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一緒にいたい★

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 袖をツン、と引っ張ってリクエストすると、体が浮いた。グレンに抱き上げられている。
 仮眠室の窓際にキノコを置くと、寝台にそっと座るように置かれた。グレンの白い毛並みに月の光が当たり、表面が銀色に光った。綺麗だ、とシリルは思った。
 服を脱がされ寝台に押し倒されると、すぐにグレンは胸を責めてきた。男の乳首と獣の乳首は形状が似ているのだろう、痛いくらいに吸われたかと思うと、舐めしゃぶられる。

「グ、グレンっ、まだ僕、おっぱい出ないから……っ」

 遠回しに断ってみたが、グレンは意に介さず胸の頂きを交互に吸い続ける。胸を押さえる五本指が一気に開き、ぐっ、ぐっと肉球でリズミカルに押してくる。子猫が母猫の乳を出す時の仕草と同じで微笑ましい。

「や、だめ。くすぐったいっ」

 体を跳ねさせると、言葉を封じるように唇を奪われた。

「ん……」

 股のあいだの小ぶりなものを握られていることに、シリルは気付いた。そこからも尻の隘路からも透明な体液がひっきりなしに漏れ出し、シリルが発情していると体で告げる。シュッと音を立てて陰茎をこすり上げられ、声を必死で押し殺した。自慰をしたこともあるが、発情時はだれかの熱が欲しくて仕方なくなるし、それが一番治まるような気がする。

「首輪が邪魔だな。……うなじが舐められない」

 鎖骨のくぼんだところと乳首を往復しながら、グレンが呟く。

「母さんに預けてるんだ。で、でも……んっ、グレンと一緒になるって報告がてら鍵を外してもらうよ」
「シリル、そこまで考えてくれているのか。……俺と番になっていいのか?」
「……はい」

 体の上に屋根のように覆いかぶさる、ひとまわりも大きな獣人を見つめる。曇りのない澄んだ瞳は、雨上がりの青空のようだ。

「シリル、もうだれにもふれさせない。小さい頃から、ずっと好きだったんだ……!」
「あ、グレンっ」

 ぎゅっと、体が軋むほど強く抱きしめられる。首を噛む代わりに、グレンは体のくびれた場所に何カ所も甘噛みの痕を残した。手首、肘、足首に膝。どれも痛くない注射のようだった。そして乳首と性器にひときわ優しい噛み痕を残すと、グレンは片手でシリルのものを擦り上げながら、もう片手で双丘の隙間に手を差し入れた。すでに自らの体液で濡れていたそこは、簡単に侵入を許してしまう。

「気持いいところが分からないから、言ってくれると助かる」との言葉通り、おそるおそるといった動きでシリルの中を探られる。
「あ……んんっ!」

 入ってすぐに、瞼の裏がチカチカするような気持よさに見舞われた。グレンの袖を引っ張って意思表示すると、「ここか……」と念入りにいじられた。「この前も、ここに指を入れて欲しいと言われたな」とグレンがひとりごちて、自分はなんてことを付き合ってもいない幼なじみに言ったのだろう、と顔が熱くなった。

 だんだん息が苦しくなってきて、すべての快楽を与えるグレンを抗議するように見つめた。尻孔から得体の知れない汁がトロトロと染みだして、下肢を中心に蕩けてしまいそうだ。泣きたい。今泣いてしまえば、この昂ぶる気持はきっとましになるだろう。真剣な顔で自分を見下ろす豹獣に月光が降り注いでいる。まるで銀色に発光しているようだ。今、シリルはこの王者にすべてを委ねている。

「グレン。グレン……っ」

 ハ、ハ、と息が荒くなる。絶頂が近い。掴んでいるグレンのシャツがやぶけてしまうのでは、と思う位きつく握ったとき、目の前が白く煙った。

「あ……」
「シリル?」

 指が抜かれた刺激で、シリルは性器から白いものを吐き出してしまった。腹と寝台を汚すと、活きのいい海老のように体を丸め、快感を逃がす。

「よかった、気持ちよかったんだな」

 ホッとしたように、グレンがズボンの前立てを寛げた。たびたび前に硬いものがあたるな、とは思っていたけれど、想像以上の大きさにシリルは言葉を失った。

「グレンってそんなだった? 僕と一緒に風呂に入ってた時と違う!」

 あはは、と一笑すると、グレンの顔が狙いを定めた獣の顔に戻った。

「ちょっと待って。ね? グレン」

 ご機嫌を取ってみるが、ゴロゴロと喉を鳴らしているからすでに機嫌はいいようだ。つまり、シリルに逃げ場はない。

「もう待てない。何年仲の良い兄弟の振りをしてきたと思っているんだ」

 まだ男のものを受けれたことのない隘路に、グレンの途方もない大きさの性器があてられる。シリル自身のぬめりを借りて、みちみちと腸道を拡げ突き進んでくる。そして痛いような気持がいいような場所まで性器が収まると、グレンが腰を使い始めた。

「ゃ、あぁ……っ」

 グレンの根元でグチュッ、プチュッと体液が泡立ちはじける音が聞こえ、まるで自分が盛って誘ったようで恥ずかしくなる。腰を入れられ、体全体が動いてしまう。また泣きたくなって「グレン、グレンっ」としか叫べない。

「シリル……もっと一緒にいたい」

 グレンが唸ると、体内に埋め込まれた性器から甘く痺れるような刺激が走った。細い電流を通されているようで、あまりの気持ちよさのせいで腰が揺れてしまう。

「ああっ。……な、なにが起こったの?」

 こんな刺激があるということを、今まで知らなかった。きっと自分の遺伝子も知らない情報だ。

「猫科の雄は性器から棘状のものを雌の体内に差し、排卵させる。俺達にも同じ機能が備わっている。どうだ、痛くないか?」
「うん……。気持ちいい」

 すり、と顔をグレンの首に擦りつけると「そうか」と微笑まれ、より激しい快楽を与えられた。目が回りそうだ。想像したことのない刺激に体が驚きっぱなしで、尻と性器はびしゃびしゃに濡れっぱなしだ。声が嗄れるかと思うほどグレンの名前を呼び続け、とうとう涙まで出たとき、やり過ぎたと気付いたグレンが止めてくれた。


「光るキノコ、どうなった?」

 ひと心地着くと、窓辺に置いたキノコの株を覗ってみた。ちょうど月が雲に隠れていて、うっすらと光っているような気がするが、気のせいだと言われればそんな気もする。

「やっぱり噂だけなのかな」

 嘆息を吐いて株を持ち上げると、ちょうど雲が切れて月の光が差してきた。

「シリル、少し青くなってきたんじゃないか?」
「ほんとだ……」

 光を浴び始めた頃はわずかだったが、時間が長くなるに従って青白い光が強くなってきている。村の噂は本当だったのだ。

「よかった、事実だったんだよ。所長に言わないと」

 そこまで言ったあと、だれと一緒にいたのか、どんな環境で見たのかを報告せねばいけないことに気付いた。セスに襲われグレンと交尾したあとに、窓で見ましたとでも言うのだろうか。

「……ダメだ、今日のは報告できないよ。詳しく聞かれるとグレンも困るでしょう?」
「そうだな。じゃあ俺が残業のあとに通りかかったとでも言おうか。証拠は俺が描いた絵だ」

 胸元からちいさなメモを覗かせ、グレンが微笑む。

「うん!」

 ふかふかの太い腕にしがみつき、湿った鼻にキスをする。シリルの好きな男は白い豹型の獣人だ。シリルの望むものをなんでも描いてくれる。
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