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117.馬耳東風
しおりを挟む「今更か!そもそも知らねえ人間相手にいきなり目潰し仕掛けんな!」
「……つい?」
やっちゃったけど、コイツほんとに誰だろ。黒い髪の所々に緑の毛束が混じってる。
格好は赤毛が着ているような感じで、年は……別にどうでもいいか。
「つい!?」
「いやだって煩かったから」
こう、勝手に手が動いたっていうか。ほぼ無意識だったっていうか。
あ、でもリアクションは悪くなかったと思うよ。某ジ●リ作品の色付き眼鏡の人、小悪党っぽい所が割と気に入ってたんだよね。
「そんな理由でノーモーションで目潰しする奴があるか!」
「で、アンタ誰?」
「マイペースかよ!」
失敬な。ただ自分の自由意思に従順なだけだよ。…あ。そういえば、さっきのフワモフ生物は?
「……まあいい。お前、魔法使いなんだってな?アイツとはどういう関係だ?」
いない。どっか行っちゃったみたい。
「パートナーだとか言ってるらしいじゃねえか」
…残念。もうちょっと堪能したかったのに。
「アイツに伝えとけ。今日の大会、勝つのはおれだってな」
お前のせいで逃げちゃっただろって言おうとしたけど、見たらもうそいつは人混みの中へと消えていくところだった。
そしてみょうちきりんな声をあげながらどこかへと流されていった。
何だったんだろ。どうでもいいけど文句言いそびれた。
そんなデジャヴな光景から数分後、無事救出された赤毛と一緒にルカが戻ってきた。
「お帰りー」
「ただいま。私がいない間、何もなかったか?」
「んー…スイカのせいで貴重な機会を失ったくらいかなぁ」
「…スイカ?」
あれ、そういえばあのスイカ頭、結局何の用だったんだろ。
ま、いっか。
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