炎のように

181.再登場

長い廊下を幾度も曲がり、城の裏手へと向かう。

使用人や一介の兵士達が使う通用門に、そいつはいた。


「お待たせしました、アズライトさん。」

「いえいえー、そんなに待ってないので大丈夫ですよー。それに今来たばかりですし。」

「そうですか、では行きましょう。」

「………………」

「？　どうかしましたか？」

「いやー、今のやり取り
待ち合わせするアレっぽい仲みたいだなぁと思って」

「…………………は？」


ゆるくはにかむ目の前の、ほぼ自分と同じ位の長身の男に
思わず冷めた視線を向けてしまう。

「…………………………」

「やだなぁ、そんなに見つめられたら照れちゃうじゃないですか。」

「…ふざけてないで、さっさと行きますよ。」

「あははは、すみません。」


毛程もそう思っていないだろうが、それを言うとまた面倒臭くなりそうなのでしないでおく。

人目に触れないうちに、私室に入った。

資料で埋まったソファーに何とか１人分の席を確保して彼をそこに促す。
自分は近くの一人掛け用のソファーに座った。

「また凄い荒れ様ですねー。今何日目なんです？」

何日目、それは恐らく徹夜の日数を指しているのだろう。
そういえば、寝たのはいつだったか。

確か…


「…３日程」

「あー、なるほど。
それでこの荒れ様ですかー」


納得ですと、勝手に１人で頷いている奴に弁解する訳ではないが、
普段からこうじゃないからな？
ここのところ忙しかったからこうなっているだけであって…

って、そんな説明(言い訳)はどうでもいい。
それよりも…


「それで、調査の方はどうだったんですか。」

「ああ、はい。そうでした。」

そうでしたって、それしかないだろうが。

何しに来たと思ってるんだ…