Estrella

碧月 晶

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「何?」
「いま先輩つったか?」
「うん。言ったよ?」

 
それがどうかしたのかと言いたげに首を傾げる祭月。そんな祭月に益々険しくなっていく俺の眉間。

 
お忘れかもしれないが俺達は一応栽培部に所属している。

が、しかし。先輩がいるなんて事、ひと言も聞いた覚えがないのだが?

 
「何や、不っ細工な顔して。そないに出来んかったんか?」

 
登場して早々失礼な事を言う砂酉。だが今はそれにすらツッコむ余裕がない。

多分、変な顔をしているからそんなに試験の出来が悪かったのかと言いたかったのだろう。きっとそうだ、そう思う事にしよう。

それより、

 
「あれ、言ってなかったっけ? うちの部活ね1人だけ2年生の先輩がいるんだよ」
「…聞いてねぇよ」
「ごめん?」

 
額を押さえる。思わず溜め息が出た。

 
「何の部活に入っとるんや?」
「えっとね、栽培部だよ」
「栽培…?」
「イッちゃんも入る?俺と那月君と、その先輩の人しかいないよ」
「ふーん…庶民の部活を経験してみるんも悪ないか」
「じゃ、決まりだね。早速行こっか」

 
運動部の部室棟に向かう真琴と別れ、俺達は今し方存在を知った部室へ足を向けた。
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