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想いが溢れた
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「…いつから…?」
コウイチが、俺の顔を両手で包んで持ち上げた。俺はまだ涙が止まらなかったがコウイチの目を見てハッキリと告げた。
「……もう…ずっと前から…。」
コウイチは何も言わずに顔を傾けると、そっと俺にキスを落とした。初めてコウイチからされたキスはとても長く、何日か前にこう君からされたものと同じものだった。
「…ずっと、待ってた…。…諦められなかった…愛してた…。」
コウイチは、そう言うと俺のメガネを外して唇を重ね、舌で俺の唇を舐めた。静かに舌が入ってくる。その甘い動きに俺は何も考えられなくなった。コウイチの舌を追いかける。全身が痺れてコウイチの舌のことしか考えられなくなった。ここが過去であるということ、公園であるということ…どうでも良かった…。
「カサッ」
小さな音に反応して、俺たちは口づけを離した。コウイチは俺の顔を隠すように胸に抱いて辺りを見回した。
「帰ろう…」
コウイチは俺の右手を左手で握り、メガネをポケットに入れると、もう既に飲み干していたコーヒーの缶を拾った。公園の入り口近くにある自販機の缶入れに2人で缶を捨てに行く。
『『!』』
缶専用のゴミ箱の蓋の上に、茶封筒が置いてあった。俺が…巌城さんから受け取ってくるはずだった封筒…!
「…奏?……忘れてきたのか?」
コウイチの声がいつもの調子に戻っていた。
「…う、うん……へへへ。」
俺は、笑ってごまかすしかなかった。
「くそっ。親父の奴…!」
真っ赤な顔をしたコウイチが、封筒を乱暴に掴むとそのままズンズン歩きはじめた。
「えっ?また行くの…?」
俺はこのまま2人で巌城さんに会いに行くのはとても恥ずかしかった。
「行くはずないだろう。…帰る。」
まだ赤い顔のままで、少し歩みを遅くしたコウイチが、こちらをチラリと見た。
そのまま大通りまで出て、俺たちはバスを待たずにタクシーを捕まえた。コウイチは俺の右手を離そうとはしなかった。
いつものバス停前でタクシーを止め、俺たちは金を払って降り立った。まだ7時前にもかかわらず、人通りが全くなかった。タクシーを見送ると、コウイチは俺の顎に手を添えて上を向かせ、また口づけてきた。
「こ、コウイチっ!は、恥ずかしい…。」
俺はこんなところでキスをした事なんかないぞっ!誰かに見られたらと思うと、とても恥ずかしかった。
「恥ずかしくない…。まだ足りない…。」
耳元で囁かれたコウイチの声に全身がゾクゾクと痺れた。コウイチにしがみつき、顔を胸に埋めるしか方法が無かった。息を大きく吸い込む。コウイチの匂いがする…。安心する…コウイチの香り…。
「行こう。」
コウイチが呟き、俺にメガネを返してきた。俺はメガネをハンカチで拭いて綺麗にし、スイッチが入っている事を確認すると、また手をコウイチの左手に手を滑り込ませて道を渡った。コウイチもギュッと握り返してくれた。
コウイチが、俺の顔を両手で包んで持ち上げた。俺はまだ涙が止まらなかったがコウイチの目を見てハッキリと告げた。
「……もう…ずっと前から…。」
コウイチは何も言わずに顔を傾けると、そっと俺にキスを落とした。初めてコウイチからされたキスはとても長く、何日か前にこう君からされたものと同じものだった。
「…ずっと、待ってた…。…諦められなかった…愛してた…。」
コウイチは、そう言うと俺のメガネを外して唇を重ね、舌で俺の唇を舐めた。静かに舌が入ってくる。その甘い動きに俺は何も考えられなくなった。コウイチの舌を追いかける。全身が痺れてコウイチの舌のことしか考えられなくなった。ここが過去であるということ、公園であるということ…どうでも良かった…。
「カサッ」
小さな音に反応して、俺たちは口づけを離した。コウイチは俺の顔を隠すように胸に抱いて辺りを見回した。
「帰ろう…」
コウイチは俺の右手を左手で握り、メガネをポケットに入れると、もう既に飲み干していたコーヒーの缶を拾った。公園の入り口近くにある自販機の缶入れに2人で缶を捨てに行く。
『『!』』
缶専用のゴミ箱の蓋の上に、茶封筒が置いてあった。俺が…巌城さんから受け取ってくるはずだった封筒…!
「…奏?……忘れてきたのか?」
コウイチの声がいつもの調子に戻っていた。
「…う、うん……へへへ。」
俺は、笑ってごまかすしかなかった。
「くそっ。親父の奴…!」
真っ赤な顔をしたコウイチが、封筒を乱暴に掴むとそのままズンズン歩きはじめた。
「えっ?また行くの…?」
俺はこのまま2人で巌城さんに会いに行くのはとても恥ずかしかった。
「行くはずないだろう。…帰る。」
まだ赤い顔のままで、少し歩みを遅くしたコウイチが、こちらをチラリと見た。
そのまま大通りまで出て、俺たちはバスを待たずにタクシーを捕まえた。コウイチは俺の右手を離そうとはしなかった。
いつものバス停前でタクシーを止め、俺たちは金を払って降り立った。まだ7時前にもかかわらず、人通りが全くなかった。タクシーを見送ると、コウイチは俺の顎に手を添えて上を向かせ、また口づけてきた。
「こ、コウイチっ!は、恥ずかしい…。」
俺はこんなところでキスをした事なんかないぞっ!誰かに見られたらと思うと、とても恥ずかしかった。
「恥ずかしくない…。まだ足りない…。」
耳元で囁かれたコウイチの声に全身がゾクゾクと痺れた。コウイチにしがみつき、顔を胸に埋めるしか方法が無かった。息を大きく吸い込む。コウイチの匂いがする…。安心する…コウイチの香り…。
「行こう。」
コウイチが呟き、俺にメガネを返してきた。俺はメガネをハンカチで拭いて綺麗にし、スイッチが入っている事を確認すると、また手をコウイチの左手に手を滑り込ませて道を渡った。コウイチもギュッと握り返してくれた。
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