炎のように

碧月 晶

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19.人殺し

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赤い血を流して倒れている、小さな身体。

「エ、ミー?エミー?エミー!嫌だ!お前まで!!」

娘の体を抱きかかえ泣き叫ぶサラ。目を閉じたまま動かないエミー。

「気をしっかり持ってください!今止血しますから!!」

駆け寄り止血しようすると、手をはじかれた。

「触るな!人殺し!!」
「!」
「くっ…あはははははは!!!どうだよ?お前が守ろうとした物に拒絶される気分は!滑稽だな!!」

耳障りな笑い声が耳につく。

 
────煩い。

 
「黙れ」
「ははは…あ?今なんつった」
「聞こえなかったんですか?黙れ、と言ったんだ」
「何だよ。たかがガキが死んだくらいでムキになりやがって、ご主人様達がした事に絶望でもしたか?」
「…どういうことですか」
「あれ?お前知らねえの?」
「…何をですか」
「最近、暴動が増えただろ。それも一気に」
「それが何だって言うんですか」

暴動は昔からたびたび起きていた。今さら珍しいことでもない。

「多すぎだとは思わないか? まるで時期を合わせたように同時に起こるなんて」

サラさんの言葉が頭によぎった。

───『取立てが急に更に厳しくなって…』


…まさか!?

 
「お、気付いたみたいだな。そうだ、わざとだよ」
「そんな…どうして!」
「そんなの決まってるだろ?お偉い人達の単なる暇潰しのゲームだよ」
「ひま、つぶし…?」
「わざと高い税を取って、耐え切れなくなって、暴動を起こすように仕向ける。んで、こいつらが暴動を起こす時期を予測して賭けるゲーム、なんだとさ。ま、俺としては?こき使われるのは正直いい気はしねぇが、汚らわしい無能共を殺す名分を気にしなくて良いからなぁ。…つーまーり、お前はずっと、ご主人様達にゲーム上の駒として利用されてたんだよ」




「……は?」

 


嘘だ。

 
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