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杉崎という男
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「いやー、悪いね。休みなのに。髪の毛切った?さっぱりしたね。」
杉崎課長はいつものように、きっちりとしたスーツ姿で現れた。
「はい。お仕事お疲れ様でした。すみません。こんな姿で。」
ジーンズ姿の俺もとりあえず挨拶。2人で焼き魚定食を頼み、本題に入った。
「で、何かありましたか?」
ウェイトレスが運んできた水を飲み、話を振った。
「いや、泊まりのことなんだけどねー。」
ああ、やっぱり泊まりかあ。巌城さんの好意を断れなかったからなあ。いくら遅くなっても帰れたんだよなあ。…そんなに遠くなかったわけだし。
「すみません。やはり、巌城さん宅には泊まらない方が良かったですか?何か影響があったとか。」
俺の問いに、杉崎課長は水を飲みながら何とも歯切れ悪い返答をよこした。
「あったと言えばあったのかなあ…。」
んんー、じれったい。何があったんだ?何だ?はっきりしてくれ。胃が痛くなってきたぞ。
「何か?」
しかし、俺のさらなる問いに、思いもよらぬ言葉が返ってきた。
「先方の希望でね、これから毎回巌城さんの所に泊まってきて欲しいんだ。」
「は?」
目が点になるとはこのことだ。俺は何がなんだか分からなかった。頭の上にはてなマークが並んでる。俺には分かる。
「いや、君が戻ってからすぐに、上司に呼び出されてね。」
ちょうど運ばれてきた料理を受け取りながら、課長が続けた。俺もお盆を受け取る。うまそうだがそれどころじゃない。
「上司?」
誰だろう。部長?あれ?部長って経理部にいたっけ?…社長?
「そ、ここの裏の仕事の上司。所長だよ、所長!」
ホッケの開きに箸をつけながら、課長が言った。キョロキョロと辺りを伺っている。声が大きかったと反省しているらしい。しかし、周りのテーブルにいる客も、それぞれの話題に夢中なようだ。
「はあ?……っということは、杉崎課長はここの所長と会ったことあるんですか?」
俺はないぞ。入社式にいたのは、FO企画株式会社の社長だし。あの社長が所長なのか?確か、乾という名前だったような…。社長の名前も覚えてないって、大丈夫か俺?一人で突っ込みながら、俺もホッケに箸をつけた。うん。普通にうまい。魚食べるの久しぶり。…っと、今朝食べた。シャケ。紅鮭美味しかったなあ。基本好き嫌いのない俺は肉もいいが、魚も好き。
「もちろん!この仕事を兼務する事になってからは、直属の上司は所長だしね。君の上司でもあるんだぞ。」
思考がずれていくのを課長が元に戻してくれた。
「俺の上司ですか…。」
会ったことないぞ!…多分。
杉崎課長はいつものように、きっちりとしたスーツ姿で現れた。
「はい。お仕事お疲れ様でした。すみません。こんな姿で。」
ジーンズ姿の俺もとりあえず挨拶。2人で焼き魚定食を頼み、本題に入った。
「で、何かありましたか?」
ウェイトレスが運んできた水を飲み、話を振った。
「いや、泊まりのことなんだけどねー。」
ああ、やっぱり泊まりかあ。巌城さんの好意を断れなかったからなあ。いくら遅くなっても帰れたんだよなあ。…そんなに遠くなかったわけだし。
「すみません。やはり、巌城さん宅には泊まらない方が良かったですか?何か影響があったとか。」
俺の問いに、杉崎課長は水を飲みながら何とも歯切れ悪い返答をよこした。
「あったと言えばあったのかなあ…。」
んんー、じれったい。何があったんだ?何だ?はっきりしてくれ。胃が痛くなってきたぞ。
「何か?」
しかし、俺のさらなる問いに、思いもよらぬ言葉が返ってきた。
「先方の希望でね、これから毎回巌城さんの所に泊まってきて欲しいんだ。」
「は?」
目が点になるとはこのことだ。俺は何がなんだか分からなかった。頭の上にはてなマークが並んでる。俺には分かる。
「いや、君が戻ってからすぐに、上司に呼び出されてね。」
ちょうど運ばれてきた料理を受け取りながら、課長が続けた。俺もお盆を受け取る。うまそうだがそれどころじゃない。
「上司?」
誰だろう。部長?あれ?部長って経理部にいたっけ?…社長?
「そ、ここの裏の仕事の上司。所長だよ、所長!」
ホッケの開きに箸をつけながら、課長が言った。キョロキョロと辺りを伺っている。声が大きかったと反省しているらしい。しかし、周りのテーブルにいる客も、それぞれの話題に夢中なようだ。
「はあ?……っということは、杉崎課長はここの所長と会ったことあるんですか?」
俺はないぞ。入社式にいたのは、FO企画株式会社の社長だし。あの社長が所長なのか?確か、乾という名前だったような…。社長の名前も覚えてないって、大丈夫か俺?一人で突っ込みながら、俺もホッケに箸をつけた。うん。普通にうまい。魚食べるの久しぶり。…っと、今朝食べた。シャケ。紅鮭美味しかったなあ。基本好き嫌いのない俺は肉もいいが、魚も好き。
「もちろん!この仕事を兼務する事になってからは、直属の上司は所長だしね。君の上司でもあるんだぞ。」
思考がずれていくのを課長が元に戻してくれた。
「俺の上司ですか…。」
会ったことないぞ!…多分。
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