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「うるせえ!んな事知るか、俺はお前の事充分好きになってるっつーの!」

柚木さんの言葉に、がつんと頭を殴られるような衝撃を受けた。

何せきっかけは部屋にちんこが生えた事で、柚木さんは部屋の平穏を取り戻したかったから俺と付き合い始めたはずで。
だから付き合い始めてから、一緒にラーメンを食べることも、水族館へデートへ行く事も、柚木さんと過ごした全ての時間が"良い思い出"で終われば良いと望んでいた。同じ思いを返される事なんて無いと決めつけていたのだ。

だって柚木さんが俺の事を本当に好きなら、あの日神社で願った事は既に叶っていたはずだから。
ちんこが元に戻らないなら、柚木さんの思いに恋愛感情は無いと思っていた。


頬を掴まれ正面からぶつけられた感情に、心が激しく揺さぶられる。それでも柚木さんの真っ直ぐな目を見た時、ふっと腑に落ちたのだ。
柚木さんは本当に俺の事を好いてくれているのだと。

そしてそう納得した瞬間、俺の股間から激しい光が放たれ、室内を満たした。

「な、なんだ!?」
「眩しっ!」

あまりの眩しさに目を開けていられない。
しかし股間から光が発せられると言う尋常では無い展開に、俺の胸には期待が生まれる。

「柚木さんっ、これって」
「ああ!」

数秒ほどで光は収束し、室内は元の様相を取り戻した。
光が収まった股間へ手を伸ばす。
俺は恐る恐るスラックスのジッパーを下げ、下着を下ろした。
そこには失われていた筈の俺のちんこが、違和感無く鎮座していた。

「柚木さん!」
「花坂!」

喜びに打ち震え、柚木さんの身体を力強く抱きしめる。当たり前の状態がこんなにも嬉しいなんて。

「やった!見てくださいっ、元に戻りましたよ」
「ああ、本当に良かった。これで証明されたな」
「え?」

感動で潤む視界で柚木さんを見ると、表情は確かに笑顔を浮かべている。だけどその目は爛々と輝いていた。
ちんこが戻った感動に意識を持っていかれたが良く考えなくても柚木さんに告白されたのだ。俺の事を好きだと言うその言葉は、ずっと欲しかった言葉だ。今更ながら本当に両思いなんだと言う実感が湧いて来る。

「感動してる所悪いけどまだこれで終わらせないから」
「ん?」
「ちんこが無きゃ俺の事を抱けないって言ったな?元に戻ったんだ、やる事は一つだろ」
「へっ」

綺麗な顔に悪巧みをするような笑みを浮かべると、柚木さんは俺の肩に両手を置き体重を掛けてきた。大人しく押し倒されれば二人分の体重にベッドがぎしりと悲鳴を上げる。

「俺にここまで言わせたんだ。観念して俺の事を抱くんだな」

柚木さんはそう言うと、膝に引っかかっていたスラックスを邪魔そうに床へ投げ捨てた。







一言で表すならそれは"絶景"だった。

柚木さんは今ベッドに仰向けになった俺の身体を跨いだ状態で後ろを指を伸ばしている。その為俺の角度からだと全てを見る事が出来た。
一つ文句を挙げるとすれば、中途半端に引っかかったワイシャツが柚木さんの胸元を隠している事だろうか。
本当であれば今すぐその身体を押し倒して隠されて見えない乳首も指が潜り込むその奥まった場所も余す事なく全てこの手で暴きたい。しかしそれは柚木さんの年上としての矜持が許さないのか、手を伸ばそうとすると涙の膜を張った目で睨まれるのだ。

ローション代わりのハンドクリームが熱で溶け、粘着質な音を立てる。譲ろうとしない割に余り慣れていないのか、解す指遣いは拙いものだ。快感を追うと言うよりも俺を受け入れる為の準備をしているような、作業的な動きだった。形の良い眉はぎゅっと寄せられている。
好きな相手が自分を受け入れる為に慣らしている様子はこの上なく興奮するが、柚木さんが気持ち良く無いのなら意味は無い。
白く滑らかな太腿を掌で撫で上げ、僅かに力を失った柚木さんのものに触れる。

「っおい」

不満げな声を向けられるが黙殺し、ゆるゆると刺激すれば漸く心地よさげな吐息が聞こえてくる。

「ふ、」
「あんまり無理しないでください、お願いですから俺にやらせて」
「っん、ぅ」

後ろに回っている柚木さんの指を絡め取り、そのまま俺のの胸元へと縋らせる。これで体勢は多少楽になっただろう。
俺は痛みを与えないよう慎重に解された場所へ指を侵入させる。ぬるりと指を受け入れるそこは他のどの場所よりも熱を持っている。

「う、っは」
「痛く無いですか?」
「ん」

相変わらず快感を拾っているようには見えないが、取り敢えず痛みは感じていないようだ。ほっと息を吐きながらぬめりを頼りに指を奥へ進める。

「ッ!」

ある一点を掠めた時、柚木さんの息がぐっと詰まる。痛みを感じたのかと一旦指を止め確認する。

「すみません、痛かったですか?」
「ッたくない」

その言葉は本心のようで白かった頬がほんのり色味を増している。柚木さんは何かに堪えるように手の甲で口元を押さえた。
先程よりも潤みを増した目に、俺はこれが噂に聞く前立腺かとピンと来る。

その証拠に先ほどの場所を探るように指先で優しく撫であげれば、いつの間にかシーツを握っていた柚木さんの手に力が込められる。

快感を拾い出した身体に追い打ちをかけるように指を増やす。眉根を寄せられてはいるがどこか溶けたような表情から、感じているものが痛みでは無いと確認出来る。二本の指で優しく先ほどの場所を刺激すれば、とうとう耐えきれなかった声が柚木さんの唇からこぼれ落ちた。
自分の声に驚いたのか柚木さんは一瞬目を見開いた後かぁっと顔を赤く染めた。ぎっと睨まれるが、羞恥に潤んだ目で睨まれようと怖くない。

「ッ!ばか!何でそこばっかり弄るんだよ!」
「気持ち良くないですか?」
「きっ、気持ち良くないとかじゃないけど、変な声出るから・・・嫌だ」

後半の声は小さくなったが俺にはきちんと聞こえている。俺はベッドから上半身を起こし柚木さんと向き合う。普段ある身長差も、柚木さんが俺の上に乗っているので目線は丁度等しくなる。

「まったく変な声じゃないです。むしろちゃんと気持ち良いと思ってくれてるんだって分かって俺は嬉しいですよ」

俺の言葉に柚木さんの目が揺れる。気持ち良くて声が漏れるのも、体が反応するのも何らおかしな事じゃない。柚木さんは視線を彷徨かせると、戸惑ったような表情を浮かべ恐る恐る問いかけてきた。

「・・・ひ、引かない?」
「引くわけ無いじゃないですか」

俺の即答に柚木さんは肩から力を抜くと、普段浮かべないような困ったようなふにゃりとした笑みを浮かべた。

「じゃあいっか」

すっと掌で頬を支えられ、優しく唇を重ねられる。柚木さんの舌にくすぐる様に唇を舐められた後、熱い吐息を耳元に感じる。

「・・・いれて」

熱を孕み囁くその声に冷静な思考は拡散し、十分に解れたぬかるみへ感情のまま昂りを打ち付けた。
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