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本編
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ーーーそれからさらに一ヶ月。
今日は俺とザックの結婚式だ。
わざわざジョニーに依頼したらしい真っ白なタキシードを纏い、会場へと向かう。場所は小さな教会で、ルイス達のほかヘンリーもお忍びで祝いに来てくれた。
そしてなぜか俺が呼んでいないのにも関わらずカインと両親もやってきた。
「テイト!ああ、もう結婚してしまうなんて…正直悲しいけど…どうか幸せにね」
そう言って抱きついてきたカインを受け止めつつ後ろの2人を驚きの表情で見やる。
お父様とお母様は随分やつれたように見えた。だがそれでいて以前より優しい雰囲気を纏っている。
「その、テイト…今まで家族らしいことが出来ずすまなかった。結婚おめでとう」
「今まで本当にごめんなさい。それととても綺麗だわ…幸せになってね」
てっきり手紙だけ残していなくなったことを怒られるかと思いきや、2人は弱々しく謝って祝いの言葉を述べた。
「ええ…ありがとうございます。それより皆は何故ここに…」
「テイト、すいません。私が呼んだんです。」
俺が疑問を口にしたところでザックが割り込む。
そして「やはり家族にはお祝いしてもらったほうがいいかと思って…」と申し訳なさそうにする彼にこの状況を理解する。
「そうか…俺のために呼んだんだな。正直家族とは縁を切るぐらいの気持ちでいたんだが…」
その言葉に両親が項垂れる。
「でも、お祝いの言葉は嬉しかったです。その…来てくれてありがとう」
そう伝えれば2人はパァッと顔を輝かせた。
「お前に拒絶されるのではと思っていたから、そう言ってもらえて良かった。図々しいと思うかもしれないが、私にエスコートをさせてくれないか?」
「お父様が俺を?」
「ああ、息子の晴れ舞台だからな。父親の役目を果たさせてくれ」
以前では考えられないような申し出に戸惑ってしまう。
だが真剣なお父様と、後押しするように頷くザックを見て、「わかりました。それではお願いします」と頷いた。
そして式が始まり俺はお父様の手に掴まって入場する。バージンロードの先にはザックが輝かんばかりの笑顔で待っていた。
「まさかアイザック会長と出来てたなんて…」
「おい!しっかりしろアインス!」
「お前には高嶺の花だと思ってたが、どちらにせよ勝ち目は無かったな」
「ううっ、お前らはそれでも友達か?」
…途中、商会のやつらがそんなことを話しているのが聞こえたが、敢えて聞かなかったことにする。
そしてザックの元へと辿り着き、お父様からザックへ手を渡された。
感極まったようなお父様の表情に、俺にもグッとくるものがある。歪ながらも存在した家族の絆に、少しの寂しさを感じながらその手を離した。
そして、これから家族となる目の前の人物を見上げる。
「テイト。これからずっと私と共に歩んでくれますか?」
「もちろんだ。俺のいる場所はお前の隣以外考えられない」
そしてザックから優しい口付けが降ってくる。
「私は世界一の幸せ者です」
「どうかな、俺の方が幸せかも」
心から幸せを噛み締めるように言ったザックに俺も同じ気持ちで返事をする。
ずっと日陰で生きていくのだと思っていた俺を、こんな温かい世界に連れ出してくれたのはザックだ。
きっと俺はこの先何があってもザックのことを想い続けるだろう。
「ザック、ありがとうな」
「何がですか?」
「俺を選んでくれて」
そう言うとザックは驚いたような顔で俺を見た。
「何を言うかと思えば…私は何度時間を巻き戻せたとしてもテイトを愛しますよ」
「ふふっ、そうか。俺ももうお前から離れるなんて考えられないから、覚悟しておけよ?」
「そんなことなら望むところです」
そうして、俺は笑顔のザックに寄り添い、これからの幸せな日々に想いを馳せながら共に歩み出した。
~fin~
今日は俺とザックの結婚式だ。
わざわざジョニーに依頼したらしい真っ白なタキシードを纏い、会場へと向かう。場所は小さな教会で、ルイス達のほかヘンリーもお忍びで祝いに来てくれた。
そしてなぜか俺が呼んでいないのにも関わらずカインと両親もやってきた。
「テイト!ああ、もう結婚してしまうなんて…正直悲しいけど…どうか幸せにね」
そう言って抱きついてきたカインを受け止めつつ後ろの2人を驚きの表情で見やる。
お父様とお母様は随分やつれたように見えた。だがそれでいて以前より優しい雰囲気を纏っている。
「その、テイト…今まで家族らしいことが出来ずすまなかった。結婚おめでとう」
「今まで本当にごめんなさい。それととても綺麗だわ…幸せになってね」
てっきり手紙だけ残していなくなったことを怒られるかと思いきや、2人は弱々しく謝って祝いの言葉を述べた。
「ええ…ありがとうございます。それより皆は何故ここに…」
「テイト、すいません。私が呼んだんです。」
俺が疑問を口にしたところでザックが割り込む。
そして「やはり家族にはお祝いしてもらったほうがいいかと思って…」と申し訳なさそうにする彼にこの状況を理解する。
「そうか…俺のために呼んだんだな。正直家族とは縁を切るぐらいの気持ちでいたんだが…」
その言葉に両親が項垂れる。
「でも、お祝いの言葉は嬉しかったです。その…来てくれてありがとう」
そう伝えれば2人はパァッと顔を輝かせた。
「お前に拒絶されるのではと思っていたから、そう言ってもらえて良かった。図々しいと思うかもしれないが、私にエスコートをさせてくれないか?」
「お父様が俺を?」
「ああ、息子の晴れ舞台だからな。父親の役目を果たさせてくれ」
以前では考えられないような申し出に戸惑ってしまう。
だが真剣なお父様と、後押しするように頷くザックを見て、「わかりました。それではお願いします」と頷いた。
そして式が始まり俺はお父様の手に掴まって入場する。バージンロードの先にはザックが輝かんばかりの笑顔で待っていた。
「まさかアイザック会長と出来てたなんて…」
「おい!しっかりしろアインス!」
「お前には高嶺の花だと思ってたが、どちらにせよ勝ち目は無かったな」
「ううっ、お前らはそれでも友達か?」
…途中、商会のやつらがそんなことを話しているのが聞こえたが、敢えて聞かなかったことにする。
そしてザックの元へと辿り着き、お父様からザックへ手を渡された。
感極まったようなお父様の表情に、俺にもグッとくるものがある。歪ながらも存在した家族の絆に、少しの寂しさを感じながらその手を離した。
そして、これから家族となる目の前の人物を見上げる。
「テイト。これからずっと私と共に歩んでくれますか?」
「もちろんだ。俺のいる場所はお前の隣以外考えられない」
そしてザックから優しい口付けが降ってくる。
「私は世界一の幸せ者です」
「どうかな、俺の方が幸せかも」
心から幸せを噛み締めるように言ったザックに俺も同じ気持ちで返事をする。
ずっと日陰で生きていくのだと思っていた俺を、こんな温かい世界に連れ出してくれたのはザックだ。
きっと俺はこの先何があってもザックのことを想い続けるだろう。
「ザック、ありがとうな」
「何がですか?」
「俺を選んでくれて」
そう言うとザックは驚いたような顔で俺を見た。
「何を言うかと思えば…私は何度時間を巻き戻せたとしてもテイトを愛しますよ」
「ふふっ、そうか。俺ももうお前から離れるなんて考えられないから、覚悟しておけよ?」
「そんなことなら望むところです」
そうして、俺は笑顔のザックに寄り添い、これからの幸せな日々に想いを馳せながら共に歩み出した。
~fin~
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