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203.2つ
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振り向きざまに見えた鈍く銀に光るもの。
咄嗟に身を翻(ひるがえ)し、振り下ろされたものを寸でのところで避けた。
その時、微かにレモンの香りがした。
回避したそのままの動きで、流れるように距離を取ってその場から離れた。
「つっ…」
着地と同時に
ズキリと痛みが走って、思わず眉を寄せる。
背中が引き裂くように熱い。
四肢を伝って地面に赤が滴り落ちていく。
先程の斬撃を完全には避けきれなかったようだ。
「おや、もう少し深く入ると思ったのですが…」
「それは、残念でしたね…」
俺を切った相手に皮肉も込めてそう言えば
そいつは心底嬉しそうに笑みを浮かべた。
「お久しぶりですね、アルさん?」
胡散臭い笑顔に、レモンの香り。
「そうですね………っ!…ぅ…」
言いかけた時、突然ガクンと身体から力が抜けた。
地面に倒れ込んだ身体は痺れて自由が効かない。
「ああ、やっと効いてきたんですね。即効性の強い痺れ薬だったんですけど。」
剣をヒラヒラと見せながら、こちらに近付いてくる彼を睨み付けた。
「ははっ、無様ですねぇ。大丈夫ですよ、まだ殺しはしません。簡単には殺すなと言われていますので。」
俺の髪をグイッと引っ張って、無理矢理視線を合わせられる。
だが、俺の顔を見た途端
彼の表情が驚きのそれへと変わった。
「あれ…君、2つ持っているんですか?」
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