99 / 100
暗闇を超えてきた君が僕を離してくれない
7
しおりを挟む
「当たり前だ。あの事故の前の晩、話した言葉も涉の浮かれ具合も全てがそっくりだった。」
いつ? と言葉にしなくても理解できた。セイちゃんの世界での僕。セイちゃんと待ち合わせをして事故に遭って死んだという……。
「もしかしたら。そう思ったら行動せずにはいられなかった。無事であればいい。涉が同僚と合って店に入るのを見届けた後、仕事に戻るつもりだった。」
僕はいつか、交通事故で死ぬ運命なのかもしれない。たぶん今回セイちゃんに助けられなかったら……。でも、大切なのは今、僕とセイちゃんがともにいること。
「ずっとこうしていたい。」
「ああ、涉の気が済むまで。」
セイちゃんの肩に頭を乗せ、撫でてもらってスッと癒されていく自分がいた。もう、離れることなど考えたくない。
「セイちゃんが居なくなるのは嫌だ。」
「分かってる。俺もそうだ。でも人はいつどうなるのかは分からない。だから一日、いや1分1秒でも後悔したくない。そんな生き方をしていきたい。」
後悔しない生き方。少し分かったような気がする。僕は自分に嘘をつかず、時間を大切にして生きていきたい。できるならセイちゃんと一生手を取り合って。
「だからな? 今日はずっとこうしていよう。」
セイちゃんが腰を動かすと、僕の臀部に硬いものがあることが分かった。
「せ、セイちゃん!」
ピンポーーン
「「!?」」
顔から火が出たと同時に、インターホンが鳴り響いた。朝から誰だろう? セイちゃんと顔を見合わせる。ソファから降りてインターホンのところまで行くと同時にまた音が鳴った。
「はい。」
通話ボタンを押して画面を覗き込む。そこには髪の長い女性が立っていた。
「ワタラセさんの……オタクデスカ?」
片言の日本語。外国人? 髪の毛は黒いのか茶色なのか判別しづらい。知らない顔なのは明らかだ。何かの勧誘? でも僕の苗字を知ってるって……。
「知ってる人?」
隣のセイちゃんが耳元で囁くのを聞いて首を振った。外国の女性には道を聞かれたことすらない。
「どうしよう? 何かの勧誘かな? 出てみる?」
セイちゃんの顔を見た時に、インターホンから別な人の声が聞こえた。
「渡良瀬涉さんのお宅ですか?」
インターホンの小さな画面に映り込んだ顔。そこに立っていたのは、僕のフルネームを知っているその人は、坊主頭だった。そして、今僕の隣に立っているセイちゃんと同じ顔をした人だった。
ー 完 ー
いつ? と言葉にしなくても理解できた。セイちゃんの世界での僕。セイちゃんと待ち合わせをして事故に遭って死んだという……。
「もしかしたら。そう思ったら行動せずにはいられなかった。無事であればいい。涉が同僚と合って店に入るのを見届けた後、仕事に戻るつもりだった。」
僕はいつか、交通事故で死ぬ運命なのかもしれない。たぶん今回セイちゃんに助けられなかったら……。でも、大切なのは今、僕とセイちゃんがともにいること。
「ずっとこうしていたい。」
「ああ、涉の気が済むまで。」
セイちゃんの肩に頭を乗せ、撫でてもらってスッと癒されていく自分がいた。もう、離れることなど考えたくない。
「セイちゃんが居なくなるのは嫌だ。」
「分かってる。俺もそうだ。でも人はいつどうなるのかは分からない。だから一日、いや1分1秒でも後悔したくない。そんな生き方をしていきたい。」
後悔しない生き方。少し分かったような気がする。僕は自分に嘘をつかず、時間を大切にして生きていきたい。できるならセイちゃんと一生手を取り合って。
「だからな? 今日はずっとこうしていよう。」
セイちゃんが腰を動かすと、僕の臀部に硬いものがあることが分かった。
「せ、セイちゃん!」
ピンポーーン
「「!?」」
顔から火が出たと同時に、インターホンが鳴り響いた。朝から誰だろう? セイちゃんと顔を見合わせる。ソファから降りてインターホンのところまで行くと同時にまた音が鳴った。
「はい。」
通話ボタンを押して画面を覗き込む。そこには髪の長い女性が立っていた。
「ワタラセさんの……オタクデスカ?」
片言の日本語。外国人? 髪の毛は黒いのか茶色なのか判別しづらい。知らない顔なのは明らかだ。何かの勧誘? でも僕の苗字を知ってるって……。
「知ってる人?」
隣のセイちゃんが耳元で囁くのを聞いて首を振った。外国の女性には道を聞かれたことすらない。
「どうしよう? 何かの勧誘かな? 出てみる?」
セイちゃんの顔を見た時に、インターホンから別な人の声が聞こえた。
「渡良瀬涉さんのお宅ですか?」
インターホンの小さな画面に映り込んだ顔。そこに立っていたのは、僕のフルネームを知っているその人は、坊主頭だった。そして、今僕の隣に立っているセイちゃんと同じ顔をした人だった。
ー 完 ー
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
身の程なら死ぬ程弁えてますのでどうぞご心配なく
かかし
BL
イジメが原因で卑屈になり過ぎて逆に失礼な平凡顔男子が、そんな平凡顔男子を好き過ぎて溺愛している美形とイチャイチャしたり、幼馴染の執着美形にストーカー(見守り)されたりしながら前向きになっていく話
※イジメや暴力の描写があります
※主人公の性格が、人によっては不快に思われるかもしれません
※少しでも嫌だなと思われましたら直ぐに画面をもどり見なかったことにしてください
pixivにて連載し完結した作品です
2022/08/20よりBOOTHにて加筆修正したものをDL販売行います。
お気に入りや感想、本当にありがとうございます!
感謝してもし尽くせません………!
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
【完結・短編】game
七瀬おむ
BL
仕事に忙殺される社会人がゲーム実況で救われる話。
美形×平凡/ヤンデレ感あり/社会人
<あらすじ>
社会人の高井 直樹(たかい なおき)は、仕事に忙殺され、疲れ切った日々を過ごしていた。そんなとき、ハイスペックイケメンの友人である篠原 大和(しのはら やまと)に2人組のゲーム実況者として一緒にやらないかと誘われる。直樹は仕事のかたわら、ゲーム実況を大和と共にやっていくことに楽しさを見出していくが……。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる