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戦争
苦悩するセドリック辺境伯2
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それにしてもその敵国の規模と言うのが無茶苦茶だった。
動員兵数12万、内訳は、騎馬兵3万、剣歩兵4万、槍兵2万、弩弓兵1万、バリスタ兵2万だった。バリスタとは投石器の事だが、通常5人で一基を稼働させるので、バリスタだけで4000基もあると言う事だ。
大してこの辺境伯領の兵数は、総勢で1万が精々なのだそうだ。
しかも籠城するにしても弩弓やバリスタもほぼ皆無・・・
「と、言う訳でこの領地に勝ち目は塵ほども無いのだ。」
「ふぅん、成程、でもこの領地には、かつての英雄級、A級冒険者に片足突っ込んでたギルドマスターに、元勇者まで居るじゃない、確かに数の脅威は拭えないけど、そこまで悲観する事でもあ無いんじゃない?」
「何を言うか、かの者達は既に戦える状態には無い筈だ。」
「所がそんな事無いんだよね~、ギルマスは身体強化のスキルを手に入れて今ではA級以上の強さだし、かつての勇者であるカイエン殿は全身義体を手に入れたおかげでもはや不死身の一人一個師団級なんだけど?」
「え?・・・・・」
「あ、もしかして暗部居るのに知らなかったの?」
ここにジュドーさんが割って入って来た。
「失礼いたしますセドリック様、私は幾度かお話申し上げた筈ですが、他の案件に頭を抱えて居た為にお聞き届けに成らなかったのです。」
道理で雰囲気が只の執事にしては隙が無いな、なんて思ってたけど、なるほどこの人がこの領地の抱える暗部の長みたいな人なのだろうな、納得だ。
「そうか、私はどうも目先の事に集中しすぎる所が有るのだが、判っては居るのだが治らないものだな、父にも散々、お前はもう少し冷静に戦況を見渡す力を付けよと幾度も言われて居ると言うのに。
やはり、兄が生きて居れば良かったのだ、私には荷が重いのだ。」
あ、成程、次男だったんだよね、この人。
そして何で死んだかは知らないが、戦況を見渡す才能みたいなのを持っていた兄がすでに亡くなって居て、ここを継いだのがこの人、と言う事か。
「いや、あんただってそう捨てたもんじゃないんじゃ無いの?
私みたいな平民に対して、手伝ってくれなんて頭を下げられる貴族なんかまず居ないよ?
それに、結構やり手だと思うし。」
「そ、そう言って貰えると少しうれしい。」
「私は、私の敵に回る者には容赦しないけど、私の味方になってくれる者に対しては何処までも手を貸してあげる。
私を庇って利き腕をなくしたキースに腕を作ってやったように、私の秘密を守ると約束してくれたギルマスに身体強化を伝授したように、かつての勇者に全身義体を用意し、以前以上の強さを与えたように、ね。」
「な、手を貸してくれると言うのか?
と言うか、今言って居た事は全て君の仕業と言う訳なのだな?
全く持って何者だ、君は、本気で地上に降り立った女神か何かでは無いのかね?」
「私は、只の科学者だよ。」
「科学者と言うのが何かは解らんが、兎に角味方してくれると言う事でよろしいのか?」
「勿論そのつもりだよ。」
「ありがとう、感謝する。
ついては隣国、いや既に敵国と言うべきか。
敵国であるランクル帝国は、我が国の倍以上もの領土を誇る大国だ。
その国が今、戦争の準備をして居ると言う事は、恐らく此方に攻め込んで来るのは来月無いし再来月辺り。
恐らくは真夏になって装備の鎧等を着て居られなくなる時期を避けて来るだろう、3か月後になってしまうと暑くて戦争どころでは無い。
鉄の鎧は焼けると熱いからな。」
そうか、夏はそれほど暑いのか、面倒だな、私は暑がりなのだ。
「一つ聞きたいけどいい? もう一つの隣国のユーノス公国って奴には援軍とか頼めないの?仲は悪く無いのでしょう?」
「ああ、難しいだろう、もしも援軍が出されたとしても、来月では到底間に合うものでも無い、その上でかの国は我が国とランクル帝国の諍いに対しては不介入を貫いて居る、所謂何方とも交流が有るので何方か片方に肩入れは出来ないと言う事だ。」
「そうか、では、少々ずるい方法でここの軍を強化するしかないよね。
この領内で一番大きな鍛冶工房を貸して貰えないか?」
「何をするんだ?」
「そんなのもう、強化装甲《パワードスーツ》で武装するしか無いっしょ?」
私の時代と比べたら二~三世代前の装備だが、この世界の現状ならば十分すぎる戦力だ、精々20機も作れば何とでもなるんじゃないかな。」
ほかにも、大剣二本振り回せる冒険者に5tくらいある大岩放り投げる剛力親父に、10時間位戦い続けても息の一つも切らせない化け物勇者、そして最大火力として劣化ウラン弾のミニガンとフォトン粒子弾装填したグレネードランチャー乱射する美少女、これだけ居れば負けは無かろう。
ん?美少女だろ?
自分で言って何が悪い?
「その、強化装甲?とは何だね?」
「まぁそれは見てのお楽しみでしょ。」
動員兵数12万、内訳は、騎馬兵3万、剣歩兵4万、槍兵2万、弩弓兵1万、バリスタ兵2万だった。バリスタとは投石器の事だが、通常5人で一基を稼働させるので、バリスタだけで4000基もあると言う事だ。
大してこの辺境伯領の兵数は、総勢で1万が精々なのだそうだ。
しかも籠城するにしても弩弓やバリスタもほぼ皆無・・・
「と、言う訳でこの領地に勝ち目は塵ほども無いのだ。」
「ふぅん、成程、でもこの領地には、かつての英雄級、A級冒険者に片足突っ込んでたギルドマスターに、元勇者まで居るじゃない、確かに数の脅威は拭えないけど、そこまで悲観する事でもあ無いんじゃない?」
「何を言うか、かの者達は既に戦える状態には無い筈だ。」
「所がそんな事無いんだよね~、ギルマスは身体強化のスキルを手に入れて今ではA級以上の強さだし、かつての勇者であるカイエン殿は全身義体を手に入れたおかげでもはや不死身の一人一個師団級なんだけど?」
「え?・・・・・」
「あ、もしかして暗部居るのに知らなかったの?」
ここにジュドーさんが割って入って来た。
「失礼いたしますセドリック様、私は幾度かお話申し上げた筈ですが、他の案件に頭を抱えて居た為にお聞き届けに成らなかったのです。」
道理で雰囲気が只の執事にしては隙が無いな、なんて思ってたけど、なるほどこの人がこの領地の抱える暗部の長みたいな人なのだろうな、納得だ。
「そうか、私はどうも目先の事に集中しすぎる所が有るのだが、判っては居るのだが治らないものだな、父にも散々、お前はもう少し冷静に戦況を見渡す力を付けよと幾度も言われて居ると言うのに。
やはり、兄が生きて居れば良かったのだ、私には荷が重いのだ。」
あ、成程、次男だったんだよね、この人。
そして何で死んだかは知らないが、戦況を見渡す才能みたいなのを持っていた兄がすでに亡くなって居て、ここを継いだのがこの人、と言う事か。
「いや、あんただってそう捨てたもんじゃないんじゃ無いの?
私みたいな平民に対して、手伝ってくれなんて頭を下げられる貴族なんかまず居ないよ?
それに、結構やり手だと思うし。」
「そ、そう言って貰えると少しうれしい。」
「私は、私の敵に回る者には容赦しないけど、私の味方になってくれる者に対しては何処までも手を貸してあげる。
私を庇って利き腕をなくしたキースに腕を作ってやったように、私の秘密を守ると約束してくれたギルマスに身体強化を伝授したように、かつての勇者に全身義体を用意し、以前以上の強さを与えたように、ね。」
「な、手を貸してくれると言うのか?
と言うか、今言って居た事は全て君の仕業と言う訳なのだな?
全く持って何者だ、君は、本気で地上に降り立った女神か何かでは無いのかね?」
「私は、只の科学者だよ。」
「科学者と言うのが何かは解らんが、兎に角味方してくれると言う事でよろしいのか?」
「勿論そのつもりだよ。」
「ありがとう、感謝する。
ついては隣国、いや既に敵国と言うべきか。
敵国であるランクル帝国は、我が国の倍以上もの領土を誇る大国だ。
その国が今、戦争の準備をして居ると言う事は、恐らく此方に攻め込んで来るのは来月無いし再来月辺り。
恐らくは真夏になって装備の鎧等を着て居られなくなる時期を避けて来るだろう、3か月後になってしまうと暑くて戦争どころでは無い。
鉄の鎧は焼けると熱いからな。」
そうか、夏はそれほど暑いのか、面倒だな、私は暑がりなのだ。
「一つ聞きたいけどいい? もう一つの隣国のユーノス公国って奴には援軍とか頼めないの?仲は悪く無いのでしょう?」
「ああ、難しいだろう、もしも援軍が出されたとしても、来月では到底間に合うものでも無い、その上でかの国は我が国とランクル帝国の諍いに対しては不介入を貫いて居る、所謂何方とも交流が有るので何方か片方に肩入れは出来ないと言う事だ。」
「そうか、では、少々ずるい方法でここの軍を強化するしかないよね。
この領内で一番大きな鍛冶工房を貸して貰えないか?」
「何をするんだ?」
「そんなのもう、強化装甲《パワードスーツ》で武装するしか無いっしょ?」
私の時代と比べたら二~三世代前の装備だが、この世界の現状ならば十分すぎる戦力だ、精々20機も作れば何とでもなるんじゃないかな。」
ほかにも、大剣二本振り回せる冒険者に5tくらいある大岩放り投げる剛力親父に、10時間位戦い続けても息の一つも切らせない化け物勇者、そして最大火力として劣化ウラン弾のミニガンとフォトン粒子弾装填したグレネードランチャー乱射する美少女、これだけ居れば負けは無かろう。
ん?美少女だろ?
自分で言って何が悪い?
「その、強化装甲?とは何だね?」
「まぁそれは見てのお楽しみでしょ。」
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