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シンデレラか白雪姫か

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「なあ、シンデレラか白雪姫か、どちらかしかないわけ?小学生のお遊戯会じゃあるまいし…。」
文化祭のステージ発表の内容を考えるために、俺たちステージ組は全員お昼を教室でとりながら相談していた。

「お遊戯会は幼稚園じゃない?小学校は学習発表会でしょ?」
邦彦の言葉に里緒奈ちゃんがつっこむ。

「いや、どちらでもいいんだって。問題は中身だろ!?シェークスピアとか何かないの?」
邦彦がだんだんとヒートアップしてきた。邦彦は技術系が得意で、大道具は任せろと最初から意気込んでいた。

「シェークスピアの何を知ってるっていうのよ!?」
里緒奈ちゃんの言葉に、俺も考える。シェークスピア?何だろう?オペラかなんかの台本を書いた人?聞いたことはあるけど…。

「な、駿也は知ってる?シェークスピア。」
机の上に置かれている駿也の弁当から当然のように唐揚げを取って食べながら、駿也の方をみた。今日の唐揚げもいつものように美味しい。

「ああ。ある程度はな。」
駿也は俺が握ってきたおにぎりを頬張りながら答えた。駿也はバレーボールで怪我をして早退してから、土日を挟んで今日は元気に学校に来ていた。骨は折れてなかったって、あの日の昼頃にメールが届いてほっと一安心した。けれども、今日の駿也の足はギブスで固定されて痛々しい。本人はギブスもどきだって言ってたけど、どこから見てもギブスだろ。

「ほら…ロミオとジュリエットとかさ…。」
邦彦の声が小さくなってきた。大丈夫か、邦彦?

「ほー!恋愛モノをやりたいと!?」
「へー。」
女子たちの声が大きくなった。やばい….喧嘩はやばいぞ?

「シンデレラや白雪姫だってそうだろ!?」
隆介が口を出す。男対女、荒れそうだ…。

「シェークスピアなんて高校生のウチらだってまともな話を知らないのよ!?親世代だって…。ウチらの親世代だって…知ってい人いる?」

「……。」
「……。」
里緒奈ちゃんの言葉に全員黙り込んだ。

「だから、シンデレラとかの方がいいんだって。アニメや実写版でみんな話は知ってるだろうし。」
話の流れから俺たちのクラスのステージ発表は、童話になりそうだ。ここで俺はようやく口を開いた。

「ね、俺さ、台本担当してもいい?」
「台本?」
友希ちゃんが目を見開いて俺を見てくる。そんなに驚くことかな?

「うん。俺、ステージには立ちたくないんだ。裏方で働かせて。もちろん、台本出来たら、他に何でも手伝うからさ。」
そこにいたみんなが同意してくれた。ほっと一安心。台本なら、去年も書いたし…去年の学校生活あるあるのコメディ化した台本を書くより、こちらの方が数倍楽だ。話は決まってるんだから。

「望、台本書けるんだ。」
隣から低い声が聞こえてきた。
「うん。まあ何とかなる。」
駿也の方に目を向けると、俺の持ってきた3つ目のおにぎりを頬張るところだった。駿也、それで最後だぞ?よく味わって。

「…美味しい?」
旨そうに咀嚼する駿也に聞いてみる。駿也のリクエストで、今日持ってきたお握りは全部が焼鮭だ。前回より、握り方が断然上手くなった。床にご飯もぶちまけなかったし…。

「…最高!」
口の中のご飯をごくんと飲み込んで、駿也が笑顔を見せた。




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