未来も過去も

ー公園ー

2

「！！」

後ろを振り向く。男の顔を認識する間もなく、その男の口で口を塞がれた。

「むぅ…！んーーーーーーーー！！」
引き剥がそうとするが、男の力がやたら強くて全然びくともしない。その場で倒されメガネが顔から飛んでいった。

男が俺の上に乗りかかる。腕も地面に押さえつけられてぴくりとも動かせない。そのうち、強引に舌が入ってきた。ヤニ臭い舌が口の中を掻き回す。

『気持ち悪い！』

改めて引き剥がそうと、全身に力を込めた。しかし、太ももの上に跨がった男はびくともしなかった。

『だ、誰か…！』
誰でもいい、誰か来てくれ！

男の顔が一瞬離れた。
「っだ、だれぁ…っもごっ！」

『誰か助けてくれ！』そう叫ぶはずの言葉が遮られた。男が持っていた、汚いタオル地のハンカチを口に突っ込まれて。

「ひひっ…いいカオ。」
そうやってニヤける男の顔を見て吐き気が訪れた。顔を横にして視界から遠ざける。

『誰か……。巌城さん！…コウイチ！……コウイチっ！！』

なぜか今一番、コウイチにここにいて欲しかった。

男の手が下半身に伸びた。腰を引こうとするが硬い地面の上では何も出来ない。
頭を左右に振るとその度に男が荒い息を吐きながら、反対側の首筋をペロリと舐めてきた。背筋がゾゾゾ…と凍りつく。全身が鳥肌で覆われた。

「『やめろっ！！』」