46 / 158
ストバーラ帝国編
緊急合同依頼
しおりを挟む
バチード支部に初めて来た日から3ヶ月。冬真っ只中だがこの国は1年中暖かい。さすがに朝と夜は冷え込むが、外套を羽織れば問題ない。
僕と兄さんはいまだに勧誘を受けていた。最近はこの人達本当にめげないなと感心しているほどだ。
「アイザック!今日こそ『鋼鉄の男』に加入してもらうぞ!」
「断る」
「ルカ、『乙女連合』に入ってトップを目指すぞ!美少年枠は君しかいない!」
「お断りします」
「アルトゥロ、さすがにしつこいんじゃないか?むさ苦しい見た目同様、勧誘もスマートじゃないとは……やれやれ」
「あー?セレナお前最近ルカのストーカーってあだ名つけられてるぜ?お前には負けるわ」
「何っ!誰だそんなあだ名をつけたのは!?成敗してやる」
「そこまでは知らねーよ」
いつ見てもアルトゥロとセレナは仲がいい。本人達は否定するが。今日も勧誘はそこそこにふたりで言い合っている。
一見するとセレナがアルトゥロにキャンキャン噛みついているだけだが、痴話喧嘩に巻き込まれた気分だ。
「はーい、おふたりさん。そこまでにしときな。アイザック、いつもうちのリーダーがすまんな」
「別に」
「アルトゥロ、早く依頼決めるぞ」
「すまんな、エクトル。セレナのやつがな……」
「なっ!私のせいにする気か!」
「うるさい。もう行くよ」
「パウラ!あの男が!」
「後で聞く。ルカごめんね」
「パウラは気にしないで」
痴話喧嘩の後に仲間が回収していくのも定番の流れになった。
エクトルは『鋼鉄の男』の副リーダー。斥候で攻撃魔法も得意、なんとも器用な男だ。パーティーを陰で支えている実力者である。アルトゥロも彼には頭が上がらないようだ。
僕達もそろそろ依頼を確認するかと動いた瞬間、入り口の扉が音を立てて勢いよく開いた。
「緊急依頼です!銀級以上のパーティーはいらっしゃいますか!」
「金級パーティー『鋼鉄の男』だ。全員揃ってる」
「銀級パーティー『乙女連合』だ。何があった?」
「オークの集落です!数は150!森の浅いところにいつのまにか集落ができてました。オークジェネラルがいる可能性もあります」
「わかった!セレナ、行くぞ」
「ああ」
オークが150体か。オーク自体は銅級相当の強さだが群れになると厄介だ。
「よし!アイザックとルカも来てくれ!」
「は?セレナお前正気か?」
「私達の活躍を見たら、気が変わってパーティーに入りたくなるかもしれないだろ!それにアイザックはあきらかに実力者だ。お前も確かめてみたいだろ」
「まあ、たしかに。セレナお前こんな時だけ頭が冴えるな」
「お前はいつも一言余計なんだよ!」
なんだかいきなり巻き込まれた気がする。断ってもいいが今は緊急事態だ。素直に従おう。
「兄さん、僕達も行こうか」
「そうだな」
合同依頼は本気の魔法が使えないので、あまり受けたくなかったが仕方ない。僕は鉄級だし、戦闘は期待されてないみたいだから楽をさせてもらおう。
僕と兄さんはいまだに勧誘を受けていた。最近はこの人達本当にめげないなと感心しているほどだ。
「アイザック!今日こそ『鋼鉄の男』に加入してもらうぞ!」
「断る」
「ルカ、『乙女連合』に入ってトップを目指すぞ!美少年枠は君しかいない!」
「お断りします」
「アルトゥロ、さすがにしつこいんじゃないか?むさ苦しい見た目同様、勧誘もスマートじゃないとは……やれやれ」
「あー?セレナお前最近ルカのストーカーってあだ名つけられてるぜ?お前には負けるわ」
「何っ!誰だそんなあだ名をつけたのは!?成敗してやる」
「そこまでは知らねーよ」
いつ見てもアルトゥロとセレナは仲がいい。本人達は否定するが。今日も勧誘はそこそこにふたりで言い合っている。
一見するとセレナがアルトゥロにキャンキャン噛みついているだけだが、痴話喧嘩に巻き込まれた気分だ。
「はーい、おふたりさん。そこまでにしときな。アイザック、いつもうちのリーダーがすまんな」
「別に」
「アルトゥロ、早く依頼決めるぞ」
「すまんな、エクトル。セレナのやつがな……」
「なっ!私のせいにする気か!」
「うるさい。もう行くよ」
「パウラ!あの男が!」
「後で聞く。ルカごめんね」
「パウラは気にしないで」
痴話喧嘩の後に仲間が回収していくのも定番の流れになった。
エクトルは『鋼鉄の男』の副リーダー。斥候で攻撃魔法も得意、なんとも器用な男だ。パーティーを陰で支えている実力者である。アルトゥロも彼には頭が上がらないようだ。
僕達もそろそろ依頼を確認するかと動いた瞬間、入り口の扉が音を立てて勢いよく開いた。
「緊急依頼です!銀級以上のパーティーはいらっしゃいますか!」
「金級パーティー『鋼鉄の男』だ。全員揃ってる」
「銀級パーティー『乙女連合』だ。何があった?」
「オークの集落です!数は150!森の浅いところにいつのまにか集落ができてました。オークジェネラルがいる可能性もあります」
「わかった!セレナ、行くぞ」
「ああ」
オークが150体か。オーク自体は銅級相当の強さだが群れになると厄介だ。
「よし!アイザックとルカも来てくれ!」
「は?セレナお前正気か?」
「私達の活躍を見たら、気が変わってパーティーに入りたくなるかもしれないだろ!それにアイザックはあきらかに実力者だ。お前も確かめてみたいだろ」
「まあ、たしかに。セレナお前こんな時だけ頭が冴えるな」
「お前はいつも一言余計なんだよ!」
なんだかいきなり巻き込まれた気がする。断ってもいいが今は緊急事態だ。素直に従おう。
「兄さん、僕達も行こうか」
「そうだな」
合同依頼は本気の魔法が使えないので、あまり受けたくなかったが仕方ない。僕は鉄級だし、戦闘は期待されてないみたいだから楽をさせてもらおう。
84
お気に入りに追加
1,046
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
気付いたら囲われていたという話
空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる!
※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!
ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて
素の性格がリスナー全員にバレてしまう
しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて…
■
□
■
歌い手配信者(中身は腹黒)
×
晒し系配信者(中身は不憫系男子)
保険でR15付けてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる