126 / 485
122.隠す
しおりを挟む「スー…」
俺の膝の上で眠っているアル。
あれからずっとアルは止め方を知らない子供のように泣き続け、疲れて眠ってしまった。
柔らかいサラサラの髪に指を通し、梳(す)くように撫でる。
それを繰り返していると、ある事に気が付いた。
左眼が前髪の隙間から見えている。
前に触ろうとして思いっ切り拒否された事を思い出す。
あの時は見られたくない傷でもあるのだろうと思っていたが、今見る限りではそれらしい傷跡は無い。
何を隠したのだろう?
不思議に思ったが今はいいかと髪を戻す。その時、アルの身体が僅かに動いた。
「んん…」
起きるか?
「……………スー…」
目が覚めたかと思ったが、まだ眠るようだ。
それならベッドに運ぼうと、眠り続ける身体を抱き上げた。だが…
「軽いな…」
細いとは思っていたが、身長から想定されるそれとはかけ離れた体重に驚く。
華奢な身体をゆっくりとベッドに降ろす。
座るための椅子を取ってこようとした時、クンッと袖を引っ張られた。
起きたのかと、アルを見るとまだ眠っていた。
そして、悲痛な程に弱々しい声で
「ご…めん…な…さい…」
苦しそうに呟いた。
11
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
どのみちヤられるならイケメン騎士がいい!
あーす。
BL
異世界に美少年になってトリップした元腐女子。
次々ヤられる色々なゲームステージの中、イケメン騎士が必ず登場。
どのみちヤられるんら、やっぱイケメン騎士だよね。
って事で、頑張ってイケメン騎士をオトすべく、奮闘する物語。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
【BL】齢1200の龍王と精を吸わないオタ淫魔
三崎こはく
BL
人間と魔族が共存する国ドラキス王国。その国の頂に立つは、世にも珍しいドラゴンの血を引く王。そしてその王の一番の友人は…本と魔法に目がないオタク淫魔(男)!
友人関係の2人が、もどかしいくらいにゆっくりと距離を縮めていくお話。
【第1章 緋糸たぐる御伽姫】「俺は縁談など御免!」王様のワガママにより2週間限りの婚約者を演じることとなったオタ淫魔ゼータ。王様の傍でにこにこ笑っているだけの簡単なお仕事かと思いきや、どうも無視できない陰謀が渦巻いている様子…?
【第2章 無垢と笑えよサイコパス】 監禁有、流血有のドキドキ新婚旅行編
【第3章 埋もれるほどの花びらを君に】 ほのぼの短編
【第4章 十字架、銀弾、濡羽のはおり】 ゼータの貞操を狙う危険な男、登場
【第5章 荒城の夜半に龍が啼く】 悪意の渦巻く隣国の城へ
【第6章 安らかに眠れ、恐ろしくも美しい緋色の龍よ】 貴方の骸を探して旅に出る
【第7章 はないちもんめ】 あなたが欲しい
【第8章 終章】 短編詰め合わせ
※表紙イラストは岡保佐優様に描いていただきました♪
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる