。だって、前世を思い出した今は絶対に着たくない色だもの。真っ赤よ、真っ赤!さっきまでは一番目立ちたくて仕方なかったのにね。この悪趣味、ゲームの強制力だとしてもありえないわ。
あとは、攻略対象者の三人には絶対に近づかないようにして、特に王太子殿下には気を付けないとね。
私はアーサーにしか興味がないもの、問題なさそうね。
それではしっかり寝て、明日に備えますか。
「ありがとう…おやすみなさい。」
天国で見守ってくれているおじいちゃんと、おばあちゃんに聞こえてるといいな。
「ここだよマルク。マルク、うるさいよ。しー!あかちゃんがびっくりしちゃうでしょ!」
「アーサー、はんぶんこ。はんぶんこ。はやく、はんぶんこ。こないと、ぼくないちゃうよ。」
「えっ?なに?はんぶんこ?ないちゃう?」
お兄様すごいわ。アーサーがちゃんとついてきてるわ。必殺天使の泣き落としってところかしら?!
「はやく、はやく。」
「わかったから、まって。」
あれ、お父様は何処かしら?あそこだわ。魔法で隠れているのね。魔法って本当に便利ね。やっぱり勉強しなきゃ。
お兄様の声で赤ちゃんが起きちゃったじゃない。赤ちゃんお願いだからアーサーに笑ってあげて、お願いよ、泣いちゃだめよって、あれ?!……おかしいわね……。ん?!……ちょっと待って、あれ?!私、赤ちゃんになってる?!
そんなことありえる?………。深く考えるのはやめましょう。もともとが夢かもしれないし、さっきから不思議なことしか起きてなかったわ。とにかく第一印象は大事よね。
アーサーに、心を込めて微笑みます!
「マリーがアーサーをみて、わらったよ。」
あら?アーサーの顔が真っ赤になったわ。
「アーサー、マリーにあいさつしよう。」
「こんにちは!おにいちゃまですよ。」
お兄様にも感謝の気持ちを込めて微笑むわよ。
「「かわいい!!」」
二人でハモったわね。アーサーに可愛いって言ってもらっちゃった。嬉しい……。
「ほら、アーサーもあいさつして。」
「こんにちは。アーサーだよ。」
二歳のアーサーの笑顔はやばいわね。心臓が壊れそうよ。瞳がキラキラしてちょっと不安そうなのに、何だかとても期待されているような…。期待に応えないと。
アーサーにはとびっきりの笑顔と、スキンシップを贈るわ。とは言っても、赤ちゃんだからね。
アーサーの小指をぎゅっと握ったわ。赤ちゃんにはこれが限界よ。
「ずるいよアーサー。ぼくもまださわってもらってないのに。」
お兄様が指を出してきた。もちろんお兄様ともしますわよ。でも右手はアーサーの小指の余韻を楽しみたいので左手でね。
「ぼくにもあくしゅしてくれた。マリーはやさしいね。」
「うん、やさしい………。」
アーサーが更に、真っ赤になってる。泣きそうなくらい嬉しそう。
もしかして、私の恋心もう届いちゃったの?!
「かぞくだよ。アーサーもかぞく。わかった?うれしいも、はんぶんこ。」
あーあ、とうとうアーサーが泣いちゃった。声も出さずにぽろぽろぽろぽろと、次から次と大粒の涙が出てるけど、小さい頃から泣き虫だったのね。でも、お兄様の気持ち届きましたね。
これは、恋心ではなく、家族愛だったのね。私も思わずもらい泣きしちゃった。今は生まれたばかりの赤ちゃんなのに、声も出さずにすーと涙を流しちゃった。冷静に考えるとちょっとしたホラーみたいだけど、お父様もいつの間にか姿を現して泣いてるし、まぁ、いいのかな?
長かった回想?!もここまでのようで、一瞬だけ頭がくらっとして、私は寝ようとしていたベッドの上で目を覚ましたわ。知らないことだらけだったわね。
ゲームの中ではブラックリリー公爵家は、魔力が強くて、ツンケンしていて、怖いイメージだったけど、全然違ったのね。
前世と同じくらい素敵な家族だわ。とっても恥ずかしがり屋なお母様に、愛情表現が不器用なお父様。天使のように優しくて純粋なお兄様。優しくて泣き虫なアーサー。本当に素敵な家族。
前世の記憶を思い出したおかげで、明日のデビュタントで私がおこす魔力暴走も、そのせいで学園で味わうことになる悲しい出来事も、全部回避できるわよね?
とりあえず、明日のデビュタントで私が起こすはずだった魔力暴走の対策は完璧よ。だって、あまりにも不気味で、気持ち悪くて(どくろみたいな形……)内緒で捨てたお兄様から夕方もらったプレゼントの魔道具を、ゴミ箱から拾って持っていくだけだもの。
あとは攻略対象者の印象に残らないようにしないとね。真っ赤なドレスはやめましょう。大体なんでそれにしようと思ったのかしら?みんなが反対していたのに。やっぱりゲームの強制力かしら?怖いわね。だって、前世を思い出した今は絶対に着たくない色だもの。真っ赤よ、真っ赤!さっきまでは一番目立ちたくて仕方なかったのにね。この悪趣味、ゲームの強制力だとしてもありえないわ。
あとは、攻略対象者の三人には絶対に近づかないようにして、特に王太子殿下には気を付けないとね。
私はアーサーにしか興味がないもの、問題なさそうね。
それではしっかり寝て、明日に備えますか。
「ありがとう…おやすみなさい。」
天国で見守ってくれているおじいちゃんと、おばあちゃんに聞こえてるといいな。
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