Estrella

碧月 晶

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ここで俺はずっと気になっていた事を尋ねてみた。


「なぁ」
「ん?」
「お前、もう大丈夫なのか」
「? あ…。うん。大丈夫だよ。もうほとんど目立たないし」


最初は何の事か分からなさげだったが、直ぐに俺の質問の意味を察したようだ。


「ほら。ね?」


髪をかき上げ、俺にこめかみを見せる。
そこには絆創膏が貼ってあった。


「改めまして。あの時はありがとう」
「…っ…別に」


笑顔で、こんなに真っ正面から誰かから礼を言われた事なんて無かったから
ついぶっきらぼうに返してしまった。

そう言ってしまった俺の心情を分かっているかのように、祭月の薄茶色の眼が柔らかく細められて

そんな空気が妙に気恥ずかしくて、俺は急いで話題を変えた。


「お前さ、車が来てる事に気付かなかったのかよ」
「あはは、ちょっと考え事してて。やー、あれはびっくりしたなぁ」


おい、その程度の反応で済ませて良いのか。


「それに、栄養失調とか…。どういう生活してたらそうなんだよ」
「あー…、ここんとこ忙しかったから、つい寝るのも食べるのも忘れちゃってて」


寝るのも食べるのもって…


「何してたんだよ」
「んー…、何してたんだろうねぇ」


その時、祭月が一瞬だけ遠い目をしたような気がした。

どうかしたのかと聞こうとしたが、それよりも早く祭月の声が遮った。


「そういえば那月君てさ」
「…何だよ」
「香水か何か付けてる?」

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