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本編
勇者に捕まる
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「あいつの前であの魔法を使うのはかえって危険だな・・・」
ベネディクトを追い出し終わったアルフレッドは、ソファにドカッと腰掛けながらボソボソと何かを呟いている。
俺はこの数時間で起きた出来事を処理するのにいっぱいで呆然と立ち尽くしていた。
「おい、ギルバート。」
「へっ?何だ?」
「お前は俺とベネディクト、どっちが好きなんだ。」
「いや、俺は・・・そういう風に考えていなかったっていうか・・・」
「はぁ、だろうな。ここまで散々ヤッても意識しないとは思わなかった。」
「なっ!」
(まさか今までの行為にはそういう意味もあったのか?最初なんてただの性欲処理かと思ってたが・・・)
「せめてやるならもっとストレートにアプローチしてくれよ・・・」
「半分は仕返しだったからな。」
「やっぱりか!体感としては8割以上仕返しだったぞ・・・」
「ふ、そんなことないさ。ちゃんと可愛がってやってただろ?」
「どこがっ・・・!」
納得できない言葉に悔しさが滲むが、こいつと言い争っても俺が損をするだけだ。今までの出来事でそう学んだ俺はそれ以上追求するのを諦めた。
「今はそれでいい。必ず俺を選ばせてやる。」
アルフレッドは感情の読み取れない表情でそんなことを言う。
「少なくとも、純粋な友達としてならベネディクトの方が好感度高いけどな。」
「ほう?」
つい思ったことが口をついて出てしまった。
目を細めてアミュレットを掲げたアルフレッドに慌てて言い訳をする。
「い、いや!今の無し!それにそもそもベネディクトは友達だし!」
「ふん、まあ良い。これからはちゃんと意識しろよ?」
「そんなこと言われても・・・俺はノーマルだってのに・・・」
「これまで散々受け入れておいてよく言う。」
「う、受け入れてないだろ!毎回お前が無理矢理やってただけだ!」
「毎回ではなかったと思うが、まあそう言うことにしておいてやる。」
そう言ったアルフレッドは俺を抱き寄せて自分の膝に座らせた。
「それじゃあ、俺は引き続きお前に意識してもらえるよう頑張るよ。何がいい?また意識が飛ぶまでヤるか?」
「そ、そう言うのじゃなくて、もっと健全なので頼む・・・」
「それは難しいな・・・」
「なんでだよ!そっちの方が簡単だろ!」
悩ましげな表情を浮かべたアルフレッドに思わず突っ込みを入れる。もっとプレゼントとか、エスコートとか、男を相手にどうかという問題はあるが、意識をさせる方法はいくらでもあるだろう。
「うーん、やっぱり泣いてるお前を見たいし、それだとつまらない。」
「お前・・・やっぱり俺のこと嫌いだろ?」
返ってきた返答に、さっき俺のことを好きだと言っていたのは聞き間違いだったのだろうかと不安になる。
「好きだって言ってるだろ?」
「好きならもっと優しくしろ!」
「優しくされたいのか?確かにお前、優しくなぞられたりする方が感じてるもんな。」
「そ、そっちの話じゃなくて・・・!ああ、もう良い!」
俺は早々にアルフレッドに健全なアプローチをさせることを諦めた。
「でも、あんまり酷いことされたら本当にお前のこと嫌いになるからな!そうしたら、今度こそベネディクトについて行ってやる。」
「それは困る。離す気はないが、ほどほどに抑える様に頑張るか。」
「ああ、それくらいは頑張ってくれ・・・」
せめてそれくらいの気遣いはしてもらわないとこちらが持たない。そう思って眉尻を下げて頷くと、顔を両手で包まれる様にキスをされた。
「言ったそばから・・・」
「酷くはしない。さっきのセリフはそれならいいって事だろ?」
「なっ!そう言う訳じゃ・・・」
都合よく解釈したアルフレッドには俺の否定も聞こえていない様だ。俺はアルフレッドに抱えられてベッドへと連れてこられる。これから起こることがわかって頭を抱えた俺をアルフレッドは楽しそうに押し倒した。
俺はまだこいつのことが好きなのかよくわからない。
でもこうされる事が満更でもない自分がいて、きっとこのままここに居たら絆されてしまうだろう。
そうなったらもう後戻りできなくなってしまう。それが物凄く怖い。
「お前は俺のだ。じっくりそれを分からせてやるから、覚悟しておけ。」
アルフレッドが優しく頬を撫でながらそんな事を言ってくる。あまりに真っ直ぐ見つめてくる空色の瞳に俺は恥ずかしくなって目を逸らした。
「っ!好きに、しろよ。」
「ああ。言われなくてもそうする。」
小さく笑ってそう言ったアルフレッドに再びキスを落とされる。既に熱くなっている全身に、俺はもうこいつからは逃げられそうにないと観念してアルフレッドに身を任せた。
~fin~
ベネディクトを追い出し終わったアルフレッドは、ソファにドカッと腰掛けながらボソボソと何かを呟いている。
俺はこの数時間で起きた出来事を処理するのにいっぱいで呆然と立ち尽くしていた。
「おい、ギルバート。」
「へっ?何だ?」
「お前は俺とベネディクト、どっちが好きなんだ。」
「いや、俺は・・・そういう風に考えていなかったっていうか・・・」
「はぁ、だろうな。ここまで散々ヤッても意識しないとは思わなかった。」
「なっ!」
(まさか今までの行為にはそういう意味もあったのか?最初なんてただの性欲処理かと思ってたが・・・)
「せめてやるならもっとストレートにアプローチしてくれよ・・・」
「半分は仕返しだったからな。」
「やっぱりか!体感としては8割以上仕返しだったぞ・・・」
「ふ、そんなことないさ。ちゃんと可愛がってやってただろ?」
「どこがっ・・・!」
納得できない言葉に悔しさが滲むが、こいつと言い争っても俺が損をするだけだ。今までの出来事でそう学んだ俺はそれ以上追求するのを諦めた。
「今はそれでいい。必ず俺を選ばせてやる。」
アルフレッドは感情の読み取れない表情でそんなことを言う。
「少なくとも、純粋な友達としてならベネディクトの方が好感度高いけどな。」
「ほう?」
つい思ったことが口をついて出てしまった。
目を細めてアミュレットを掲げたアルフレッドに慌てて言い訳をする。
「い、いや!今の無し!それにそもそもベネディクトは友達だし!」
「ふん、まあ良い。これからはちゃんと意識しろよ?」
「そんなこと言われても・・・俺はノーマルだってのに・・・」
「これまで散々受け入れておいてよく言う。」
「う、受け入れてないだろ!毎回お前が無理矢理やってただけだ!」
「毎回ではなかったと思うが、まあそう言うことにしておいてやる。」
そう言ったアルフレッドは俺を抱き寄せて自分の膝に座らせた。
「それじゃあ、俺は引き続きお前に意識してもらえるよう頑張るよ。何がいい?また意識が飛ぶまでヤるか?」
「そ、そう言うのじゃなくて、もっと健全なので頼む・・・」
「それは難しいな・・・」
「なんでだよ!そっちの方が簡単だろ!」
悩ましげな表情を浮かべたアルフレッドに思わず突っ込みを入れる。もっとプレゼントとか、エスコートとか、男を相手にどうかという問題はあるが、意識をさせる方法はいくらでもあるだろう。
「うーん、やっぱり泣いてるお前を見たいし、それだとつまらない。」
「お前・・・やっぱり俺のこと嫌いだろ?」
返ってきた返答に、さっき俺のことを好きだと言っていたのは聞き間違いだったのだろうかと不安になる。
「好きだって言ってるだろ?」
「好きならもっと優しくしろ!」
「優しくされたいのか?確かにお前、優しくなぞられたりする方が感じてるもんな。」
「そ、そっちの話じゃなくて・・・!ああ、もう良い!」
俺は早々にアルフレッドに健全なアプローチをさせることを諦めた。
「でも、あんまり酷いことされたら本当にお前のこと嫌いになるからな!そうしたら、今度こそベネディクトについて行ってやる。」
「それは困る。離す気はないが、ほどほどに抑える様に頑張るか。」
「ああ、それくらいは頑張ってくれ・・・」
せめてそれくらいの気遣いはしてもらわないとこちらが持たない。そう思って眉尻を下げて頷くと、顔を両手で包まれる様にキスをされた。
「言ったそばから・・・」
「酷くはしない。さっきのセリフはそれならいいって事だろ?」
「なっ!そう言う訳じゃ・・・」
都合よく解釈したアルフレッドには俺の否定も聞こえていない様だ。俺はアルフレッドに抱えられてベッドへと連れてこられる。これから起こることがわかって頭を抱えた俺をアルフレッドは楽しそうに押し倒した。
俺はまだこいつのことが好きなのかよくわからない。
でもこうされる事が満更でもない自分がいて、きっとこのままここに居たら絆されてしまうだろう。
そうなったらもう後戻りできなくなってしまう。それが物凄く怖い。
「お前は俺のだ。じっくりそれを分からせてやるから、覚悟しておけ。」
アルフレッドが優しく頬を撫でながらそんな事を言ってくる。あまりに真っ直ぐ見つめてくる空色の瞳に俺は恥ずかしくなって目を逸らした。
「っ!好きに、しろよ。」
「ああ。言われなくてもそうする。」
小さく笑ってそう言ったアルフレッドに再びキスを落とされる。既に熱くなっている全身に、俺はもうこいつからは逃げられそうにないと観念してアルフレッドに身を任せた。
~fin~
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