上 下
198 / 201
第11章 苦難を越えて、皆ちょっと待って

この人は俺のもの、嫉妬  ※

しおりを挟む

「ンンッ!……あっ?!」

散々なぶって満足そうな顔をしたソルは、乳首から唇を離すとダメ押しとばかりに乳首を指先で弾いた。その小さな突起にばかりに気を取られていた俺は、ソルの手が怪しく下へと動いていたことに遅れて気が付く。ズボン越しに、ソルが俺の中心を指先で優しく擦る。


「ふぁっ、…やっ!……ソルっ……!」

「こんなに感じてくれて……。嬉しい」

うっとりとした様子のソルは、嬉しさの滲ませた声音でそう呟いくと、俺をあやすように口付ける。ちゅっ、ちゅっと啄む可愛らしい口付けと違って、手は怪しく動き続ける。金属が小さく擦れる音が下部から耳に届くと、ソルは俺のズボンのベルトを緩めて手早く下着ごとズボンを脱がせた。


下肢を隠すものが無くなって、咄嗟に俺の兆したものが見えないように足を閉じようとしても、足の間にあるソルの身体が邪魔をして閉じれない。ちらりと見えた俺の陰茎は既に勃ち上がって、先端から透明な蜜がてらりっと垂れている。


ソルは兆している俺のそこには触れず、内腿へと顔を寄せると際どい部分に舌を這わせて、薄い皮膚を何度も唇で食んだ。


「はぁっ……、……ふあっ……」

早く触ってほしいというように、俺のものからはトロトロと蜜がとめどなく溢れる。わざと反応している場所に触れない、焦らしていると分かる愛撫に身体を跳ねさせながら、俺はほんの少し胸に何かがつっかえた。


……先程から思っていたが、精神年齢が年上の俺よりも、ソルがこういう行為に慣れている気がするんだが?

まあ、ソルは顔が国宝級にカッコイイし、人当たりが良いからとにかくモテる。今まで異性や同性でも恋人の影は無かったけれど、思春期でもあるからそういうことを俺以外と経験していてもおかしくはない。


でも、どうしても……。
俺が知らないソルの顔を、仕草を知る人が存在するというだけで、こんなにも寂しい。


ツキンッと胸に小さな棘が刺さったような痛みに顔を横に向けて耐えていると、不埒に俺の肌を撫でまわしていたソルの手が止まる。上体を起こしたソルは、俺の両頬を優しく手の平で包んで心配げに呟いた。


「……ヒズミ、オレに触られるの嫌だった?……正直に言って?ヒズミに無理させたくない。……オレは、ヒズミと抱きしめ合うだけでも、充分嬉しいから」

「っ!!」


眉根を寄せ心配げな瞳で見つめてくるソルに、嫉妬でどんよりと曇っていた思考からはっと引き戻された。大事にしたいんだと、ソルが荒い息を押し殺して情欲を無理矢理隠した顔をしながら俺に微笑む。ちらりと見たソルのズボンは既に窮屈そうに軋んでいる。

同じ男だから、今の状況が生理的に辛いことも良く分かる。それでも自分の欲望を抑え、俺の心と身体を一番に考えてくれている。俺はどれだけ大事にされているのだろうと、きゅうっと胸が苦しく鳴いて泣きたくなった。 

こんなにも自分のことを大切に想ってくれているのに、くだらない嫉妬をしていた自分が情けない。


「違うんだ。そ、の……。ソルがこういうの慣れてそうだなって思ったら……。なんだか、さみしくて」

過去の見知らぬソルの相手にさえ、嫉妬してしまったんだと、子供っぽい感情を吐露した俺にソルは目をぱちくりと瞬かせた。次の瞬間にソルはかあぁっと火が付いたように頬を染めたかと思うと、かっくりとうなだれた。


「……あー……。実はですね……」

いつにもまして歯切れの悪いソルに、不思議に思って首を傾げ蜜色の瞳を見つめ続けた。俺の視線に耐えきれなくなったのか、ソルは観念したように告白する。


「……アウルムに頼んで、王宮の閨教育係に教わったんだ。ヒズミとの初夜は、絶対に痛いこととか、辛い思いをさせたくなかったから……」

ソルは俺と恋人になってから、いつかは俺と身体を繋げたいと考えてくれていた。でも、学園での性教育は本当に最低限の知識しか教わらないし、前世の日本と違って、ここには肌色多めな薄い本もない。自身も全く経験がなく、なによりも俺以外とは関係を持ちたくなかったというソルは、この国の第二王子であるアウルムに頼み込んで、王子直属の閨教育係に必要な性知識とテクニックを教わったのだそうだ。

誓って実践はしてないとも、ソルは教えてくれた。


「正真正銘、こういう事するのヒズミが初めてだよ……。オレ、童貞だもん。今日だって実はすごく緊張してる。今だって心臓が飛び出しそう」

ほらっ、と右手を取られて、ソルの胸にピトリと手を押し当てられた。そこから感じるのは、俺と同じように早く高鳴った鼓動で。オレってカッコ悪いな、と頬を赤らめてそっぽを向いたソルに、自然と頬が緩んだ。

俺のために少し背伸びをしてくれたソルを、カッコ悪いなんて思うはず無い。俺は身体を起こすと、ソルのつるりとしたワイシャツのボタンに、指先で触れた。


「……ソルも脱いで?俺も、いっぱい触りたい。……ソルの感じるところ、知りたい」

「んっ……、ヒズミっ……」


向かい合ったソルの首元に唇を寄せながら、覚束ない手で愛しい人のワイシャツのボタンを一つ、また一つと外していく。ぴくりっと小さくソルが身震いしたのを良いことに、俺はソルの鎖骨やら耳やら、沢山の場所にお返しとばかりに口づけた。

ソルみたいに上手くないから、キスマークはつけれないけれど、この人は俺のだって印を施すように。


ソルは俺のしたいようにさせてくれつつ、俺の腰や胸を優しく撫たり、脇腹をくすぐった。腕にかろうじて引っ掛けていたワイシャツはソルに脱がされ、一糸纏わぬ姿になる。ソルは自らズボンを脱いで、バサリとベッドの下に衣服が落ちていく。


「……かっこいい」

目の前の鍛え上げられた彫刻のような美体に目を奪われて、思わずその肢体に手を伸ばす。ソルが動かないのを良いことに、引き締まった逞しい胸をゆっくりと堪能するように指を滑らせた。この胸に何度抱き締められたことだろうか。俺の一番落ち着く場所、俺の大好きな人の心に一番近いところ。


くすぐったそうに笑うソルの声を聞きながら、俺はソルの見事に割れた腹筋へと指先で触れる。そして、既に反り返っているソルのものが見えて、目のやり場に困っておどおどしていると蜜色の瞳と目が合って悪戯に笑われた。


「ヒズミのえっち」

「なっ?!……アっ……!」

動揺した俺の隙をついて、ソルは俺のものに手を伸ばすとぎゅっと握り込んだ。いきなりの直接的な快感に、身体は大きく跳ねて悲鳴に似た声が漏れる。ソルは俺の反応に嬉しそうに目を細めると、ゆるゆると握り込んだ手を動かした。


「オレのも、触って?」

ソルは耳元で甘えた声を出すと、俺の右手を取ってその立派な陰茎に触れさせた。俺のよりも一回りは大きいそれは手の平で脈打っていて、硬く雄々しい。先端から溢れた透明な蜜を指で広げて、俺はソルのものを握って辿々しくしごいた。


擦るとさらに硬くなって、ソルが眉根を寄せて熱い吐息を吐くのが嬉しい。もっとソルの感じ入っている姿が見たいと、夢中で熱いものを手で擦っていると、突然身体に雷を打たれたかのような衝撃が走る。

悲鳴に近い声を出した俺の耳元で、ソルは掠れた声を出しながら囁く。


「あっ、ぁっ……!」

「ヒズミ、手が止まってるよ?」

ソルの親指が張りつめていた俺自身の先端、ゆるく蜜を滴らせていた鈴口をくちゅっ、くちゅっと抉るように擦る。そこは特に敏感に快感を拾ってしまう場所で、俺はソルのを握っていた反対の手で、必死に俺の陰茎を弄るソルの手を掴んだ。

そんな俺の制止を無視して、俺の反応を引き出すように竿を扱く手を一層早めて、しつこく蜜が溢れる先端を抉り続けた。ソルの動きを止めようとした手には力が入らなくて、なんの意味もなしていない。


「……だっ、て。ソル、……がっ…んンッ!」

必死にソルのものを扱こうにも、終始快感で身体が跳ねて手元が震える。もうソルのいきり立つものに手を添えているだけになっている。ソルはだらしなく蜜を垂らす俺の陰茎に自身のものをあてがうと、俺の手ごと2つの硬くなったものを擦り始めた。

擦れ合ったソルの熱さにくらくらして、激しく上下に動かされる手の動きに、腹の奥から快感がせり上がって来る。


もう自然と嬌声は口から零れて、恥ずかしいと思う余裕が無いくらいだ。膨らむ快感で瞼の裏にチカチカと小さな火花がチラついて、内腿ががくがくと震える。


「あっ!……ソル、まっ、……てぇ!……でる、からっ……!」

イヤイヤと頭を左右に振って、波のように打ち寄せる快感から逃れようとするけれど、ソルは乱れる俺をじっと見降ろしていた。俺を見つめるソルの蜜色の瞳がぎらついて、決して逃がさないと射貫かれているようで……。その獰猛な視線だけで、下腹部の熱が耐えきれない部分までせり上がる。



「オレも……一緒に……」

「っ!!……ぁ、……あっ、……ンあぁっ……!」



しおりを挟む
感想 205

あなたにおすすめの小説

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います

たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか? そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。 ほのぼのまったり進行です。 他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜 役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。 お願いそっとしてて下さい。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ 多分短編予定

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

処理中です...