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衝撃
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2コマ目の授業が終わり学食へと向かう。最近は外が寒すぎて弁当を買って外で食べる気にはならない。空き教室で弁当を食べる奴らもいるけど、その中に入っていくのは気まずいし。かといって1人で食べているところに誰か入ってきても……。
『今日は何を食べようかな?』
お盆を手にして列に並びながら考える。今日はいつもより混んでいるような気がする。気のせいか? そんなことを考えているうちに、誰かに肩をポンと叩かれた。
「米田さん!」
「よお、優樹。ラーメン一緒に食べね?」
振り返ると、米田さんが笑顔を浮かべてそこに立っていた。学食の裏手に、ラーメンが食べられる店があるのは知っていた。学食とは違ってどこかの店が支店を出してるとか何とか。
結構安価で美味しいラーメンが食べられるという噂だ。野菜タンメンには山盛りにもやしが乗っているという。でも一度覗いてみたそこは結構狭くて、1人で入るには敷居が高く一度も食べたことがなかった。米田さんと一緒なら。
「いいですよ。行きましょう。」
俺は列から離れてお盆を返し、米田さんと一緒に一度外へ出てラーメン屋の入り口へと歩いて行った。
今日は学食の方が人気があったのか、店はあまり混んではいなかった。唯一空いていた席もすぐに取ることができて、ラーメンにありつくことができた。
噂の野菜タンメンの味噌味。これでもかともやしが乗っていてワンコインは安いだろう。塩味の野菜タンメンを頼んだ米田さんと一緒に席に着き、最近のバイトの様子や、取っている授業について話が弾んだ。
『ああ、やっぱり米田さんといるとホッとする。』
自然体でいられる所がいい。年上だから敬語になっちゃうけど、それはそれで構わない。「好きだ」と思っていた気持ちも、だいぶ薄れてきた。米田さんの優しさに憧れはあるけど、それだけ。うん、俺はもう大丈夫かもしれない。
「優樹さ、この後でちょっと俺に付き合わね? 前の自販機で飲みもん奢るからさ。」
「えっ? 何ですか?」
ラーメンを食べ終わり、水を飲んでいたところで米田さんに話しかけられた。その口調が何だか戸惑っているような気がして、少しだけ気になった。
「お悩み相談。ちょっとここではなぁ。」
「いいですよ。」
友人として。後輩ではあるけれど、悩みを相談されるなんて初めての経験だ。米田さんになら、何か力になってあげたい。いや、たぶん聞くだけになるとは思うけど……。俺は即座に同意した。
自販機でホットココアを奢ってもらい、手を温めながら米田さんと歩く。次の授業まで30分を切ってるけど、大丈夫だろう。気軽に考えながら、米田さんの後ろを歩く。
『あれ? ここは……。』
俺がよく弁当を買ってきて使う林の中のベンチ。沢山植えてある欅やコナラの木は葉をすっかり落として丸裸になっていた。ベンチに乗っていた幾つかの葉を手で払った米田さんを眺める。米田さんが座った隣に腰を降ろした。
「何かあったのですか?」
熱々のココアはまだ飲む気にはならない。カイロがわりにポケットに入れて米田さんの方を見た。米田さんはこちらを見ようとせずに、ジッと前を向いていた。
「俺さ、彼女いるっていったじゃん? 何だか危ない事に手を出しているみたいでさ……。」
「危ないこと?」
俺が問いかけた瞬間、後ろでカサッと落ち葉を踏む音が聞こえた。後ろを振り向いた瞬間、誰かの腕が俺の首に回ってきた。
「米田さん! …………愼!」
俺が声を出せたのはそこまでだった。
『今日は何を食べようかな?』
お盆を手にして列に並びながら考える。今日はいつもより混んでいるような気がする。気のせいか? そんなことを考えているうちに、誰かに肩をポンと叩かれた。
「米田さん!」
「よお、優樹。ラーメン一緒に食べね?」
振り返ると、米田さんが笑顔を浮かべてそこに立っていた。学食の裏手に、ラーメンが食べられる店があるのは知っていた。学食とは違ってどこかの店が支店を出してるとか何とか。
結構安価で美味しいラーメンが食べられるという噂だ。野菜タンメンには山盛りにもやしが乗っているという。でも一度覗いてみたそこは結構狭くて、1人で入るには敷居が高く一度も食べたことがなかった。米田さんと一緒なら。
「いいですよ。行きましょう。」
俺は列から離れてお盆を返し、米田さんと一緒に一度外へ出てラーメン屋の入り口へと歩いて行った。
今日は学食の方が人気があったのか、店はあまり混んではいなかった。唯一空いていた席もすぐに取ることができて、ラーメンにありつくことができた。
噂の野菜タンメンの味噌味。これでもかともやしが乗っていてワンコインは安いだろう。塩味の野菜タンメンを頼んだ米田さんと一緒に席に着き、最近のバイトの様子や、取っている授業について話が弾んだ。
『ああ、やっぱり米田さんといるとホッとする。』
自然体でいられる所がいい。年上だから敬語になっちゃうけど、それはそれで構わない。「好きだ」と思っていた気持ちも、だいぶ薄れてきた。米田さんの優しさに憧れはあるけど、それだけ。うん、俺はもう大丈夫かもしれない。
「優樹さ、この後でちょっと俺に付き合わね? 前の自販機で飲みもん奢るからさ。」
「えっ? 何ですか?」
ラーメンを食べ終わり、水を飲んでいたところで米田さんに話しかけられた。その口調が何だか戸惑っているような気がして、少しだけ気になった。
「お悩み相談。ちょっとここではなぁ。」
「いいですよ。」
友人として。後輩ではあるけれど、悩みを相談されるなんて初めての経験だ。米田さんになら、何か力になってあげたい。いや、たぶん聞くだけになるとは思うけど……。俺は即座に同意した。
自販機でホットココアを奢ってもらい、手を温めながら米田さんと歩く。次の授業まで30分を切ってるけど、大丈夫だろう。気軽に考えながら、米田さんの後ろを歩く。
『あれ? ここは……。』
俺がよく弁当を買ってきて使う林の中のベンチ。沢山植えてある欅やコナラの木は葉をすっかり落として丸裸になっていた。ベンチに乗っていた幾つかの葉を手で払った米田さんを眺める。米田さんが座った隣に腰を降ろした。
「何かあったのですか?」
熱々のココアはまだ飲む気にはならない。カイロがわりにポケットに入れて米田さんの方を見た。米田さんはこちらを見ようとせずに、ジッと前を向いていた。
「俺さ、彼女いるっていったじゃん? 何だか危ない事に手を出しているみたいでさ……。」
「危ないこと?」
俺が問いかけた瞬間、後ろでカサッと落ち葉を踏む音が聞こえた。後ろを振り向いた瞬間、誰かの腕が俺の首に回ってきた。
「米田さん! …………愼!」
俺が声を出せたのはそこまでだった。
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