Deity

谷山佳与

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第1章 はじめまして平安京編

梨壷。

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梅壷へ戻ると春宮様の説明は終っており、何故か私は好奇の目に晒された。何故??
皆が移動してもしなくてもどちらでも構わないので、舞えるスペースを確保すると、簡易の祓いの舞を舞い始める。
1度全体を完全に浄化した後なのでいとも簡単に浄化は完了する。
琥珀に鈴を出してもらうと軽やかに舞浄化を終わらせれば、拍車喝采だった。
うん、皆いい顔。大丈夫そうだね。
にっこり笑えば、頬を染められた。今のどこにトキメキポイントあるの?
首をかしげながらも、春宮様のもとへ行き報告をすれば、ありがとう。と言われ頭を撫でられた。
周りがざわついたのは言うまでもない。

春宮様付きの陰陽師になって早1ヶ月。
梨壷の春宮様のお住いにて強制的に寝食を共にする様になった。
この時代の皇太子としては、かなりフランクな気がする。
お陰で色々と話す機会があり、非常に助かっている。
今も、お仕事をされている隣で待機中です。

何故か春宮様は、私がひとり歩きする事を非常に嫌がるのだ。
父親に何か言われたとは、思えない。
女だと知れれば、違った形ではあれ1度安倍邸へ戻されるだろう。
その後は安易に想像ができる。
パタパタと鳥の羽音が聞こえそちらへ向けると、1羽の鳥が室内へ入ってきた。
もちろん、これは晴明様からの式だ。

「晴明からか?」
「はい。今朝私が飛ばした文の返事でしょう。」

私の手が触れれば文となる。

あれから変なことも起こらず平穏な日々を送っている。
そろそろ安倍邸に戻っていい気もするがそれを許さないのが春宮様で、今もまだ梨壷に住んでいる。
そして、あの事件以降梅壷の方々には良くしてもらっている。
ありがたい。

「春宮様、私1人・・でそろそろ動きたいのですが。」
「あれ程方向を間違うのにか?」
「ぐっ、それは、大丈夫です。ちょっと確認したいこともございますし。春宮様が一緒だと確認できませんし。」
「ダメだ。」
「何でですか?知ってます?最近春宮様は私と恋仲だとか言われているんですよ?つまりは男色かと疑われて居るのですが!この1ヶ月で!」
「好きに言わせておればいいだろう?」
「良くないです!!」

全力でキッパリ言えば、春宮様は少し驚いた表情をした。
声を荒らげたのは事実だし、それに驚いたとしても驚きすぎだ。

「時平、ちょっといいか?」
「あ、えっ?えっ?見えてる?!」
「力を強めたからな。」
「時平、そこの方はどなたかな?」

春宮様の言葉を無視した、朱桜は私をヒョイっと抱き上げた。

「ちょっと!えと、春宮様一刻程下がらせて頂いても?」
その人・・・が誰か答えたらと、何処に行くかを伝えてくれれば。」
「私が使役している者です。普通は見えません。局に1度下がります。」
「一刻したら、迎えに行く。」

その言葉を聞くや否や朱桜は今私が寝泊まりしている局へと向かってくれた。
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