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2か月前、「自分の部屋」で(真人)
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「ゆ、ゆう…。」
頭の中が真っ白になって言葉が出てこない。たくさん話したいことや、聞きたいことがあったはずなのに、何一つ思い浮かべることが出来なかった。
「今、どこ?」
ゆうの声にハッとする。
「い、今…部屋。自分の部屋。」
部屋って言ってもわかるはずがない。慌てて言い直した。
「自分の部屋って…あの部屋?」
「うん…。」
思わず顔が赤くなる…。2年以上経っても、あの一晩の幸福な時間は昨日のことのように思い出すことができた。
「真人は…『trois』で働いてるの?『minori's coffee』じゃなく?」
ゆうの言葉に、最近疑問に思っていたことを思い出した。
「どうして俺が『minori's coffee』で働いていたことを知っているの?」
「………」
少しだけ、2人の間に沈黙が訪れた。
「ごめん。…1年半ぐらい前に『minori's coffee』に仕事で行ってたんだ。」
「どうして…?」
やっぱり…!あの田中なんとかっていう人…?でもそれなら何故知らない様子だった?任務だから…?そうするより他なかったっていうこと?
「あの時は…真人のことを真人だって分からなかった。」
「………」
言葉が出てこない。
「あの時、どうしても会ったことがあるような気がして名前を聞いた。でも、それでも思い出せなかったんだ。…ごめんな。」
やはりあの時の田中っていう人はゆうだった。自分の中でそれが確信に変わった。ゆうは病気…?何かの病気なんだろうか…。それでも…。
「うん、いいよ。こうして…話せるだけでとても嬉しい。『minori's coffee』は、多分、ゆうに会った日で辞めたんだ。元々コーヒーの事を教えて貰うために期間限定で働いていたから。」
「そうか。『ミノ・カフェ』のコーヒーは旨いよな。俺も好き。それで、何のコーヒーを教えてもらったの?」
「……モカとかブルマンとか……煎り方から…教えてもらった…。」
新たな疑問が湧き、何て答えているのか意識せずに口が動いた。…「ミノ・カフェ」?どうして「minori's coffee」が「ミノ・カフェ」に関わりがあるって知ってるんだ?それより…どうして「ミノ・カフェ」を知ってる?
「ゆう…もしかしてだけど…うちの近くに住んでたりする?」
「………」
今度の沈黙は長かった。次第に速くなる心臓の音を聞きながら、ゆうの次の言葉を待った。手が痺れてきた…。
「…うん。近くに住んでる。」
俺の心臓が1度だけ大きく跳ねた。
頭の中が真っ白になって言葉が出てこない。たくさん話したいことや、聞きたいことがあったはずなのに、何一つ思い浮かべることが出来なかった。
「今、どこ?」
ゆうの声にハッとする。
「い、今…部屋。自分の部屋。」
部屋って言ってもわかるはずがない。慌てて言い直した。
「自分の部屋って…あの部屋?」
「うん…。」
思わず顔が赤くなる…。2年以上経っても、あの一晩の幸福な時間は昨日のことのように思い出すことができた。
「真人は…『trois』で働いてるの?『minori's coffee』じゃなく?」
ゆうの言葉に、最近疑問に思っていたことを思い出した。
「どうして俺が『minori's coffee』で働いていたことを知っているの?」
「………」
少しだけ、2人の間に沈黙が訪れた。
「ごめん。…1年半ぐらい前に『minori's coffee』に仕事で行ってたんだ。」
「どうして…?」
やっぱり…!あの田中なんとかっていう人…?でもそれなら何故知らない様子だった?任務だから…?そうするより他なかったっていうこと?
「あの時は…真人のことを真人だって分からなかった。」
「………」
言葉が出てこない。
「あの時、どうしても会ったことがあるような気がして名前を聞いた。でも、それでも思い出せなかったんだ。…ごめんな。」
やはりあの時の田中っていう人はゆうだった。自分の中でそれが確信に変わった。ゆうは病気…?何かの病気なんだろうか…。それでも…。
「うん、いいよ。こうして…話せるだけでとても嬉しい。『minori's coffee』は、多分、ゆうに会った日で辞めたんだ。元々コーヒーの事を教えて貰うために期間限定で働いていたから。」
「そうか。『ミノ・カフェ』のコーヒーは旨いよな。俺も好き。それで、何のコーヒーを教えてもらったの?」
「……モカとかブルマンとか……煎り方から…教えてもらった…。」
新たな疑問が湧き、何て答えているのか意識せずに口が動いた。…「ミノ・カフェ」?どうして「minori's coffee」が「ミノ・カフェ」に関わりがあるって知ってるんだ?それより…どうして「ミノ・カフェ」を知ってる?
「ゆう…もしかしてだけど…うちの近くに住んでたりする?」
「………」
今度の沈黙は長かった。次第に速くなる心臓の音を聞きながら、ゆうの次の言葉を待った。手が痺れてきた…。
「…うん。近くに住んでる。」
俺の心臓が1度だけ大きく跳ねた。
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