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1章 隠密令嬢(?)とリア充令息
現実逃避は命取りになる…?
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私は微睡の中にいた…はず。
さっきまでふかふかの毛布とお母様の腕の感触があったんだけど、
いつの間に感触がなくなっていた。
目を凝らすけど、何も見えない。
視界がぼやけているとかじゃない。必死に手で目元を触る。目は…開いている。それに、瞬きもしている。
今度は横になっている床(?)を触ると、冷たい感触が返ってくる。硬い…アスファルトではない。もっとツルツルしていて、…大理石みたいな?
床から手を離して、身体を触ってみる。
まずは手のひらを合わせてみる。小さくてぷにぷにしている。まだ年齢は一桁だろう。
次は肩から胸、お腹、腰と触っていく。
肩幅は狭い…幼児みたいだし。鎖骨から胸を触って、柔らかいが胸がない…。幼児だからな、うん。
そこからお腹に辿り着いた時、ズキリと痛みが走った。
…何っ?手にベッタリつくこれは…血?
血だと分かった瞬間、急に身体から熱が引いていく感覚がした。
傷があるだろう腹部――左の脇腹は熱くドクドクと何かが流れ出すのを感じた。血ではない何かが。手で必死に押さえているのに、その何かが抜けていくたびに心臓も早鐘を打つ。
気力も削がれていく中で、他の情報を得るために下の方も確認していく。
そこでピタッと手が止まった。
そこってどこかって…?いや~、うん…パニック中。
ははは、…私は結川藍ではない、ね?そうだよね。となると、私は公爵令嬢エリザヴェータ・…何とかだったっけ?それも違うのだろうな。
あれは質の悪い夢だったのか。予知夢でも正夢でもなく、私とは関係のない、誰かの記憶とか?…――神様ぁ~!あの神様は嘘つきなのか~?数分で離脱したあの白い空間に戻って抗議したいけど、したらしたで地獄に送り飛ばされそう。我が幼馴染の恩を無駄にするわけにもいくまい。
えっと、何だったっけ?
そう!私は前者でも後者でもない誰かになったそうですね!
なぜエリザヴェータとしての転生後の自分を否定するかって…?
そんなの!…そんなの、認められない物があるんだもん…。
あ、物じゃなくてモノ、ね。
そう!女性にはない象徴ですっ!察してくれ!
…まだ幼児でよかった。うん、処理大変だもんね、多分。
ここで聞くが、あの神様は何て言っていたか?
神様『とにかく、彼女には公爵令嬢という事になってもらいます』
私『ちなみに、ゲームの主要人物から離れてますか?』
神様『悪役です』
…――そう、あの時、あいつは悪役と言っていた。
なのに、どういう訳か女性だという事を否定するアレがついてるんです。
何だろう、釈然としないけど…、悪役令嬢=女ではなく、女装癖のある男、だったって事?
んんん?いや、ちょっと待てよ?
そういや、神様、言葉濁してたよな?
”公爵令嬢という事になってもらいます”だぁ~!?
――嘘…、ショックというかパニック中…。
私が勘違いしただけで、悪役令嬢ポジの変態男子だったのかっ!!
非常に頭が痛い現実…
ガツッ
床らしき所に拳をぶつけたが、痛い。夢ではない、と。
それより、この腹部の怪我と、そうだよ。目が開いているのに見えない。
視界が遮断されていないのだとすると、全盲の可能性あり、だな。
少しでも見えていたら良かったのに。
そういえば、他は?
触覚はボディチェックであることが分かっている。
嗅覚は…、手を鼻に近づけるとツンと血の、錆びた匂いがした。正常だね。
味覚は、血を舐めたら鉄分の味がした。こちらも大丈夫そうだ。
聴覚は、耳辺りで指を鳴らしたら聴こえた。…よかった~。
最後に第六感だけど、これは危機察知する力が残ってれば判断できるけど、こんな早々危険なんて…。いや、どう考えても今危険真っただ中じゃん!!出血多量だし、体温も低下している。
誰か助けを呼べないかな…?
そこで、天の助けかというような声が頭上から降ってきた。
正確には、男性だろう人の心配する声だ。
「――君っ、どうしたんだ!?」
「あ…えっと…――」
言葉を考えていなかったのと、自分の身体以外の情報が掴めず、口を開けてもまともな答えが浮かばない。どうしたもんか…。と、とにかく順番に、慎重に質問していこう。
「…貴方は、誰ですか?」
自分の口から出た声に驚いた。少し高めだけど明らかに少年の声だった。
それと、喉が渇いてることに気がついた。声が掠れている。
目が合ってないだろうに、その男性(?)は丁寧に答えてくれた。
「私は、セレスタン・バロン、ここの家の者だ。」
「セレスタン…バロン…ここの…家…」
口に出して反芻していると、「そうだよ」と返してくれた。…優しさが沁みる。
という事は、事情は分からないけど、彼の―バロンさんの家の…―どこにいるんだ?
背中を一筋の汗がつたっていった。ヤバイ、情報を入手するの、難しい!
「あ、あの…、バロン…さんの家の、どこに…私はいますか?」
「え」
驚いて出した声なんだろうけど、その声に思わず肩をビクつかせてしまう。
よく考えると、血を流してるんだし、家の中ではないよね?
「えっとね、今私達がいるのは家の目の前…玄関にいる。分かるかな?」
「玄関…出入口の所に、私は横になっていたのですか?」
「そうだよ。どうやってここに来たのか分からないけれど、私はさっき屋敷から出てきて君を発見したんだ。」
「…そうなんですね」
私が俯くと、「聞きたいことは聞いてね」と言われ、有難い気持ちと同時に彼は用事があるんじゃないか、と思い至る。
「あのっ…――」
用事があるんですよね、と聞こうとして思いとどまった。今、彼を行かせたら次は誰が対話に応じてくれるか分からない。訝し気に見られて、放り捨てられるかもしれない。せめてもう少し情報を得ないと…!
手で拳を作り自分を奮い立たせていると、顔をガッと掴まれ、互いのおでこがぶつかった、多分。
「ひっ…!」
内臓が口から出るんじゃないかと言うくらいに驚き、短い悲鳴を上げていた。
当事者だけど目の前で何が繰り広げられてるか分かんないってこんなに怖いのか!
「あ、すまない!少し確認しようと思って…」
何を、と心の中で呟いていると、
「目が見えていないのかい?」
ド直球で問いかけられた。
普通に、正直に答えて平気だよね?
「はい、見えていません。」
「他の感覚は…――受け答えが出来ているから耳は大丈夫そうだね」
「あの…、目以外は正常です。」
「そうか…よかったっ…」
心底ホッとしたとでも言うように、息を吐き出す音がする。
すごく親切そうな人だな…。目が見えないけど、第六感が反応してないからこの人は安全なんだろう。これで第六感が機能してなかったら、早くも人生詰んでるから…。
でも不思議と、この人から心地いい波動を感じる。
無性に申し訳ない気持ちがこみ上げてくるけど、聞いてみよう。
「バロンさんっ…あの!……自分が怪しい者だと分かっているんですが、どうか家に泊めて、いえ働かせてください!お願いします!」
この際、誰かの同伴の元、下働きだろうとやらせてもらおう!
「えっと、君…名前はあるかい?」
「名前は…――」
さっき自分が男だと分かったけど、それ以前にどこの誰で、どうやって今まで生き延びたのか分からないんだよな。エリザヴェータなんて言う令嬢だとばかり思っていた訳だし。
「…分かりません」
「!それは、名前をつけてもらっていないのかい?」
バロンさんは何やら驚いているけど、名前がない人なんてスラム街とかそこらにいるんじゃないの?私の場合、誰に育てられたのか、育てられたか自体謎のままだ。
「正直に言います。私は親が誰かも、自分の出自も、なぜここにいるのかも、何で目が見えないのかも、…脇腹に傷がある事と性別以外、何も分かりません。」
何の偽りもない。
バロンさんが信じてくれるかどうかに全てがかかっている。
「…そうか。よし、君には私が名前をつけてあげよう!」
「えっ、…いいんですか?」
「ああ、勿論だとも。まずは、中に入りなさい。それからにしよう」
私はバロンさんに促されるがまま屋敷に足を踏み入れた。
さっきまでふかふかの毛布とお母様の腕の感触があったんだけど、
いつの間に感触がなくなっていた。
目を凝らすけど、何も見えない。
視界がぼやけているとかじゃない。必死に手で目元を触る。目は…開いている。それに、瞬きもしている。
今度は横になっている床(?)を触ると、冷たい感触が返ってくる。硬い…アスファルトではない。もっとツルツルしていて、…大理石みたいな?
床から手を離して、身体を触ってみる。
まずは手のひらを合わせてみる。小さくてぷにぷにしている。まだ年齢は一桁だろう。
次は肩から胸、お腹、腰と触っていく。
肩幅は狭い…幼児みたいだし。鎖骨から胸を触って、柔らかいが胸がない…。幼児だからな、うん。
そこからお腹に辿り着いた時、ズキリと痛みが走った。
…何っ?手にベッタリつくこれは…血?
血だと分かった瞬間、急に身体から熱が引いていく感覚がした。
傷があるだろう腹部――左の脇腹は熱くドクドクと何かが流れ出すのを感じた。血ではない何かが。手で必死に押さえているのに、その何かが抜けていくたびに心臓も早鐘を打つ。
気力も削がれていく中で、他の情報を得るために下の方も確認していく。
そこでピタッと手が止まった。
そこってどこかって…?いや~、うん…パニック中。
ははは、…私は結川藍ではない、ね?そうだよね。となると、私は公爵令嬢エリザヴェータ・…何とかだったっけ?それも違うのだろうな。
あれは質の悪い夢だったのか。予知夢でも正夢でもなく、私とは関係のない、誰かの記憶とか?…――神様ぁ~!あの神様は嘘つきなのか~?数分で離脱したあの白い空間に戻って抗議したいけど、したらしたで地獄に送り飛ばされそう。我が幼馴染の恩を無駄にするわけにもいくまい。
えっと、何だったっけ?
そう!私は前者でも後者でもない誰かになったそうですね!
なぜエリザヴェータとしての転生後の自分を否定するかって…?
そんなの!…そんなの、認められない物があるんだもん…。
あ、物じゃなくてモノ、ね。
そう!女性にはない象徴ですっ!察してくれ!
…まだ幼児でよかった。うん、処理大変だもんね、多分。
ここで聞くが、あの神様は何て言っていたか?
神様『とにかく、彼女には公爵令嬢という事になってもらいます』
私『ちなみに、ゲームの主要人物から離れてますか?』
神様『悪役です』
…――そう、あの時、あいつは悪役と言っていた。
なのに、どういう訳か女性だという事を否定するアレがついてるんです。
何だろう、釈然としないけど…、悪役令嬢=女ではなく、女装癖のある男、だったって事?
んんん?いや、ちょっと待てよ?
そういや、神様、言葉濁してたよな?
”公爵令嬢という事になってもらいます”だぁ~!?
――嘘…、ショックというかパニック中…。
私が勘違いしただけで、悪役令嬢ポジの変態男子だったのかっ!!
非常に頭が痛い現実…
ガツッ
床らしき所に拳をぶつけたが、痛い。夢ではない、と。
それより、この腹部の怪我と、そうだよ。目が開いているのに見えない。
視界が遮断されていないのだとすると、全盲の可能性あり、だな。
少しでも見えていたら良かったのに。
そういえば、他は?
触覚はボディチェックであることが分かっている。
嗅覚は…、手を鼻に近づけるとツンと血の、錆びた匂いがした。正常だね。
味覚は、血を舐めたら鉄分の味がした。こちらも大丈夫そうだ。
聴覚は、耳辺りで指を鳴らしたら聴こえた。…よかった~。
最後に第六感だけど、これは危機察知する力が残ってれば判断できるけど、こんな早々危険なんて…。いや、どう考えても今危険真っただ中じゃん!!出血多量だし、体温も低下している。
誰か助けを呼べないかな…?
そこで、天の助けかというような声が頭上から降ってきた。
正確には、男性だろう人の心配する声だ。
「――君っ、どうしたんだ!?」
「あ…えっと…――」
言葉を考えていなかったのと、自分の身体以外の情報が掴めず、口を開けてもまともな答えが浮かばない。どうしたもんか…。と、とにかく順番に、慎重に質問していこう。
「…貴方は、誰ですか?」
自分の口から出た声に驚いた。少し高めだけど明らかに少年の声だった。
それと、喉が渇いてることに気がついた。声が掠れている。
目が合ってないだろうに、その男性(?)は丁寧に答えてくれた。
「私は、セレスタン・バロン、ここの家の者だ。」
「セレスタン…バロン…ここの…家…」
口に出して反芻していると、「そうだよ」と返してくれた。…優しさが沁みる。
という事は、事情は分からないけど、彼の―バロンさんの家の…―どこにいるんだ?
背中を一筋の汗がつたっていった。ヤバイ、情報を入手するの、難しい!
「あ、あの…、バロン…さんの家の、どこに…私はいますか?」
「え」
驚いて出した声なんだろうけど、その声に思わず肩をビクつかせてしまう。
よく考えると、血を流してるんだし、家の中ではないよね?
「えっとね、今私達がいるのは家の目の前…玄関にいる。分かるかな?」
「玄関…出入口の所に、私は横になっていたのですか?」
「そうだよ。どうやってここに来たのか分からないけれど、私はさっき屋敷から出てきて君を発見したんだ。」
「…そうなんですね」
私が俯くと、「聞きたいことは聞いてね」と言われ、有難い気持ちと同時に彼は用事があるんじゃないか、と思い至る。
「あのっ…――」
用事があるんですよね、と聞こうとして思いとどまった。今、彼を行かせたら次は誰が対話に応じてくれるか分からない。訝し気に見られて、放り捨てられるかもしれない。せめてもう少し情報を得ないと…!
手で拳を作り自分を奮い立たせていると、顔をガッと掴まれ、互いのおでこがぶつかった、多分。
「ひっ…!」
内臓が口から出るんじゃないかと言うくらいに驚き、短い悲鳴を上げていた。
当事者だけど目の前で何が繰り広げられてるか分かんないってこんなに怖いのか!
「あ、すまない!少し確認しようと思って…」
何を、と心の中で呟いていると、
「目が見えていないのかい?」
ド直球で問いかけられた。
普通に、正直に答えて平気だよね?
「はい、見えていません。」
「他の感覚は…――受け答えが出来ているから耳は大丈夫そうだね」
「あの…、目以外は正常です。」
「そうか…よかったっ…」
心底ホッとしたとでも言うように、息を吐き出す音がする。
すごく親切そうな人だな…。目が見えないけど、第六感が反応してないからこの人は安全なんだろう。これで第六感が機能してなかったら、早くも人生詰んでるから…。
でも不思議と、この人から心地いい波動を感じる。
無性に申し訳ない気持ちがこみ上げてくるけど、聞いてみよう。
「バロンさんっ…あの!……自分が怪しい者だと分かっているんですが、どうか家に泊めて、いえ働かせてください!お願いします!」
この際、誰かの同伴の元、下働きだろうとやらせてもらおう!
「えっと、君…名前はあるかい?」
「名前は…――」
さっき自分が男だと分かったけど、それ以前にどこの誰で、どうやって今まで生き延びたのか分からないんだよな。エリザヴェータなんて言う令嬢だとばかり思っていた訳だし。
「…分かりません」
「!それは、名前をつけてもらっていないのかい?」
バロンさんは何やら驚いているけど、名前がない人なんてスラム街とかそこらにいるんじゃないの?私の場合、誰に育てられたのか、育てられたか自体謎のままだ。
「正直に言います。私は親が誰かも、自分の出自も、なぜここにいるのかも、何で目が見えないのかも、…脇腹に傷がある事と性別以外、何も分かりません。」
何の偽りもない。
バロンさんが信じてくれるかどうかに全てがかかっている。
「…そうか。よし、君には私が名前をつけてあげよう!」
「えっ、…いいんですか?」
「ああ、勿論だとも。まずは、中に入りなさい。それからにしよう」
私はバロンさんに促されるがまま屋敷に足を踏み入れた。
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