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459.エストレア家
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言いようのない感情に支配されそうになったその時、
「むー!んんん!」
「!」
聞こえてきた声に振り向けば、そこには両手を縛られ、猿ぐつわを噛まされている彼の姿があった。
「トールさん!」
反射的に駆け出し、直ぐにその猿ぐつわを外してやると彼は周囲に鋭い視線を送りながら俺に尋ねた。
「どこだよ、ここ」
「…ここは、オラージュ王国のエストレア領です」
「は?エストレアって…」
「はい、感動の再会はそこまで。さあ、行きますよ。ぐずぐずしないで下さい」
「…どこに行くんですか」
「そんなの、御当主様の所に決まっているでしょう?ねえ、主様?」
…当主?
その言葉に、またも心臓がドクンと脈打つ。
リヒタイールの口振りから叔父が当主ではない事は明白だ。
なら、一体誰が当主なのか。
…まさか。いや、そんな、あり得ない。だって、2年前に俺は確かにこの手で…
「…い、おい!」
「っ、トール、さ、」
「どうしたんだよ?顔が真っ青だぞ」
心配するように顔を覗き込んでくるトールさんの姿に、少しだけ落ち着きを取り戻す。
…そうだ、取り乱してる場合じゃない。トールさんの方が不安に違いないのだから、俺がしっかりしなければ。
「…大丈夫です。心配して下さってありがとうございます」
安心して貰おうと精一杯の笑みを作る。
そんな俺を見て、トールさんは「お前…」と何か言いたそうにしていたが、その先の言葉は「着きましたよ」というリヒタイールの声に遮られた。
重厚な造りの扉の前で、叔父がノックをする。
「…誰だ」
「フォンセです」
「…入れ」
「失礼します」
扉が開き、叔父に続いて部屋に入ると、そこには窓の外を眺めてこちらに背を向けている背の高い男が立っていた。
「むー!んんん!」
「!」
聞こえてきた声に振り向けば、そこには両手を縛られ、猿ぐつわを噛まされている彼の姿があった。
「トールさん!」
反射的に駆け出し、直ぐにその猿ぐつわを外してやると彼は周囲に鋭い視線を送りながら俺に尋ねた。
「どこだよ、ここ」
「…ここは、オラージュ王国のエストレア領です」
「は?エストレアって…」
「はい、感動の再会はそこまで。さあ、行きますよ。ぐずぐずしないで下さい」
「…どこに行くんですか」
「そんなの、御当主様の所に決まっているでしょう?ねえ、主様?」
…当主?
その言葉に、またも心臓がドクンと脈打つ。
リヒタイールの口振りから叔父が当主ではない事は明白だ。
なら、一体誰が当主なのか。
…まさか。いや、そんな、あり得ない。だって、2年前に俺は確かにこの手で…
「…い、おい!」
「っ、トール、さ、」
「どうしたんだよ?顔が真っ青だぞ」
心配するように顔を覗き込んでくるトールさんの姿に、少しだけ落ち着きを取り戻す。
…そうだ、取り乱してる場合じゃない。トールさんの方が不安に違いないのだから、俺がしっかりしなければ。
「…大丈夫です。心配して下さってありがとうございます」
安心して貰おうと精一杯の笑みを作る。
そんな俺を見て、トールさんは「お前…」と何か言いたそうにしていたが、その先の言葉は「着きましたよ」というリヒタイールの声に遮られた。
重厚な造りの扉の前で、叔父がノックをする。
「…誰だ」
「フォンセです」
「…入れ」
「失礼します」
扉が開き、叔父に続いて部屋に入ると、そこには窓の外を眺めてこちらに背を向けている背の高い男が立っていた。
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