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7.実体験

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「──という訳でして、貴方は先代魔王様のご子息なのです」
「ふーん…」

 
玉座っぽい所に座って、ゼェハァいっている動物モドキとカラスの人を見下ろす。

 
え、何でこんな状況になっているのかって?

そりゃ貴方、あちらさんが邪魔してくるからちょっと鬼ごっこという短い逃亡劇をしたからですよ。

 
「人違いじゃないの」
「いいえ!貴方は正真正銘先代魔王様の御子であらせられます。その証拠に魔王様の骸(むくろ)を使った召喚の儀式に応じられました。これは直系の血縁者しか召喚できないのです」

 
ああ、あそこに落ちてる骨、その魔王って奴のだったんだ。

鹿の骨かと思った。黒魔術的な。

 
「そんな事言われたってさぁ、俺にそんな魔王の跡継ぎだったって記憶もないし。第一、あんたらが言う俺が暮らしてた世界?で割と最近まで普通の高校生やってた奴が魔王とか務まる訳ないでしょ」
「記憶が無いのは当たり前です。あちらの世界へお送りする際、貴方の強大な魔力と共にこちらでの一切の記憶を先代魔王様が封印されました」

 
あー…なるほどね。

 
「つまり──」
「つまり、その封印を解けば記憶も魔力も戻るって事?」
「はい!さすが魔王様です。こんなに直ぐにご理解頂けるとは」
「いやそういうのってRPGのテンプレでしょ」
「あーる?てんぷれ…?」
「しかも俺のあっちで過ごした幼少期の記憶も捏造した奴だったってオチでしょ。どーせ」

 
またも言い当てたのか、カラスの人が感嘆の声を上げるのを聞きながら俺は一つ溜め息を零した。

 










 

これぞ『世界五分前仮説』ってね。
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