炎のように

165.聞こえなかった言葉 sideアイセ

酷い頭痛がする中で目が覚めた。


今回のはいつもと違ってたな…


恐らく夢の中の俺と同じ位の年の男の子とどこか懐かしく感じた女の人。


『おはよう、……セ…』

 
…あの人はあの時なんて言ったのだろう？とても懐かしい、優しい声だった。

 
痛み続ける頭を押さえて起き上がり、濡れた目元を拭う。この夢を見るといつもこうだ。

「つっ、いた…い…」

今日のはまた一段と痛む。
断続的に痛む事はあったけれど、こんなに長くはなかった。大抵、寝て起きれば治まっていた。

懐から気休め程度の頭痛薬を取り出して、飲む。
それでも痛むことに変わりはないが、飲まないよりは幾分かマシだった。


周りを見渡せばそれ程時間は経っていないようだった。
それから何事も無く時間が過ぎ、集合場所付近まで来た。

 
礼を言って降り、急いで集合地点がある山に向かった。