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教育実習ニ週目
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「よし、食べるぞ。」
3枚のトンカツを揚げ終わって、まな板の上で一口大に切っていたトモが口を開いた。
「あれ? ユウさんの分は?」
まだ衣を纏った豚肉が1枚、皿に鎮座している。小さく切られたトマトやレモン、きゅうりがそれぞれの皿に収まって出番を待っていた。
「ユウは今日遅くなる。帰ってきたら揚げてやるさ。」
水を切っていた千切りキャベツを皿に盛り、トンカツを乗せてトマトとレモンをトッピング。良かった。僕の分のトマトはまた薄切りだ。
「僕が運ぶよん。」
ランチョンマットを設置していたリョウがカウンターから皿を下ろす。味噌汁にご飯、きゅうり漬けの小鉢も付いて、ちょっとした小料理屋にも引けをとらない。お腹がグーっと音を立てた。
いつもの席。僕の左側にトモ、その前にリョウ。夕飯を3人でとるのは初めてだ。今まで必ず全員が揃ってた。ユウは、どうしたんだろう?
「ユウさんは残業ですか?」
洋芥子は苦手だ。僕はトンカツにソースを少しだけかけながら、2人に話しかけた。
「いいんだ、アイツなんて。」
リョウがすかさず頬を膨らませて味噌汁に口をつけた。
「どうした? 何かあったのか?」
ご飯を口に運ぼうとしていたトモが手を止めて、不思議そうな顔でリョウを見た。僕もリョウに注目する。リョウの顔はほんのりと赤くなっていた。
「何もない。ただ、喧嘩しただけ。」
「……珍しいな。だから今日は残業するって言ってたのか。」
僕はそこで、この3人の仕事を何ひとつ知らない事に気づいた。聞いてみるのにいいチャンスかもしれない。
「皆さん、お仕事は何をされているんですか?」
僕の問いかけで、トモとリョウがさっと顔を見合わせた。トモが微かに頷く。
「リョウとユウは技術者だ。ユウの方が上司。リョウは2年あとに入社した。俺は開発部に勤めている。」
「開発って何かをデザインしたり、発明したりっていう事ですか?」
食品? 技術っていったら食べ物ではなくて物かな?
「ああ、そんなところ。そのデザインした物をリョウやユウが形にする。」
「へぇ……難しそうですね。」
だからか。だから洗面所に鍵を取り付けるなんてできるんだ。でもこの体の細い、女顔のリョウがドライバーを持って取り付けている姿なんて想像できないな。
「だから、洗面所に鍵を付けられたんですね? 凄いですね。」
僕の言葉を聞いて、少しだけリョウが笑顔を見せた。
「ま、慣れれば大したことないって。」
「俺も付けられる。」
僕の言葉を聞いて、何故かトモがトンカツを睨みながら憮然と呟いていた。
3枚のトンカツを揚げ終わって、まな板の上で一口大に切っていたトモが口を開いた。
「あれ? ユウさんの分は?」
まだ衣を纏った豚肉が1枚、皿に鎮座している。小さく切られたトマトやレモン、きゅうりがそれぞれの皿に収まって出番を待っていた。
「ユウは今日遅くなる。帰ってきたら揚げてやるさ。」
水を切っていた千切りキャベツを皿に盛り、トンカツを乗せてトマトとレモンをトッピング。良かった。僕の分のトマトはまた薄切りだ。
「僕が運ぶよん。」
ランチョンマットを設置していたリョウがカウンターから皿を下ろす。味噌汁にご飯、きゅうり漬けの小鉢も付いて、ちょっとした小料理屋にも引けをとらない。お腹がグーっと音を立てた。
いつもの席。僕の左側にトモ、その前にリョウ。夕飯を3人でとるのは初めてだ。今まで必ず全員が揃ってた。ユウは、どうしたんだろう?
「ユウさんは残業ですか?」
洋芥子は苦手だ。僕はトンカツにソースを少しだけかけながら、2人に話しかけた。
「いいんだ、アイツなんて。」
リョウがすかさず頬を膨らませて味噌汁に口をつけた。
「どうした? 何かあったのか?」
ご飯を口に運ぼうとしていたトモが手を止めて、不思議そうな顔でリョウを見た。僕もリョウに注目する。リョウの顔はほんのりと赤くなっていた。
「何もない。ただ、喧嘩しただけ。」
「……珍しいな。だから今日は残業するって言ってたのか。」
僕はそこで、この3人の仕事を何ひとつ知らない事に気づいた。聞いてみるのにいいチャンスかもしれない。
「皆さん、お仕事は何をされているんですか?」
僕の問いかけで、トモとリョウがさっと顔を見合わせた。トモが微かに頷く。
「リョウとユウは技術者だ。ユウの方が上司。リョウは2年あとに入社した。俺は開発部に勤めている。」
「開発って何かをデザインしたり、発明したりっていう事ですか?」
食品? 技術っていったら食べ物ではなくて物かな?
「ああ、そんなところ。そのデザインした物をリョウやユウが形にする。」
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だからか。だから洗面所に鍵を取り付けるなんてできるんだ。でもこの体の細い、女顔のリョウがドライバーを持って取り付けている姿なんて想像できないな。
「だから、洗面所に鍵を付けられたんですね? 凄いですね。」
僕の言葉を聞いて、少しだけリョウが笑顔を見せた。
「ま、慣れれば大したことないって。」
「俺も付けられる。」
僕の言葉を聞いて、何故かトモがトンカツを睨みながら憮然と呟いていた。
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