未来も過去も ーコウイチー

後悔

1

「誰かと待ち合わせですか？」

駅前の噴水のそばのベンチに腰かけてスマホを見ていると、傍から声をかけられた。目の前には花柄のワンピースに身を包み、小さなバッグを持った女。
「いや…。」

俺が呟くと、にっこり笑った。
「隣、いいですか？」
笑った顔があの人に似ている…。

「ああ。」
俺の言葉で女が隣に座った。ふんわりと香水の香りが漂う。いかにも清楚に装いそうな女がつける香り。なんだか胃がムカムカする。

「さっきからずっと見ていたんです。なんだか気になって…。」
「そう。」
別に誰かと話したいわけじゃない。バイトが終わって帰る途中だ。すぐに帰る気にもならず、ただ時間を潰していただけ…。

そんな事を考えながら、こちらから話を振った。
「…で？どうする？この後。」