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本編

俺だけが⭐︎(アルフレッドサイド)

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翌日。

昨日のギルバートの姿が離れない。ずっと望んでいたあいつを見返すという夢が叶ったのだ。それは最高に気分が良かった。

(でも、何か物足りない・・・)

そうだ、そういえばあいつを泣かしてやろうと思っていたが、それは結局のところ叶っていなかった。きっとそのせいでモヤモヤとしているのだろう。


そう思いながら酒場に立ち寄れば、中から耳障りな笑い声が聞こえてくる。何事かと思って扉を開ければ出てきた人とぶつかってしまった。

「っ!悪い。」

自分より先に謝られたその声にハッとする。それは昨日ぶちのめしたばかりのギルバートだった。

「げっ」

向こうも同様に気づいたようで、失礼な声を上げる。

「よお、昨日ぶり。もう回復したのか?」

俺はギルバートの手が気になってそう尋ねた。

「ああ、大したことなかったからな。」

何故だろう、そんな憎まれ口を叩くギルバートが今は可愛く感じる。

「それじゃ。」

さっさと去ろうとするギルバートを引き留めようとするも、それは叶わなかった。



どうやら酒場の嘲笑はギルバートに向けたものだったようだ。あいつと入れ違いで入ってきた俺を、連中は大いに歓迎してくれる。

「よう!さすが勇者だな。昨日はスカッとしたぜ。」

「ああ、ギルバートのやつ、ちょっと強いからって傲慢だったしよ。鼻っ柱折られていい気味だったな。」

「それにしてもあいつがあんな醜態を晒すとはな。くくっ、立ち上がることすら出来ないでよ。」

そうして再び笑いが起こった酒場で俺は静かに佇んでいた。

なんだろう・・・ギルバートを見返してやるという想いにはも含まれていたはずだ。それでも全く関係のない奴らがあいつを貶しているのは聞くに耐えなかった。

(あいつを負かしたのは俺だ。馬鹿にする資格があるのは俺だけだ。)

そんなよくわからない独占欲が心を埋める。

「ふん、他にも俺と決闘したいやつがいたら受けて立つからな。」

居心地が悪くなった俺はそう言って静まり返った酒場を後にした。



それからしばらく、俺はこっそりギルバートの動向を探っていた。どうも暮らしが逼迫しているらしい。自分がそう追い込んだのだと思うと、いい気味だという気持ちと少しの罪悪感という相反した感情が湧いてくる。

(今なら手が届く・・・)

ここまで落ちぶれたギルバートなら、自分のものにできるのではないだろうか。そんな考えが首をもたげる。

決闘で負かすだけでは満足できなかった俺は、ギルバートの涙を堪えた瞳を思い出すたび、組み敷いてやりたいという衝動にかられるようになった。

そうすれば、今度こそ涙を流すのではないか。俺だけが見ることのできるギルバートの醜態というのもそそられる。



そうして、仕事を紹介するという口実であいつを家に誘い込んだ俺は、昔自分をいじめていたというのを口実に半ば強引に事に至ったのだ。

服を剥げば傷だらけの体が目に入る。それは努力の跡のようで美しかった。

整った顔立ちをしているので、てっきりそっちの経験も豊富なのかと思いきや、初心な反応に嬉しくなる。 


「・・・っ!あっ!そ、それはやめ・・・」

ギルバートが俺に触られて身悶えている様子に心が満たされていくのを感じ、自分はずっとこうしたかったのだと実感する。

「それってどれ?これのこと?それともこっち?」

「~~~~~っ!!!その、裏筋なぞるの、やめろ・・・!」

「ああ、これか。」

「っ!だから、やめろってぇ・・・!」

息も絶え絶えなギルバートを見ていると嗜虐心が満たされる。楽しくなった俺は、追い詰めるように責め続けた。

指で前立腺を責め立ててやれば、耐えきれずに涙を流しながら射精をしたギルバートに愛しさが募る。 

(こんな近くで泣き顔が見られるなんて。)

蒸気した顔と濡れたグレーの瞳はなんとも色気があってずっと見ていたいほどだった。


そうして今度は、戦々恐々としているギルバートに俺のものを突っ込む。

「ぐっ!」

苦しげなうめき声をあげてベッドの上の方へと逃れようとするギルバートを、獲物を追い詰めるように捕まえる。

「逃げんな。」

「~~~~~っ!!!!」

腰を引きよせて思い切り突けば、その刺激でまたイッたようだ。

(こいつの泣き顔、たまらないな・・・)

焦点の合わない瞳から涙が溢れる。その様子を見つめてつい笑み浮かべた。
 

その後もヒールをかけて事を続けた俺は、意識が飛んだギルバートを抱きしめて満たされた気持ちで眠りについた。




翌日。

ギルバートが身じろぎしたので目を覚ましたが、突っ込んだまま寝てしまったのでどんな反応をするのかと思って寝たふりを続けた。


「・・・・・・こいつ、挿入したまま寝やがった・・・」

ギルバートの愕然とした呟きが聞こえて思わず笑いそうになる。すると、自分で抜こうと思ったのか、あいつがゆっくり体を動かし始めた。

「っ・・・」


少し感じているらしいその吐息にこちらまで感じてしまいそうだ。やっとのことで抜き終わったらしい
ギルバートの後ろから昨日自分が出したものが溢れた。

「うわ、えっろ。」

「うわっ!」

思わずそう呟けばギルバートが小さく驚く。そうして気まずそうに風呂に入りたいと言われ、それくらいなら応じてやってもいいかと場所を教えた。


その後は今に至るという訳だ。

服のことは少しいじめすぎたかもしれない。やけくそになってメイド服を着て去っていったあいつを思い出すとおかしくなる。

もう少し優しくしてやるべきだろうか。そんなことを思ったところで実際にギルバートを前にしたらいじめたくなってしまうのだが。

俺はそんな事を考えながらあいつが去っていった方を眺めた。
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