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2年前、「trois 」で(真人)
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前髪を優しくかき上げられ、額にキスを感じて目が覚めた。俺は、ベッドの中で布団をかけられ、ゆうに腕枕をされていた。
『寝てた…のか?』
隣のゆうを見ると、俺の顔を見ながら、優しく微笑んでいる。
「目が覚めた?なかなか起きないから心配になってきたとこだった。スポーツドリンク、飲む?」
キスしたゆうがベッドの棚に手を伸ばして、半分ほど減ったペットボトルを掴んで差し出してきた。いつの間にか裸になっていた胸にはネックレス…。前回は無かった…。細くねじれた形のチャームがオシャレだ…。思わず手を伸ばす。
「これ?中々いいだろ?ほら…真人も…お揃い。」
ペットボトルを俺の隣に置いて、ゆうの指が俺の首を撫でた。長い指で触られた途端にゾクゾクしてくる。気がつくと、俺の胸にも同じものがかけられていた。自分のネックレスのチャームを持ち上げて気づく。胸に沢山の小さな紅花…。ゆうに…つけられた…。
「1週間前、誕生日だったろ?二十歳の誕生日おめでとう。これはプレゼント…。たまにつけて…。これで…たまに…俺のこと思い出して…。」
甘いキスが落ちてくる。俺の誕生日は12月30日。どうして俺の誕生日を知ってるんだろう?疑問に思いながらもゆうの首に手を回す。
「ありがとう。」
お揃いのネックレス。2年後の約束が現実になるといい…。期待が膨らみ、思わず自分からキスをしていた。唇を離し、ゆうの胸に顔を埋める。右の鎖骨の下…。3年前に見つけたホクロがちゃんとそこにあった。
『僕の…俺の…ゆう…』
ホクロの上から、そっとキスをした。
「真人…好きだよ。もう誰もいらない…真人だけだ…。」
その日、眠りに落ちるまで、ゆうと沢山のキスをした。
「じゃ、また来るから。4月1日に…。」
昨日来ていたスーツに着替えたゆうが、住居の方の玄関で俺にキスをしてきた。後2年…長いな…寂しい…。鼻の奥がツンとして、思わず俯いた。髪を撫でられたかと思うと、ギュッと抱きしめられた。
「そんな顔しないで…帰れない。」
帰らないで…。またすぐに来て。…言ってもいいだろうか…。
言葉の代わりに、俺も強く抱きついた。ゆうの唇がそっと俺のものに重なる…。俺も思いを込めてそれに応えた。思わず深くなった口付けは長かった。待ってるから…。言葉にならない思いを唇に乗せ、ゆうに伝えた。
「じゃあ、行くね。」
額にキスをしたゆうが言った。顔を見つめる。夢じゃない本物のゆう。多分2年間は会えないであろう…ゆう。顔を忘れないように…。
『あれ?瞳の色…茶色?』
どこかで見た瞳の色に戸惑っているうちに、玄関のとびらをあけ、手を上げたゆうが去っていった。
「お…おれ、待ってる…!」
流れ出した涙とともに呟いた言葉は、扉の音にかき消された。
『寝てた…のか?』
隣のゆうを見ると、俺の顔を見ながら、優しく微笑んでいる。
「目が覚めた?なかなか起きないから心配になってきたとこだった。スポーツドリンク、飲む?」
キスしたゆうがベッドの棚に手を伸ばして、半分ほど減ったペットボトルを掴んで差し出してきた。いつの間にか裸になっていた胸にはネックレス…。前回は無かった…。細くねじれた形のチャームがオシャレだ…。思わず手を伸ばす。
「これ?中々いいだろ?ほら…真人も…お揃い。」
ペットボトルを俺の隣に置いて、ゆうの指が俺の首を撫でた。長い指で触られた途端にゾクゾクしてくる。気がつくと、俺の胸にも同じものがかけられていた。自分のネックレスのチャームを持ち上げて気づく。胸に沢山の小さな紅花…。ゆうに…つけられた…。
「1週間前、誕生日だったろ?二十歳の誕生日おめでとう。これはプレゼント…。たまにつけて…。これで…たまに…俺のこと思い出して…。」
甘いキスが落ちてくる。俺の誕生日は12月30日。どうして俺の誕生日を知ってるんだろう?疑問に思いながらもゆうの首に手を回す。
「ありがとう。」
お揃いのネックレス。2年後の約束が現実になるといい…。期待が膨らみ、思わず自分からキスをしていた。唇を離し、ゆうの胸に顔を埋める。右の鎖骨の下…。3年前に見つけたホクロがちゃんとそこにあった。
『僕の…俺の…ゆう…』
ホクロの上から、そっとキスをした。
「真人…好きだよ。もう誰もいらない…真人だけだ…。」
その日、眠りに落ちるまで、ゆうと沢山のキスをした。
「じゃ、また来るから。4月1日に…。」
昨日来ていたスーツに着替えたゆうが、住居の方の玄関で俺にキスをしてきた。後2年…長いな…寂しい…。鼻の奥がツンとして、思わず俯いた。髪を撫でられたかと思うと、ギュッと抱きしめられた。
「そんな顔しないで…帰れない。」
帰らないで…。またすぐに来て。…言ってもいいだろうか…。
言葉の代わりに、俺も強く抱きついた。ゆうの唇がそっと俺のものに重なる…。俺も思いを込めてそれに応えた。思わず深くなった口付けは長かった。待ってるから…。言葉にならない思いを唇に乗せ、ゆうに伝えた。
「じゃあ、行くね。」
額にキスをしたゆうが言った。顔を見つめる。夢じゃない本物のゆう。多分2年間は会えないであろう…ゆう。顔を忘れないように…。
『あれ?瞳の色…茶色?』
どこかで見た瞳の色に戸惑っているうちに、玄関のとびらをあけ、手を上げたゆうが去っていった。
「お…おれ、待ってる…!」
流れ出した涙とともに呟いた言葉は、扉の音にかき消された。
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