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1章 隠密令嬢(?)とリア充令息
その頃の幼馴染
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…ん?やけにフカフカなベッドだな。
自分で起き上がり、周りを見渡す。
そうだ。異世界に来てたんだったか…。藍に起こしてもらうのが普通だったからもう4年も経っているものの、未だに慣れない。
公爵家の長男ってこともあって、多くの使用人がいて生活に不便はないんだが…。
何だろうな、前世より裕福なんだが、やれることに制限があるんだよな。
精々やれる事といったら、読書と簡単な魔法循環と運動…護身術くらいだ。
剣は5歳になってからと言われたし、薬品の取り扱いは危ないからと止められた。
魔法も4属性で莫大な魔力持ちだと既にバレていて、暴走しないよう腕輪を付けられた。
早くも護衛が増えたが、俺は別におかしな事はしてないよな?
この世界って機械があんまりないから作りたくて仕方ないんだけど。
・・・部品とかは商人から買い取ればいいか。
公爵家なだけあって、使用人達も専属の執事も有能なのが揃っている。
必要な物は買ってもらえるし、制限されているとはいえ魔法は使える。だが物足りない。
…そうか、何でも俺の思考を先読みして行動していたあいつが超人だったってだけか。
あれは、超能力者か…人ではないかもな。一人でマネージメントしてたもんな。
前世で暗躍していた幼馴染にひっそりと感謝した。
神様からもらった説明書によると、そろそろあいつが生まれる頃だ(同時期とはいえ同じ年には転生させられなかったらしい)。
この乙女ゲームの設定で4歳差だって分かってるし、早く俺の助手をしてほしい。
黒髪黒目はこの世界だと珍しいからすぐ見つかるだろうけど。
まだ4歳になる前で、誕生日に合わせた準備に使用人達が慌ただしく動き回っている。俺が主役といっても、食事の殆どは大人が食うし、腰の低い連中の挨拶に付き合うくらいだろう。まあ、公爵家長男として、連中の顔と名前や功績や領地の特産品とか確認したけどな。同い年の令息令嬢も人脈作りで来るんだろう。
…隠れて機械いじりしたい。
自分で着替え、身だしなみを整えていると、俺専属の執事がノックの後に部屋に入ってきた。こいつは、ミハイル。現在14歳で一番話しやすいかな。基本、他人はどうでもいいんだが、今はこいつしか頼める奴がいない。
「どうした、ミハイル」
「はい。用件を述べます。ユベール様の誕生パーティーでの話し相手を客間にお呼びしております」
「ミハイル。私は誰かを指名した覚えはないぞ」
「…申し訳ございません。旦那様と奥方様が決めた方という事もありますが、相手もお断りできる方ではありませんので…」
起きて早々、厄介な来客か。…もう昼だけど。
大方、父上と母上が俺の将来を心配して寄越したんだろうな。
断れないとなると、王族か同等の公爵家の令息令嬢か。神官の所の息子って線もあるか。
この世界の重要人物達は、あの、乙女ゲームの説明書で覚えた。
あの白い空間にいた間に覚えたんだけど、正直恋愛とかはどうでもいい。
気になる内容は、この国が瓦解してしまう事かな。
一番やりたいことは、機械を作りまくって前世並みの技術に追い付かせることだ。
俺の野望は置いておくとして、まずは珍客の対応だな。
さて、誰がやってきたんだ?
*
客間に通され、ソファに座っていた人物が立ち上がり、こちらに会釈した。
見てすぐ分かった。あ、この国の王子じゃん。
プラチナブロンドの髪に青灰色の瞳。見た目通りの儚げな少年なのか…――
「お前、この私がやってきたんだ。挨拶をしろ」
一人称が『俺』ではない俺様だった。う~ん、早々に見限ろうかな?
別に爵位剥奪されようが、冒険者として生きていけるだろうし。
公爵家の時点で、あまり目立つことはしちゃいけないか。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私、オードラン公爵家長男のユベール・オードランと申します。エドモンド殿下、わざわざこちらまで足を運んでくださり誠に恐縮であります。本日は私の誕生パーティーですが、殿下が楽しまれるような準備となっております。どうぞおくつろぎください」
丁寧に対応をして、印象に残らないようにしてもらおう。
何だかんだで、前世は面倒な輩は藍が追い払ってくれていたから正直分からないが、何とかなるだろう。
伏せていた目と同時に頭を上げれば、こちらをじっと見る殿下の目とぶつかった。
…何だ?無礼な言動だったか?
「お前、ユベールといったか。」
「はい…」
「これから私の元で臣下として共にいろ」
「……はい?」
「そういうことだ。名誉な事だろう?」
「失礼ですが、発言させていただきます」
話の雲行きが怪しいので、話を切らせてもらった。
この王子、なんかヤバイ…。
話してる分には普通なんだけど、こちらを見る目が可笑しい。
粘着質…というより仄暗い色を滲ませている瞳が犯罪臭い。
俺と同い年のはずだけど、マジで何があった!?
「何だ、褒美が必要か?」
「いえ…欲しいものはありますが、そうではなく――」
「私の臣下では不満か?」
なんか鳥肌が立ってきた…。四六時中こんなのといるとか心労でハゲそうなんだけど。
「臣下になる件は学園に入学してからの功績で考えていただけませんか?私より優秀な者や殿下の理解者となりえる者が必ずや現れます」
「…お前は何か?預言者なのか?」
「今はそう思っていただいて結構です。私の方も準備がありますので失礼――」
「ユベール」
「何です?」
「その件は保留にするが、お前の欲しいものは何だ?」
「…冗談ではなかったのですか?」
「何、今日はお前の誕生日だろ?王子という権力である程度融通が利くが…」
俺は頭に一つしか浮かばなかった。
「では、黒髪黒目の令嬢をください」
殿下に驚かれたが、私としてはまたとないチャンスだった。
だが、王子。
その殺気、何処かにしまってくれませんかねッ!?
その女ァ、ぶっ殺す!!とか不吉な事言わないで下さい。
‥‥‥‥選択肢間違えたか。セーブしたかったなー(棒読み)
自分で起き上がり、周りを見渡す。
そうだ。異世界に来てたんだったか…。藍に起こしてもらうのが普通だったからもう4年も経っているものの、未だに慣れない。
公爵家の長男ってこともあって、多くの使用人がいて生活に不便はないんだが…。
何だろうな、前世より裕福なんだが、やれることに制限があるんだよな。
精々やれる事といったら、読書と簡単な魔法循環と運動…護身術くらいだ。
剣は5歳になってからと言われたし、薬品の取り扱いは危ないからと止められた。
魔法も4属性で莫大な魔力持ちだと既にバレていて、暴走しないよう腕輪を付けられた。
早くも護衛が増えたが、俺は別におかしな事はしてないよな?
この世界って機械があんまりないから作りたくて仕方ないんだけど。
・・・部品とかは商人から買い取ればいいか。
公爵家なだけあって、使用人達も専属の執事も有能なのが揃っている。
必要な物は買ってもらえるし、制限されているとはいえ魔法は使える。だが物足りない。
…そうか、何でも俺の思考を先読みして行動していたあいつが超人だったってだけか。
あれは、超能力者か…人ではないかもな。一人でマネージメントしてたもんな。
前世で暗躍していた幼馴染にひっそりと感謝した。
神様からもらった説明書によると、そろそろあいつが生まれる頃だ(同時期とはいえ同じ年には転生させられなかったらしい)。
この乙女ゲームの設定で4歳差だって分かってるし、早く俺の助手をしてほしい。
黒髪黒目はこの世界だと珍しいからすぐ見つかるだろうけど。
まだ4歳になる前で、誕生日に合わせた準備に使用人達が慌ただしく動き回っている。俺が主役といっても、食事の殆どは大人が食うし、腰の低い連中の挨拶に付き合うくらいだろう。まあ、公爵家長男として、連中の顔と名前や功績や領地の特産品とか確認したけどな。同い年の令息令嬢も人脈作りで来るんだろう。
…隠れて機械いじりしたい。
自分で着替え、身だしなみを整えていると、俺専属の執事がノックの後に部屋に入ってきた。こいつは、ミハイル。現在14歳で一番話しやすいかな。基本、他人はどうでもいいんだが、今はこいつしか頼める奴がいない。
「どうした、ミハイル」
「はい。用件を述べます。ユベール様の誕生パーティーでの話し相手を客間にお呼びしております」
「ミハイル。私は誰かを指名した覚えはないぞ」
「…申し訳ございません。旦那様と奥方様が決めた方という事もありますが、相手もお断りできる方ではありませんので…」
起きて早々、厄介な来客か。…もう昼だけど。
大方、父上と母上が俺の将来を心配して寄越したんだろうな。
断れないとなると、王族か同等の公爵家の令息令嬢か。神官の所の息子って線もあるか。
この世界の重要人物達は、あの、乙女ゲームの説明書で覚えた。
あの白い空間にいた間に覚えたんだけど、正直恋愛とかはどうでもいい。
気になる内容は、この国が瓦解してしまう事かな。
一番やりたいことは、機械を作りまくって前世並みの技術に追い付かせることだ。
俺の野望は置いておくとして、まずは珍客の対応だな。
さて、誰がやってきたんだ?
*
客間に通され、ソファに座っていた人物が立ち上がり、こちらに会釈した。
見てすぐ分かった。あ、この国の王子じゃん。
プラチナブロンドの髪に青灰色の瞳。見た目通りの儚げな少年なのか…――
「お前、この私がやってきたんだ。挨拶をしろ」
一人称が『俺』ではない俺様だった。う~ん、早々に見限ろうかな?
別に爵位剥奪されようが、冒険者として生きていけるだろうし。
公爵家の時点で、あまり目立つことはしちゃいけないか。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私、オードラン公爵家長男のユベール・オードランと申します。エドモンド殿下、わざわざこちらまで足を運んでくださり誠に恐縮であります。本日は私の誕生パーティーですが、殿下が楽しまれるような準備となっております。どうぞおくつろぎください」
丁寧に対応をして、印象に残らないようにしてもらおう。
何だかんだで、前世は面倒な輩は藍が追い払ってくれていたから正直分からないが、何とかなるだろう。
伏せていた目と同時に頭を上げれば、こちらをじっと見る殿下の目とぶつかった。
…何だ?無礼な言動だったか?
「お前、ユベールといったか。」
「はい…」
「これから私の元で臣下として共にいろ」
「……はい?」
「そういうことだ。名誉な事だろう?」
「失礼ですが、発言させていただきます」
話の雲行きが怪しいので、話を切らせてもらった。
この王子、なんかヤバイ…。
話してる分には普通なんだけど、こちらを見る目が可笑しい。
粘着質…というより仄暗い色を滲ませている瞳が犯罪臭い。
俺と同い年のはずだけど、マジで何があった!?
「何だ、褒美が必要か?」
「いえ…欲しいものはありますが、そうではなく――」
「私の臣下では不満か?」
なんか鳥肌が立ってきた…。四六時中こんなのといるとか心労でハゲそうなんだけど。
「臣下になる件は学園に入学してからの功績で考えていただけませんか?私より優秀な者や殿下の理解者となりえる者が必ずや現れます」
「…お前は何か?預言者なのか?」
「今はそう思っていただいて結構です。私の方も準備がありますので失礼――」
「ユベール」
「何です?」
「その件は保留にするが、お前の欲しいものは何だ?」
「…冗談ではなかったのですか?」
「何、今日はお前の誕生日だろ?王子という権力である程度融通が利くが…」
俺は頭に一つしか浮かばなかった。
「では、黒髪黒目の令嬢をください」
殿下に驚かれたが、私としてはまたとないチャンスだった。
だが、王子。
その殺気、何処かにしまってくれませんかねッ!?
その女ァ、ぶっ殺す!!とか不吉な事言わないで下さい。
‥‥‥‥選択肢間違えたか。セーブしたかったなー(棒読み)
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