Deity

谷山佳与

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第2章 目覚めと、自覚と、狙う者編

藤の一族。

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安倍邸に戻ってきた私達3人は、遅い時刻にも関わらず晴明様の部屋へと招かれた。
帰宅早々式が飛んできたのもあるが、時親様が帰宅途中晴明様にお伺いを立てていたらしい。
たまたま、書物を読んでいる途中だったらしく、すぐさま案内された状況になった。

「して、何があった?」

台所からお茶を人数分入れてきた私は、お茶を配ると時親様と章平様の後ろに座った。

「都に住む雑鬼達が、仲間が何人かやられたと、いい、半ば強引にとある寂れた屋敷に行ったのですが、ざっと見た感じ何もなく、気配も普通の廃屋だったのですが、姫さんがとある術を使われまして。その、藤の一族・・・・が関わっている可能性があります。」

章平さまが先程の状況を説明をする。
これは晴明様にも一度確認をしていただいた方がよさそうだなと、感じた私は手のひらに収まるサイズの水色の石を取り出した。

「実際に見てもらったほうが良いかと思います。」

皆の前に石を置くと素早く印を結ぶ。
ふっと息を吹きかける様にすれば、淡い光を放った石は天井に先ほどの屋敷で見た、記憶を再生する。
この術自体は私のオリジナルで、実家の書庫にある歴代当主様達の術とかを参考に、朱桜と琥珀に手伝ってもらって作り出したものなので、私以外の人間が使えるかどうかは分からないけれども、分家のはっきりと視える術者は使えたのよね。再生は、一族の人間なら誰でも出来るけど。
ぼんやりと、再び流れ出した映像を見上げながら、先ほど気になった少年を追いながら感じた違和感を探す。
どこで会ったことのある様な既視感は、夢で見たのか現実で見たのか。
膨大な記憶の山から糸口となる記憶を探る。

「・・・これは、確かに藤一族の姫君じゃな。藤一族の姫が嫁いでおるとなると、皇族か?上位貴族の家か。それが寂れているとなると勢力争いで、滅んだ家か。妃捺様、こちらは私でも使用できますかな?」
「えと、この絵を流すことをでしょうか?それとも術自体でしょうか?」
「ひとまずは、この絵を流す方ですな。」
「問題はないかと存じます。私の霊力で反応するようになっておりますので、私の霊力の一番初めは晴明様ですから、触れれば再生出来ますわ。」
「では、術を使うとなるのは?」
「そうですね。この術は私独自の術となりますが、霊力があれば使用できるかと。視ることが出来ても使用できない者もいましたが、基本的には大丈夫ではないでしょうか?」

実際にこの術を教えたのは、兄二人と妹。あと分家の兄さま方だ。
兄様方は使用できた。七海は、記憶させることができなかった。
分家の兄様達は、長時間の記録はダメだった。
どこが境界線か分からないけれども、晴明様と章平様は余裕だろうと思ったし、時親さまもその場で視る分はできる可能性が高い。霊力はあるのだし。

「術に関しましては、今度お時間あるときにでも説明はさせていただきます。それで藤の一族というのは、藤原の一族でしょうか?」

先程から出ている『藤の一族』という条件から、この時代の勢力図を展開すれば、ほぼ藤原一族の占領だった気がする。
私の疑問はそこで、まぁ分家の可能性もあるけれども、九割その一族で間違いないのかな?
三人の反応を見てもそうだろうな。と私は思った。
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