Estrella

碧月 晶

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7-8

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「や…うん、大丈夫だよ、うん」
「? 祭月?」

 

両手を顔の前で振って大丈夫と繰り返す。

だが、一向に顔を上げようとしない様子にもしかして知らず知らずのうちに

強く押し付けてしまっていたのだろうかと心配になり、覗き込むと…

 

「お前、顔赤いぞ」
「へ!?」
「悪い、そんなに力強かったか?」
「え、違う違う!寧ろ優しかったし!これは、その…ちょっとびっくりしただけだから。ほんとに大丈夫だから、気にしないで」

 

? そう、か…?

 

もう顔色も戻ってるし、本人も大丈夫だと言ってるので俺はそれ以上触れるのは止め、未だ電話の向こうの相手と話している砂酉へと目を向けた。

 

祭月もつられるように視線をそちらに向ける。

 

そんなに訝しげな顔をしていたのだろうか。祭月が小さく笑った。

 

「ああ、黒子さんっていうのはイッちゃん家の使用人さんだよ」

 

使用人て…金持ちか。いや金持ちか。

 

「何も本当に黒子みたいな格好してる訳じゃないからそこは安心して良いよ。本名は黒田さんって言って、黒子っていうのはあだ名みたいのものだから」
「あだ名?」
「うん。いつも真っ黒なスーツ着ててね、陰ながらいつもイッちゃんを見守ってるボディーガードもやってるし、身の回りのお世話とかほとんど黒田さんがしてくれてるんだって」
「だから黒子?」
「うーん…まぁ半分はそれが理由でもあるんだけど」
「半分?」
「あ、電話終わったみたいだよ」

 

促され、振り返ると砂酉がこちらに向かってきているところだった。

 
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