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102.お開き
しおりを挟む「では、そろそろ帰りましょうか」
「そうだな。遅くまで連れまわして悪かったな」
「い、いえ…」
あ、あれ?
身構えていたのに予想外の展開に拍子抜けする。
「何してるんだ?行くぞ?」
「え?あ、はい。ありがとうございました。俺はこれで──」
「待て」
ガシリと、帰ろうとしたら何故か腕を掴まれて止められた。今日はやたらとこれが多い気がする。
「何してるんだ?」
「帰りますけど…?」
今帰ろうという話になったじゃないか。何を言ってるんだ。
「何勝手に一人で帰ろうとしてるんだ、送っていくに決まってるだろう」
…はい?いつそんな事決まったんだ?あ、もしかして道が分かってないとか思われているのだろうか。
確かにこの街に来てまだ日は浅いが、自分が泊まっている宿が分からないほど方向音痴ではない。
「大丈夫ですよ。ちゃんと帰れますから」
「そうじゃなくて…兎に角、送っていく。決定事項だ」
「そんな勝手な…って、引っ張らないで下さい!」
話を聞いてくれないヴァンに何とか言ってくれとイグニートさんを見ると、諦めろと言わんばかりの笑顔を返される。
これは諦めるしかなさそうだ…。
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