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202.蘇る
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ウ…ル…
ウル…
おも、い出した…
『ウル』
俺の双子の弟
どうして、今まで忘れていたんだろう?
それを引き金に、俺の頭の中に
一気に忘れていた記憶が流れ込んできた。
長い黒髪をいつも後ろで束ねて、綺麗な碧い眼をした母さん。
日に当たると赤茶色に見える髪で、笑うとえくぼが出来るのが印象的だった、翠(みどり)の眼をした父さん。
そして、碧いアクアの瞳以外、俺とそっくりな顔をした弟のウル。
ウルは虚弱とまではいかなかったけれど、身体があんまり強くなくて
いつも俺と一緒に家の中で遊んでた。
俺達を温かく見守ってくれていた両親がいる、懐かしくて幸せだった日々。
でも、ある日突然、何の前触れもなく
その温もりは消えた。
…なんで、だっけ?
その先を思い出そうとすれば、より一層頭痛が強くなって
それはまるで、思い出すのを拒否しているよう。
「思い出せた、かな?」
蘇った大量の記憶を取り込んで混乱する俺に
叔父は見計らったように話掛けてきた。
「……ハッ……何故…今更俺に…こんな事を教える」
上手く働かない思考で、何とかそう返せば
「んー…まぁ思い出して貰わないとこっちの都合が悪いから、かな?」
都合が悪い?
「ま、思い出してくれたようで何よりだよ。
で、結局君はどっちなの?」
「………………………」
「まぁ、どっちでも良いか。どうせ直ぐに分かるだろうし。…………それに、あいつの子である事には変わりないんだし?」
最後に突然声音を低くして、言葉を区切った叔父は
背筋が凍るような笑みを浮かべ、口を開いた。
「それと、楽しみは後に取っておかないと、ね?」
その笑みにゾクリとした悪寒が体中に走った。
一気に体温が低くなったように寒さを覚え、冷や汗が流れる。
ウル…
おも、い出した…
『ウル』
俺の双子の弟
どうして、今まで忘れていたんだろう?
それを引き金に、俺の頭の中に
一気に忘れていた記憶が流れ込んできた。
長い黒髪をいつも後ろで束ねて、綺麗な碧い眼をした母さん。
日に当たると赤茶色に見える髪で、笑うとえくぼが出来るのが印象的だった、翠(みどり)の眼をした父さん。
そして、碧いアクアの瞳以外、俺とそっくりな顔をした弟のウル。
ウルは虚弱とまではいかなかったけれど、身体があんまり強くなくて
いつも俺と一緒に家の中で遊んでた。
俺達を温かく見守ってくれていた両親がいる、懐かしくて幸せだった日々。
でも、ある日突然、何の前触れもなく
その温もりは消えた。
…なんで、だっけ?
その先を思い出そうとすれば、より一層頭痛が強くなって
それはまるで、思い出すのを拒否しているよう。
「思い出せた、かな?」
蘇った大量の記憶を取り込んで混乱する俺に
叔父は見計らったように話掛けてきた。
「……ハッ……何故…今更俺に…こんな事を教える」
上手く働かない思考で、何とかそう返せば
「んー…まぁ思い出して貰わないとこっちの都合が悪いから、かな?」
都合が悪い?
「ま、思い出してくれたようで何よりだよ。
で、結局君はどっちなの?」
「………………………」
「まぁ、どっちでも良いか。どうせ直ぐに分かるだろうし。…………それに、あいつの子である事には変わりないんだし?」
最後に突然声音を低くして、言葉を区切った叔父は
背筋が凍るような笑みを浮かべ、口を開いた。
「それと、楽しみは後に取っておかないと、ね?」
その笑みにゾクリとした悪寒が体中に走った。
一気に体温が低くなったように寒さを覚え、冷や汗が流れる。
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