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今日も唐揚げー駿也sideー
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「おいっ。明日も昼は唐揚げか?」
痛む左足を椅子に上げて保護しながら仕込みをしていると、食器を持って雄也がカウンターを回ってきた。
「そうだけど…何?」
雄也を睨みつけて、ビニール袋を引き出しから取り出す。ビニール袋1つにつき、鳥ももを3枚分入れて味を染み込ませる。今回は醤油味と塩味の2種類。片栗粉をまぶして竜田揚げにした方が見栄えがいいかもしれない。
「いや、結構頻繁だなって…。」
「いいだろ。いつも美味いって食ってるし。買ってきた片栗粉は?」
料理が一切できない雄也は、すごすごと引き下がり、後ろの棚から片栗粉を取り出した。
片栗粉をIHの上に乗せて、ビニール袋を取り上げる。片足でケンケンしながら冷蔵庫の前まで移動し、とり肉をしまった。これで準備完了。
「おい、お前その足で明日学校に行くのか?」
雄也と同じく食器を下げにきた幸也が俺の足を眺めた。
「大丈夫だろ?鞄は両肩で背負えるから、松葉杖だって使える。」
唯一の不安は、3階に降りるための螺旋階段だ。結構急だから、踏み外したくない。でも、まあ手すりを使って…なんとかなるだろ。
ポコポコ
その時、俺のスマホからメールの着信音が響いた。誰だ?ポケットから取り出して確認する。……望だっ!!
『駿也の怪我のことさ、さっき母親に言ったら思い切り叱られた。ゴメンな。母親が謝罪の電話入れたいって言うんだけど、今いい?』
はっ?謝罪!?いやいや、あれは望の怪我を回避させようとした自分が勝手に巻き込まれただけであって、望は全然悪くない。足を乗せていた椅子に腰を下ろして返事を打つ。
『必要ないよ。骨が折れたわけでもないし。そんな大した事ない。』
すぐに既読がついたかと思うと、返信がきた。
『でも…。』
望が落ち込んでいる姿が見えるようだ。落ち込ませたかったわけじゃない。ただ、望の足が折れるのが分かっていて、何もしないでいる自分が許せなかっただけ。自分が怪我をしたのは自業自得だ。分かってて回避できなかった自分が悪い。
『望のせいじゃないから。本当に大丈夫。気にしないで。』
買ったばかりのスタンプを選ぶ。…これだな。「ぼく、げんき!」トイプードルらしき犬がドヤ顔しているやつ。可愛いところが望にそっくり。
痛む左足を椅子に上げて保護しながら仕込みをしていると、食器を持って雄也がカウンターを回ってきた。
「そうだけど…何?」
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「いや、結構頻繁だなって…。」
「いいだろ。いつも美味いって食ってるし。買ってきた片栗粉は?」
料理が一切できない雄也は、すごすごと引き下がり、後ろの棚から片栗粉を取り出した。
片栗粉をIHの上に乗せて、ビニール袋を取り上げる。片足でケンケンしながら冷蔵庫の前まで移動し、とり肉をしまった。これで準備完了。
「おい、お前その足で明日学校に行くのか?」
雄也と同じく食器を下げにきた幸也が俺の足を眺めた。
「大丈夫だろ?鞄は両肩で背負えるから、松葉杖だって使える。」
唯一の不安は、3階に降りるための螺旋階段だ。結構急だから、踏み外したくない。でも、まあ手すりを使って…なんとかなるだろ。
ポコポコ
その時、俺のスマホからメールの着信音が響いた。誰だ?ポケットから取り出して確認する。……望だっ!!
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