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バレた
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「優樹様、大丈夫ですか?」
廊下からの愼の声が微かに聞こえる。慌てて器具を抜いてシャワーのお湯で洗った。音楽が小さくなり、天井から愼の声が聞こえてきた。
「優樹様?」
「大丈夫だからっ! あ、アッチに行ってっ!」
隠さなくちゃ。愼には知られたくない。タオル、タオルはどこだっけ? ふと、準備したタオルはまだ洗面所の洗濯機の上に無造作に置いたままだったことを思い出した。器具を片手に浴室のドアを引いた音と、上から聞こえる愼の声が重なった。
「失礼します。」
勝手に鍵を開けて扉を開いた愼と、器具を片手に固まった自分の視線がぶつかった。
「優樹様、変な物音を聞いたような気がして心配いたしました。」
愼が静かに入ってきて、そして俺からディ・ドを取り上げた。目の前でじっくりと見ながらスイッチを押して動かそうとしているようだった。当然動かない。シャワーを浴び続けていた体が今になってカッと熱くなってきたような気がする。
「優樹様は、ア・・セッ・スがお好きなのですね?」
「…………。」
そ、そんなに直接言わなくても。愼から視線を外して俯く。顔は上げられなかった。体がのぼせたように熱い……顔から汗が滴り落ちてきていた。
「これは、振動とローリングが選べるもののようですね。電源を押しても動きませんが。」
「……充電しておくのを忘れた。」
最早隠し通すことはできない。正直に自分の性指向を告白する気にはなったけれども、まだ顔は上げられなかった。
「満足できましたか?」
満足したかだって? 満足したどころか、中途半端なままでもう俺の分身は萎えきっている。というより縮み上がってるといった方がいいかも。急に寒さを感じて身震いした。
「優樹様、私がお手伝いいたしましょうか?」
「!?」
愼の言葉に顔を上げる。愼が何を言おうとしているのかが分からなかった。愼はディ・ドを洗面台に置くと一歩俺に近づいてきた。
「私にも男性としての機能が備わっています。」
「え? えっ? 何を言っているの?」
愼が真剣な顔をしてこちらを見ているけれど、俺はどう返したら良いか分からなかった。無意識に足が後退する。
「もし、まだ満足できないとしたら私が。」
一歩間合いを詰めて近づいてきた愼が腕を伸ばしてきた。俺は頭の中が真っ白になって、身を翻すと浴室に逃げ込んだ。ドアを閉めて愼を閉め出そうとする。それなのに、愼の体が挟まって閉めることができなかった。
「優樹様。……愛しています。」
半分見えている真剣な目、そして愼の言葉に全身の力が抜けていくのが分かった。ヘナヘナと座り込んだ俺の前に、ドアを開けて入ってきた愼がしゃがみ込んだ。
「優樹様は、私のことはお嫌いですか?」
背中に温かいシャワーがあたり、服を着たままの愼にも水の飛沫が降りかかる。どんどん濡れていく愼を前にして、何を言ったら良いのか分からなかった。
廊下からの愼の声が微かに聞こえる。慌てて器具を抜いてシャワーのお湯で洗った。音楽が小さくなり、天井から愼の声が聞こえてきた。
「優樹様?」
「大丈夫だからっ! あ、アッチに行ってっ!」
隠さなくちゃ。愼には知られたくない。タオル、タオルはどこだっけ? ふと、準備したタオルはまだ洗面所の洗濯機の上に無造作に置いたままだったことを思い出した。器具を片手に浴室のドアを引いた音と、上から聞こえる愼の声が重なった。
「失礼します。」
勝手に鍵を開けて扉を開いた愼と、器具を片手に固まった自分の視線がぶつかった。
「優樹様、変な物音を聞いたような気がして心配いたしました。」
愼が静かに入ってきて、そして俺からディ・ドを取り上げた。目の前でじっくりと見ながらスイッチを押して動かそうとしているようだった。当然動かない。シャワーを浴び続けていた体が今になってカッと熱くなってきたような気がする。
「優樹様は、ア・・セッ・スがお好きなのですね?」
「…………。」
そ、そんなに直接言わなくても。愼から視線を外して俯く。顔は上げられなかった。体がのぼせたように熱い……顔から汗が滴り落ちてきていた。
「これは、振動とローリングが選べるもののようですね。電源を押しても動きませんが。」
「……充電しておくのを忘れた。」
最早隠し通すことはできない。正直に自分の性指向を告白する気にはなったけれども、まだ顔は上げられなかった。
「満足できましたか?」
満足したかだって? 満足したどころか、中途半端なままでもう俺の分身は萎えきっている。というより縮み上がってるといった方がいいかも。急に寒さを感じて身震いした。
「優樹様、私がお手伝いいたしましょうか?」
「!?」
愼の言葉に顔を上げる。愼が何を言おうとしているのかが分からなかった。愼はディ・ドを洗面台に置くと一歩俺に近づいてきた。
「私にも男性としての機能が備わっています。」
「え? えっ? 何を言っているの?」
愼が真剣な顔をしてこちらを見ているけれど、俺はどう返したら良いか分からなかった。無意識に足が後退する。
「もし、まだ満足できないとしたら私が。」
一歩間合いを詰めて近づいてきた愼が腕を伸ばしてきた。俺は頭の中が真っ白になって、身を翻すと浴室に逃げ込んだ。ドアを閉めて愼を閉め出そうとする。それなのに、愼の体が挟まって閉めることができなかった。
「優樹様。……愛しています。」
半分見えている真剣な目、そして愼の言葉に全身の力が抜けていくのが分かった。ヘナヘナと座り込んだ俺の前に、ドアを開けて入ってきた愼がしゃがみ込んだ。
「優樹様は、私のことはお嫌いですか?」
背中に温かいシャワーがあたり、服を着たままの愼にも水の飛沫が降りかかる。どんどん濡れていく愼を前にして、何を言ったら良いのか分からなかった。
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