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オオカミは1人だけ

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「…………白い。」
 僕の上半身が露わになり、トモが身体を離すようにしてジッと見ていた。

「し、白いって?」
 息が絶え絶えになった僕はそう聞くのが精一杯だったけれど、その言葉を聞いた途端にトモが僕に覆い被さってきて大きな手で顔を包まれた。

「一度風呂上がりにカズの身体を見てから、触りたくてしょうがなかった。全身にキスしたい。」
「キ、キ、キスっ?」
 だから、僕は恋愛初心者なんだって。この場合はイエスと言うべきなの? それともノー?

「カズ、愛してる。心から。ずっとこうなる事を夢見ていた。」
 また顔中にキスが落とされて口を塞がれた。優しいキスが続く。時折顔の向きを変えながらのキスはとても長かった。何だか変な気持ちだ。満たされているようで、満たされてないような……。

「ぼっ、僕もトモが好き。」
 トモの唇が離れた瞬間、思い切ってトモの唇を追いかけた。驚いた顔のトモが僕に齧り付いてくる。激しいキスを受け止めながら、全身の血が一点に集まってくるのを感じていた。そうだ、このキスを僕は待っていた。

「カズが欲しい……。」
 僕の分身が勃ち上がっているのを確認するように、ジーンズの上から触りながらトモが呟いた。頭に浮かんだのは前に見てしまったリョウとユウ。僕たちも、あんな風に?

「ぼ、ぼ、僕は初めてなんだ。知ってるでしょ?」
 トモの遠慮のない舌が僕の首筋を舐め上げる。トモの手が這っている僕の分身がビクビクと反応した。

「知ってる。……それで?」
 それでって。何て言う? なんて言ったらいいの? 正解は何も分からなかったけど、とにかく頭に浮かんだ言葉を呟いた。

「や、優しくして?」
 僕の言葉を聞いた途端にトモの目付きが鋭くなり、僕の足を挟み込むように身体を起こしてTシャツを脱ぎ捨てた。上半身裸、さっき見たばかりなのに何故だか直視できなかった。僕より大きく筋肉の付きもいい。これが、あの小池……。僕より華奢だったあの小池なのか?

「当たり前だろ? カズの初めてを全部貰うんだ。後は誰にも触らせない。俺だけ、俺だけのものだ。」
 トモの唇が落ちてくる。唇、耳、首筋とキスをされて身をくねらせているうちに、いつの間にか開襟シャツが脱がされていた。首筋から胸に舌が這ってくる。卑猥な手は僕の脇腹を上がってきた。

「んぁっ!」
 思わず変な声が漏れそうになって慌てた。トモの顔が僕の耳元に上がっきて囁いた。

「声を聞かせて……。カズの感じている声が聞きたい。我慢しないで。」
 再び唇を奪われる。声を出したくても出せない状況の中で、トモの手が僕のジーンズのファスナーを下ろすのを感じていた。


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