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教育実習ニ週目
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「俺には大切に思う奴がいる。」
「えっ!?」
トモには好きな人がいるっていうこと? あ、リョウがトモをずっと想っていて……そして夕べ初めてそれに気づいたとしたら、トモはノーマル?
「どんな方なんですか?」
「純粋で、恥ずかしがり屋でちょっとだけ不器用な。そこがまた愛おしい。」
うわっ! 聞いているこっちが恥ずかしい。何故かジッと見つめられながら聞いたセリフに、自分の顔が熱くなっていくのが分かった。熱烈だな。
「可愛い方なんでしょうね。」
言ってマグに口をつける。程よく温まったお茶の香りが疲れていた心と体をとても癒してくれた。
トモは付き合ってるのかな? どんな女性なんだろ。でもここ2週間のことを振り返ってみても、誰かとデートしている様子はなかった。夜はみんなより早く帰って夕飯の準備をしていたし。……遠距離か?
「ああ。ずっと想い続けていた。」
だから、眼鏡の奥から見つめすぎだって。何となく鼓動が大きくなるのを感じながら、トモの想い人を想像する。もしかしたら、トモの片想いなのかもしれない。でもずっと想い続けてっていうのは。
「いいですね。その人が羨ましい。」
「……そうか? カズは好きな奴は、いるのか?」
話を終了させようとして失敗。こちらに振られるとは思ってもいなかった。ここは正直に言うべき?
「僕、今まで付き合ったという経験がなくて。恥ずかしい話。いいと思う子がいても、いつの間にか違う奴とくっついているんですよね。」
だから年齢イコール彼女いない歴です。無理におちゃらけてトモの顔を見て失敗した事に気づく。まだジッと見られている。ほら、ここは笑顔になるべきだ。思い切って童貞の告白をしたんだぞ?
「……そうか。」
表情を変えぬままに言ってくる言葉にまた顔が熱くなる。マジに取んないで、お願いだから。言っちゃった自分が恥ずかしくなるじゃないか。21だぞ? くそっ。教育実習が終わったら、絶対に彼女作る!
何となくのトモとの告白大会をしながら食事を終えた。食べ終わった食器を片付けている間に、トモは自室で少し休むと上がって行った。食器洗いをしながら、トモとの会話を反芻する。
『ゲイだったのはユウ。リョウに熱烈に恋してた。リョウもトモの事を好きだった。そしてトモは他に好きな子がいる。』
なんだろ。みんながみんな一方通行? でも、好きでもない奴とセッ・スできるわけ? でも、昨夜のリョウの表情は……。ここまで考えて頭を振る。誰が誰に片想いしていようが僕には関係ない。ちょっとだけ刺激が強すぎた昨夜の事は忘れて、学校のことに集中しよう。
今日一日はしっかりと指導案に向き合おうと、頭の中で予定を組み立てながら、食器に付いた泡と昨夜からの動揺を流水で流し続けた。
「えっ!?」
トモには好きな人がいるっていうこと? あ、リョウがトモをずっと想っていて……そして夕べ初めてそれに気づいたとしたら、トモはノーマル?
「どんな方なんですか?」
「純粋で、恥ずかしがり屋でちょっとだけ不器用な。そこがまた愛おしい。」
うわっ! 聞いているこっちが恥ずかしい。何故かジッと見つめられながら聞いたセリフに、自分の顔が熱くなっていくのが分かった。熱烈だな。
「可愛い方なんでしょうね。」
言ってマグに口をつける。程よく温まったお茶の香りが疲れていた心と体をとても癒してくれた。
トモは付き合ってるのかな? どんな女性なんだろ。でもここ2週間のことを振り返ってみても、誰かとデートしている様子はなかった。夜はみんなより早く帰って夕飯の準備をしていたし。……遠距離か?
「ああ。ずっと想い続けていた。」
だから、眼鏡の奥から見つめすぎだって。何となく鼓動が大きくなるのを感じながら、トモの想い人を想像する。もしかしたら、トモの片想いなのかもしれない。でもずっと想い続けてっていうのは。
「いいですね。その人が羨ましい。」
「……そうか? カズは好きな奴は、いるのか?」
話を終了させようとして失敗。こちらに振られるとは思ってもいなかった。ここは正直に言うべき?
「僕、今まで付き合ったという経験がなくて。恥ずかしい話。いいと思う子がいても、いつの間にか違う奴とくっついているんですよね。」
だから年齢イコール彼女いない歴です。無理におちゃらけてトモの顔を見て失敗した事に気づく。まだジッと見られている。ほら、ここは笑顔になるべきだ。思い切って童貞の告白をしたんだぞ?
「……そうか。」
表情を変えぬままに言ってくる言葉にまた顔が熱くなる。マジに取んないで、お願いだから。言っちゃった自分が恥ずかしくなるじゃないか。21だぞ? くそっ。教育実習が終わったら、絶対に彼女作る!
何となくのトモとの告白大会をしながら食事を終えた。食べ終わった食器を片付けている間に、トモは自室で少し休むと上がって行った。食器洗いをしながら、トモとの会話を反芻する。
『ゲイだったのはユウ。リョウに熱烈に恋してた。リョウもトモの事を好きだった。そしてトモは他に好きな子がいる。』
なんだろ。みんながみんな一方通行? でも、好きでもない奴とセッ・スできるわけ? でも、昨夜のリョウの表情は……。ここまで考えて頭を振る。誰が誰に片想いしていようが僕には関係ない。ちょっとだけ刺激が強すぎた昨夜の事は忘れて、学校のことに集中しよう。
今日一日はしっかりと指導案に向き合おうと、頭の中で予定を組み立てながら、食器に付いた泡と昨夜からの動揺を流水で流し続けた。
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