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3回目〜5年前〜(悠)
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「お前さ、本気になった事ある?」
「本気?」
ラーメンが半分ほどなくなったところで、生田さんが話しかけてきた。俺はいつでも本気だぞ?嘘で付き合った事は1度もない。2股もかけた事ない。
「本気って…いつでも本気ですよ?今まで。全部。」
「振られても、思い続けた経験は?」
振られてもって…。あまり経験はないかな。ま、しょうがないかって、気持ちをすぐに切り替えてた。
「…ないっスね。俺…あまり執着しない方なんで。」
今日の味噌はちょっとしょっぱいな…。そんな事を考えながらの俺の返答に生田さんがため息をついた。
「お前、恋愛経験値0だな。」
「生田さんは?どうやって本気だと見極められたんですか?」
生田さんが年上の彼女と同棲中なのはほとんど周知の事実だ。佐藤さんなんてこの前、すごく羨ましがってた。
「相手がどんなに嫌がっても一緒にいたかった。アイツ…結構遊んでたからな。」
ほー、遊んでいたとな。生田さんの他にセフレがいたんだ。俺は…ヤダな。誰かとは共有したくない。
「今は…相手は…?」
「俺だけに決まってんだろ!」
隠れて…はないか。隠し事は、頑張れば頑張るほど分かるもんだ。経験値0でも分かる。俺にもその経験はある。いつしか彼女の心が離れていくのは、手に取るように分かるようになっていた。それで逆に気持ちも冷め、別れを告げることも多かった。
「生田さんの好みってどんな子ですか?」
ふと聞いてみたくなった。俺は…んー、どんな子が好みかな…?
「目、だな。」
「目?」
「ああ。人のことを真っ直ぐに見つめる大きな目。アレにやられる。」
『目』と聞いて、前回の任務を思い出す。綺麗な瞳…。あのまこと…奥村真人という奴…。昔見たことがある。4人組から助けた時……。…あれ…本当に…それだけ?
「お前の好みは?」
ハッとして視線を生田さんに向ける。ほとんどラーメンを食べ終わりそうだ。
「俺は…ないっスね。いいと思う所が1つでもあればオーケーかな…。執着心も、恋愛経験値も0なんで…。」
俺もラーメンを食べ進めようと、大量にすすり上げる。ズズズッっと音が出る向かい側で盛大なため息が聞こえた。
「何だか可哀想になってきたな…。」
会計を終えて店を出る。ふと左を見ると、2人連れの男が並んで歩いていた。
「あれ…?小野寺さん…?」
と、あのガタイのいい男は洸一さんだ。俺よりも背が高い男はあまりいない。間違いない。作業着のようなものを着ている…仕事中?あれ…小野寺さんは休みだよな?何でここに?
「おい、見るな。行こうぜ。」
ニヤッと笑って発せられた生田さんの言葉に我に返った。そのまま、バックヤードを目指して歩き出した。
『あの2人、仲がいいんだな。』
この前は一緒に飲んでたし…。そんな事を考えていた。
「本気?」
ラーメンが半分ほどなくなったところで、生田さんが話しかけてきた。俺はいつでも本気だぞ?嘘で付き合った事は1度もない。2股もかけた事ない。
「本気って…いつでも本気ですよ?今まで。全部。」
「振られても、思い続けた経験は?」
振られてもって…。あまり経験はないかな。ま、しょうがないかって、気持ちをすぐに切り替えてた。
「…ないっスね。俺…あまり執着しない方なんで。」
今日の味噌はちょっとしょっぱいな…。そんな事を考えながらの俺の返答に生田さんがため息をついた。
「お前、恋愛経験値0だな。」
「生田さんは?どうやって本気だと見極められたんですか?」
生田さんが年上の彼女と同棲中なのはほとんど周知の事実だ。佐藤さんなんてこの前、すごく羨ましがってた。
「相手がどんなに嫌がっても一緒にいたかった。アイツ…結構遊んでたからな。」
ほー、遊んでいたとな。生田さんの他にセフレがいたんだ。俺は…ヤダな。誰かとは共有したくない。
「今は…相手は…?」
「俺だけに決まってんだろ!」
隠れて…はないか。隠し事は、頑張れば頑張るほど分かるもんだ。経験値0でも分かる。俺にもその経験はある。いつしか彼女の心が離れていくのは、手に取るように分かるようになっていた。それで逆に気持ちも冷め、別れを告げることも多かった。
「生田さんの好みってどんな子ですか?」
ふと聞いてみたくなった。俺は…んー、どんな子が好みかな…?
「目、だな。」
「目?」
「ああ。人のことを真っ直ぐに見つめる大きな目。アレにやられる。」
『目』と聞いて、前回の任務を思い出す。綺麗な瞳…。あのまこと…奥村真人という奴…。昔見たことがある。4人組から助けた時……。…あれ…本当に…それだけ?
「お前の好みは?」
ハッとして視線を生田さんに向ける。ほとんどラーメンを食べ終わりそうだ。
「俺は…ないっスね。いいと思う所が1つでもあればオーケーかな…。執着心も、恋愛経験値も0なんで…。」
俺もラーメンを食べ進めようと、大量にすすり上げる。ズズズッっと音が出る向かい側で盛大なため息が聞こえた。
「何だか可哀想になってきたな…。」
会計を終えて店を出る。ふと左を見ると、2人連れの男が並んで歩いていた。
「あれ…?小野寺さん…?」
と、あのガタイのいい男は洸一さんだ。俺よりも背が高い男はあまりいない。間違いない。作業着のようなものを着ている…仕事中?あれ…小野寺さんは休みだよな?何でここに?
「おい、見るな。行こうぜ。」
ニヤッと笑って発せられた生田さんの言葉に我に返った。そのまま、バックヤードを目指して歩き出した。
『あの2人、仲がいいんだな。』
この前は一緒に飲んでたし…。そんな事を考えていた。
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