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10年前
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「ただいま。小野寺さん来たよ!」
こう君の言葉におばあさんが現れた。
「まあ、いらっしゃい。あいかわらず若いわね!洸(ひろし)っ!小野寺さんよ。」
「はーい。今行きまーす。」
奥から巌城さんの穏やかな声が届いた。
「今から主人とちょっと出かけて来るの。洸(こう)、あなた小野寺さんにお茶お願いね?」
「うん。任せて。」
そこにおじいさんも出てきた。
「あ、小野寺さんいらっしゃい。失礼。また後で。」
ちょうど出てきたおじいさんと俺が入れ違いになるように2人は出て行った。
「小野寺さん、ここで待ってて。」
居間に案内され、テーブルに向かって座る。こう君がお茶を入れるためか、「父さん、まだ?」と奥に声をかけて台所へ消えて行った。
部屋を見渡すと、2年前とほとんど変わりなかった。本棚の本が変わっているぐらいか。少年向けの本や雑誌が一切無くなって、難しそうな専門書や雑誌が幅を利かせていた。上の方に折り紙で作ったものが並んでいる。
ふと気になって立って近づいてみた。折り鶴がほとんどだ。どうやるのか4つの折り鶴が嘴や羽の所で繋がっているのもある。その中にひとつだけハートの形をしたものがあった。3センチメートルぐらいだろうか。とても小さい。包装紙を切ったものなのか、白い紙に小さな桜が散りばめられていて、とても可愛らしかった。
『あれ?これと同じ折り方のハート、コウイチの部屋で見たな…。』
多分これらを折ったのはこう君だ。こう君も、結構ロマンチックだ。クスッと笑いがこみ上げてきた。
「小野寺さん、久しぶりですね。」
巌城さんが笑顔で入ってきた。俺はまた巌城さんの対面に座り、挨拶をした。
「ご無沙汰しております。」
「洸も待ちきれなかったようですよ。…ちょっと失礼しますね。」
今日は祖父母がいないからか、その場で封を開け書類を出した。書類とともに、白い封筒が入っていて、巌城さんがそれも封を開けて、中の手紙を読み出した。
「…これは…。」
「何かありましたか?」
「はーい、コーヒーできたよ。」
俺が質問したからか、こう君が部屋に入ってきたからか、巌城さんは慌てたように手紙をしまって笑顔を貼り付けた。
「いえ別に。洸、サンキューな。洸の入れたコーヒー、美味いですよ。」
「俺もブラックで飲めるようになったんだ。」
3人分のコーヒーカップを置きながら、こう君が笑顔をみせた。
こう君のコーヒーは本当に美味しかった。コーヒーを飲みながら、今回もメガネとスマホを渡す。最近は、道や指令を確認することも無くなって、このスマホは巌城さんに渡すだけに持ってきてる気がする。
「父さん、今日も時間かかるだろ?小野寺さんと映画を見に行ってきてもいい?」
「何の映画?」
「んー、後で検索して決めてから行く。」
「お前、今日部活サボったんだろ?大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。」
俺の今日の時間の過ごし方は、映画鑑賞になるらしい。何の映画になるかな。こう君と映画館も悪くない。ちょっとだけ楽しみになってきた。
こう君の言葉におばあさんが現れた。
「まあ、いらっしゃい。あいかわらず若いわね!洸(ひろし)っ!小野寺さんよ。」
「はーい。今行きまーす。」
奥から巌城さんの穏やかな声が届いた。
「今から主人とちょっと出かけて来るの。洸(こう)、あなた小野寺さんにお茶お願いね?」
「うん。任せて。」
そこにおじいさんも出てきた。
「あ、小野寺さんいらっしゃい。失礼。また後で。」
ちょうど出てきたおじいさんと俺が入れ違いになるように2人は出て行った。
「小野寺さん、ここで待ってて。」
居間に案内され、テーブルに向かって座る。こう君がお茶を入れるためか、「父さん、まだ?」と奥に声をかけて台所へ消えて行った。
部屋を見渡すと、2年前とほとんど変わりなかった。本棚の本が変わっているぐらいか。少年向けの本や雑誌が一切無くなって、難しそうな専門書や雑誌が幅を利かせていた。上の方に折り紙で作ったものが並んでいる。
ふと気になって立って近づいてみた。折り鶴がほとんどだ。どうやるのか4つの折り鶴が嘴や羽の所で繋がっているのもある。その中にひとつだけハートの形をしたものがあった。3センチメートルぐらいだろうか。とても小さい。包装紙を切ったものなのか、白い紙に小さな桜が散りばめられていて、とても可愛らしかった。
『あれ?これと同じ折り方のハート、コウイチの部屋で見たな…。』
多分これらを折ったのはこう君だ。こう君も、結構ロマンチックだ。クスッと笑いがこみ上げてきた。
「小野寺さん、久しぶりですね。」
巌城さんが笑顔で入ってきた。俺はまた巌城さんの対面に座り、挨拶をした。
「ご無沙汰しております。」
「洸も待ちきれなかったようですよ。…ちょっと失礼しますね。」
今日は祖父母がいないからか、その場で封を開け書類を出した。書類とともに、白い封筒が入っていて、巌城さんがそれも封を開けて、中の手紙を読み出した。
「…これは…。」
「何かありましたか?」
「はーい、コーヒーできたよ。」
俺が質問したからか、こう君が部屋に入ってきたからか、巌城さんは慌てたように手紙をしまって笑顔を貼り付けた。
「いえ別に。洸、サンキューな。洸の入れたコーヒー、美味いですよ。」
「俺もブラックで飲めるようになったんだ。」
3人分のコーヒーカップを置きながら、こう君が笑顔をみせた。
こう君のコーヒーは本当に美味しかった。コーヒーを飲みながら、今回もメガネとスマホを渡す。最近は、道や指令を確認することも無くなって、このスマホは巌城さんに渡すだけに持ってきてる気がする。
「父さん、今日も時間かかるだろ?小野寺さんと映画を見に行ってきてもいい?」
「何の映画?」
「んー、後で検索して決めてから行く。」
「お前、今日部活サボったんだろ?大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。」
俺の今日の時間の過ごし方は、映画鑑賞になるらしい。何の映画になるかな。こう君と映画館も悪くない。ちょっとだけ楽しみになってきた。
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