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第4章 終わりと始まり編
永遠の輪廻 2。
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翌朝目を覚ますと隣に菊華の姿は無く、一気に血の気が引き慌てて母屋に出てくると青龍殿に寄りかかり、寝息を立てている菊華の姿が目に入った。
思わずその姿に、しゃがみこみ、盛大なため息をついてしまった。
きっと俺が寝ている間に何かがあり、今のこの状況になったのだろう。
「菊華、おはよう。」
と、二人に近づき挨拶をすれば菊華はゆっくりと目を覚ます。
「・・・ん、おはようございます。春仁様。」
「姫様、起きていらっしゃいますか?」
格子を開けながら室内に入ってきたのは、すっかり女房姿が板についた、雪華だった。
「おはよう雪華。悪いのだけれど、朝の支度が終わったあと、真っ白な衣装を準備してくれる?鎮魂用に。それが終わったら禊の準備を。」
「・・・畏まりました。」
私の意図を正確に汲み取ってくれた、雪華は私の着替えを几帳の後ろでし朝餉の準備をしたあと、北舎へ戻った。
衣装関連は雪華の方が詳しいし、どこから引っ張ってくるのか分からないが様々な衣装を持っている。
「青龍も玄武の禊の準備を手伝ってくれる?」
「御意に。」
「よろしくね。白虎、一先ず内裏を中心に都全体の重い空気を入れ替えてきて頂戴。」
「分かった。」
着替え終わり几帳から出てくるとそれぞれに指示を出し、春仁様のもとへと移動する。
指示を出している間、やってきた敦平様と共に今日の仕事の打ち合わせをしているようだった。
ある程度は説明をしていなければならない。
話の区切りがついた所で、声をかける。
「春仁様、今よろしいですか?」
「あぁ。話は終わった?」
「えぇ、終わりました。ついでにちょっと儀式を致しますので、篝火を準備させていただきたいのですが、どちらに許可をいただけましたら宜しいでしょうか?」
「篝火?」
「えぇ、鎮魂祭の小さいものを想像していただければいいのですが。」
「あぁ。それだったら、陰陽頭に許可を取れば大丈夫。あの者の状態が分かったんだな?」
「はい。あのまましておきますと悪しきものにまた囚われるでしょうからその前に。」
「何が必要だ?」
「火を付ける木さえあれば大丈夫です。それも陰陽頭に聞いてみます。」
「ふむ。そうしたら、私も陰陽寮に行こう。時平で行くのか?」
「いえ、菊華で行きます。きっと衣装が巫女装束でしょうから。」
そう言い、ひとまずは朝餉を食べながら、のんびり雪華が戻ってくるのを待つことにした。
雪華が戻ってきたのは、丁度朝餉を食べ終えた頃。
荷物運びに青龍を使い、必要な道具一式を母屋に運び込んだ。
予想通り雪華が持ってきたのは、巫女装束、千早だった。
さすがと言うべきか。
正直巫女装束で大内裏を歩けば、奇異な目で見られるだろうし、春宮妃ご乱心とか言われたらたまったものじゃない。
手っ取早く、青龍辺りに運んでもらうことにしよう。
「青龍、このまま一度陰陽寮に連れていってもらえるかしら?」
「・・・・そういう事だな。」
「そうなの。」
にっこり笑を浮かべれば、意図を察したらしくため息をつかれた。
「親王も一緒か?」
「春仁様は今から執務でしょうから、私だけよ。目標は陰陽頭殿。春仁様も気を付けて行ってらっしゃいませ。」
今日も今日とて、春仁様に加護を付け、何か言いたげな表情を浮かべていたが諦めて、お上のところへ出仕させると蒼月の腕に抱えられ、念のため檜扇を持ち陰陽寮を目指した。
思わずその姿に、しゃがみこみ、盛大なため息をついてしまった。
きっと俺が寝ている間に何かがあり、今のこの状況になったのだろう。
「菊華、おはよう。」
と、二人に近づき挨拶をすれば菊華はゆっくりと目を覚ます。
「・・・ん、おはようございます。春仁様。」
「姫様、起きていらっしゃいますか?」
格子を開けながら室内に入ってきたのは、すっかり女房姿が板についた、雪華だった。
「おはよう雪華。悪いのだけれど、朝の支度が終わったあと、真っ白な衣装を準備してくれる?鎮魂用に。それが終わったら禊の準備を。」
「・・・畏まりました。」
私の意図を正確に汲み取ってくれた、雪華は私の着替えを几帳の後ろでし朝餉の準備をしたあと、北舎へ戻った。
衣装関連は雪華の方が詳しいし、どこから引っ張ってくるのか分からないが様々な衣装を持っている。
「青龍も玄武の禊の準備を手伝ってくれる?」
「御意に。」
「よろしくね。白虎、一先ず内裏を中心に都全体の重い空気を入れ替えてきて頂戴。」
「分かった。」
着替え終わり几帳から出てくるとそれぞれに指示を出し、春仁様のもとへと移動する。
指示を出している間、やってきた敦平様と共に今日の仕事の打ち合わせをしているようだった。
ある程度は説明をしていなければならない。
話の区切りがついた所で、声をかける。
「春仁様、今よろしいですか?」
「あぁ。話は終わった?」
「えぇ、終わりました。ついでにちょっと儀式を致しますので、篝火を準備させていただきたいのですが、どちらに許可をいただけましたら宜しいでしょうか?」
「篝火?」
「えぇ、鎮魂祭の小さいものを想像していただければいいのですが。」
「あぁ。それだったら、陰陽頭に許可を取れば大丈夫。あの者の状態が分かったんだな?」
「はい。あのまましておきますと悪しきものにまた囚われるでしょうからその前に。」
「何が必要だ?」
「火を付ける木さえあれば大丈夫です。それも陰陽頭に聞いてみます。」
「ふむ。そうしたら、私も陰陽寮に行こう。時平で行くのか?」
「いえ、菊華で行きます。きっと衣装が巫女装束でしょうから。」
そう言い、ひとまずは朝餉を食べながら、のんびり雪華が戻ってくるのを待つことにした。
雪華が戻ってきたのは、丁度朝餉を食べ終えた頃。
荷物運びに青龍を使い、必要な道具一式を母屋に運び込んだ。
予想通り雪華が持ってきたのは、巫女装束、千早だった。
さすがと言うべきか。
正直巫女装束で大内裏を歩けば、奇異な目で見られるだろうし、春宮妃ご乱心とか言われたらたまったものじゃない。
手っ取早く、青龍辺りに運んでもらうことにしよう。
「青龍、このまま一度陰陽寮に連れていってもらえるかしら?」
「・・・・そういう事だな。」
「そうなの。」
にっこり笑を浮かべれば、意図を察したらしくため息をつかれた。
「親王も一緒か?」
「春仁様は今から執務でしょうから、私だけよ。目標は陰陽頭殿。春仁様も気を付けて行ってらっしゃいませ。」
今日も今日とて、春仁様に加護を付け、何か言いたげな表情を浮かべていたが諦めて、お上のところへ出仕させると蒼月の腕に抱えられ、念のため檜扇を持ち陰陽寮を目指した。
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