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2章 神と魔の悪戯
編入初日 ルームメイト
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編入初日の授業を終え、生徒証である指輪から立体マップを展開しながら学園寮の方角を目指す。
魔法学園は一つの都市かと思えるほど敷地が広く、転移石を使っていないと、平気で数時間歩き回る羽目になる。転移石が安価で助かるけど。
学園から寮に続く石畳の道に出ると、朱色の太陽が半分以上沈み、紫陽花色の空を七色の粒子が横切るのを目にした。よく見れば、箒に跨って飛んでいく団体や使役獣に乗って通り過ぎる生徒が慣れた様子で行き来している。
「翼を持った獅子にワイバーンね。…もしかして、そういうオプションついてるのかな?」
立体マップを脇に寄せ、所持品リストをスクロールしていると、標準装備の杖やマント、箒の下に『Lv.1 聖なる卵』というそれらしきものを見つけた。
選択すると、”分析完了しました。幼獣まで成長させますか。”なんて出てきたけど、地道に育てる事にした。
(育てる楽しみもあるだろうからね…)
「――さて、皆さんの夢を壊さないよう、私も魔法アイテム使いますか。」
身長を優に超す箒を取り出して横乗りしながら、さっきの卵に想いを馳せる。
卵の種類は個人の魔法の適正や性格から分析され、勝手に決まっているらしい。
「私の手に負える子だといいな…」
寮の入り口で箒から飛び降りて、エントランスの受付で部屋のカードキーをもらって、転移式エレベーターに乗り込む。用意された部屋は9階にあるらしく、赤いフカフカ絨毯を踏みしめてロックを解除したんだけど…。
「……ん。」
灰色の髪をかき混ぜながら眠たげな赤目をこちらに向けた少年がドアを内側から開けて、迎え入れてくれた。
白のダボダボした長袖に黒のスエットを身に着けた彼は歯ブラシを口に入れながら、迷いのない足取りで奥の一室に引っ込んでいった。
「お、お邪魔しま~す…」
入る前にドア横を見れば、ネームプレートに私以外に二人の住人の名が記されていた。
…そりゃそうだ。一人でこの贅沢な施設を使える訳ないよね。
玄関から上がって、通路を一部屋ずつ確認しながら歩いていき、ひときわ大きめの部屋に辿り着いた。ノックして入ると、誰も居ない状況だったので、所持品リストから生活用品だけ取り出してベッドを確認する。
二段ベッドが左右にあり、私はどうやら左側の下のベッドを使っていいらしい。そのまま上のベッドを確認すると、ヘッドボードの所に『Oliver Kralvine』と書いてあった。
「オリヴァー…クラルヴァイン?」
「そこ、俺の。」
声に振り返ると、さっきの灰色髪の少年が目を擦りながら部屋に入ってきた。すれ違いざまにメモ紙一枚を押し付けて梯子を上り、のそのそと布団にくるまった。
数秒もしないうちに寝息が聞こえてきて我に返り、折りたたまれたメモを広げる。
”どうも、ルームメイトのオリヴァーです。
俺は一日の大半は寝てるから、分かんない事あったらもう一人のヴェネリオに聞いて。あと、寝てる俺を起こさないでね。”
今では寝息すら聞こえないベッド上を仰ぎ見て、唯一の逆鱗であろう睡眠妨害はしないように気を付けようと固く決心した。
食事と風呂を済ませて少し経った頃に、もう一人の同居人が帰宅してきた。
「ただいまぁ~…っと。君が、編入生のバロン君?」
「はい。クラス・ゼイド1年のシリル・バロンです。よろしくお願いします。」
赤茶の瞳を瞬きさせて、人懐っこそうな笑みで玄関口から見上げてくる。
「…年齢の割にしっかりしてるね。俺はクラス・ゼイドの3年、ヴェネリオ・アネージ。先輩だけど、気兼ねなくヴェネリオって呼んで。」
屈ませていた腰を伸ばし手を差し伸べるヴェネリオは、私より頭二つ分は高かった。首がポキッと音を立てた気もするけど、構わずその手を握り返した。
彼は私の手元のメモを目敏く見つけて、早速困ってる事はないかと聞かれたので凡そのルールを聞いておく事にした。
「ルールか…。その様子だと設備の使い方は問題なさそうだね。強いて言うならオリヴァーは起こしちゃいけないって事だけど、いざって時には張り倒していいから。」
「えっ…」
「…同じ部屋で暮らすルームメイトだから伝えとくね。アイツ、夜中に目が覚めるんだけど、よく寝床を間違えるんだ。俺も何回かあったんだが、毎回締め上げてたら恐怖が身体に染み着いたのかパッタリとなくなってね…」
遠くを見つめていたヴェネリオが険しい表情でこちらに向き直った。
「シリルほど小さいとなると、マウント取るのは至難の業だな。…――俺のベッドで一緒に寝るか?」
「…いえ、私と一緒に寝たら先輩が休めないと思うので、遠慮します。」
「そうか?それが一番安全だと思うけど。何かあれば起こしてくれていいからね。」
終始心配していたヴェネリオも明日が早いらしく、入浴後早々に寝てしまった。
私も明日の授業の範囲を確認して、明日の起床時間を確認する頃には睡魔に負けて、ベッドに潜り込んだ。
夜も更けて何だか寝苦しさを感じて寝返りを打とうとして、何かに阻まれた。それどころか金縛りにあったかのように、頭も体も動かせない。
暗闇の中、目をパチリと開けてようやく寝苦しい原因に思い至った。
――オリヴァーが、私を抱き枕に寝ているのだ。
何の対策も取らずに爆睡してしまった事を後悔した。
兎に角ヴェネリオ先輩に声を掛けようと思いオリヴァーの胸元から顔を出そうと試みたのだが。
「んぅ...(ぎゅむむむ)」
暑さから開放されると思ったのも束の間。呻き声を上げたオリヴァーの片手によって封じ込められ、頭を抱え直された。
声を出そうとしたものの、声がくぐもってヴェネリオ先輩に届かない。
結局、朝の早かったヴェネリオ先輩が起きるまでサウナ地獄を抜け出せなかった。
シャワーで汗を洗い流してリビングに向かうと、食卓に寝不足の根源であるオリヴァーを見つけ、思わず恨みがましく見ていたら目が合った。
「おはようございます。」
「…ん」
クロワッサンに齧りつきながら挨拶したつもりのオリヴァーの肩に、トレイを片手に持って現れた先輩の手が置かれた。
「――オリヴァー、違うだろ?」
「…はよ。」
軽く挨拶された私は、テーブルに並べられる食事に目を向けていた。
半熟の目玉焼きはフォークで突けば黄身が中からトロリと溢れそうで、カリカリのベーコンの香ばしい匂いが食欲を刺激する。焼きたてのクロワッサンの間には生ハムとレタスがぎっしりと詰まっていて、思わず喉を鳴らしていた。
その傍らには新品のマグカップが湯気を上げてコトリと置かれた。ヴェネリオ先輩の真心の詰まった、カフェラテだ。猫のラテアートが可愛らしく描かれている。
先輩を拝む勢いで手を合わせ食事を平らげていき、もう少しで食べ終わるという時にオリヴァーが急に口を開いた。
「ヴェネリオ、洗剤変えた?」
長袖部分をスンスンと嗅ぎながら聞くオリヴァーに、ヴェネリオは何を突然にと苦笑しながら紅茶に口を付ける。
「洗剤なら変えてないよ。俺の洗い方に不満でもあるのか?」
「違うんだ、けど...いつもと違っていい匂いだったからぐっすり寝れた、みたい。そのお礼。」
「ぐっ!」
突然咽た私にオリヴァーは不思議そうに首を傾げるだけだったが、心優しい先輩は私の背を優しく撫でながら顔を近づけて訊いてきた。
「シリル、心当たりは…――ある顔だね。不便な思いさせるけど、アイツがごめんね?」
気遣わしげな視線に居た堪れなくなり、カフェラテの残りを飲み干すと、食器をシンクに置いてそそくさとその場を退散した。
しかしそれからというもの、シャンプーやボディソープを変えても、結界を張ったり灸を炊いたりしても、度々オリヴァーに押し潰され、夜更けの記憶がない彼にどう対処したらいいのか困り果てる事となるのだった。
「シリル、アイツの抱き枕と俺との添い寝、どっちがいい?」
「...どちらも遠慮させて下さい。」
オリヴァーの抱き枕になる日々が、ヴェネリオ先輩の私に対する過保護を悪化させたものだから、究極の二択を迫られていた。
魔法学園は一つの都市かと思えるほど敷地が広く、転移石を使っていないと、平気で数時間歩き回る羽目になる。転移石が安価で助かるけど。
学園から寮に続く石畳の道に出ると、朱色の太陽が半分以上沈み、紫陽花色の空を七色の粒子が横切るのを目にした。よく見れば、箒に跨って飛んでいく団体や使役獣に乗って通り過ぎる生徒が慣れた様子で行き来している。
「翼を持った獅子にワイバーンね。…もしかして、そういうオプションついてるのかな?」
立体マップを脇に寄せ、所持品リストをスクロールしていると、標準装備の杖やマント、箒の下に『Lv.1 聖なる卵』というそれらしきものを見つけた。
選択すると、”分析完了しました。幼獣まで成長させますか。”なんて出てきたけど、地道に育てる事にした。
(育てる楽しみもあるだろうからね…)
「――さて、皆さんの夢を壊さないよう、私も魔法アイテム使いますか。」
身長を優に超す箒を取り出して横乗りしながら、さっきの卵に想いを馳せる。
卵の種類は個人の魔法の適正や性格から分析され、勝手に決まっているらしい。
「私の手に負える子だといいな…」
寮の入り口で箒から飛び降りて、エントランスの受付で部屋のカードキーをもらって、転移式エレベーターに乗り込む。用意された部屋は9階にあるらしく、赤いフカフカ絨毯を踏みしめてロックを解除したんだけど…。
「……ん。」
灰色の髪をかき混ぜながら眠たげな赤目をこちらに向けた少年がドアを内側から開けて、迎え入れてくれた。
白のダボダボした長袖に黒のスエットを身に着けた彼は歯ブラシを口に入れながら、迷いのない足取りで奥の一室に引っ込んでいった。
「お、お邪魔しま~す…」
入る前にドア横を見れば、ネームプレートに私以外に二人の住人の名が記されていた。
…そりゃそうだ。一人でこの贅沢な施設を使える訳ないよね。
玄関から上がって、通路を一部屋ずつ確認しながら歩いていき、ひときわ大きめの部屋に辿り着いた。ノックして入ると、誰も居ない状況だったので、所持品リストから生活用品だけ取り出してベッドを確認する。
二段ベッドが左右にあり、私はどうやら左側の下のベッドを使っていいらしい。そのまま上のベッドを確認すると、ヘッドボードの所に『Oliver Kralvine』と書いてあった。
「オリヴァー…クラルヴァイン?」
「そこ、俺の。」
声に振り返ると、さっきの灰色髪の少年が目を擦りながら部屋に入ってきた。すれ違いざまにメモ紙一枚を押し付けて梯子を上り、のそのそと布団にくるまった。
数秒もしないうちに寝息が聞こえてきて我に返り、折りたたまれたメモを広げる。
”どうも、ルームメイトのオリヴァーです。
俺は一日の大半は寝てるから、分かんない事あったらもう一人のヴェネリオに聞いて。あと、寝てる俺を起こさないでね。”
今では寝息すら聞こえないベッド上を仰ぎ見て、唯一の逆鱗であろう睡眠妨害はしないように気を付けようと固く決心した。
食事と風呂を済ませて少し経った頃に、もう一人の同居人が帰宅してきた。
「ただいまぁ~…っと。君が、編入生のバロン君?」
「はい。クラス・ゼイド1年のシリル・バロンです。よろしくお願いします。」
赤茶の瞳を瞬きさせて、人懐っこそうな笑みで玄関口から見上げてくる。
「…年齢の割にしっかりしてるね。俺はクラス・ゼイドの3年、ヴェネリオ・アネージ。先輩だけど、気兼ねなくヴェネリオって呼んで。」
屈ませていた腰を伸ばし手を差し伸べるヴェネリオは、私より頭二つ分は高かった。首がポキッと音を立てた気もするけど、構わずその手を握り返した。
彼は私の手元のメモを目敏く見つけて、早速困ってる事はないかと聞かれたので凡そのルールを聞いておく事にした。
「ルールか…。その様子だと設備の使い方は問題なさそうだね。強いて言うならオリヴァーは起こしちゃいけないって事だけど、いざって時には張り倒していいから。」
「えっ…」
「…同じ部屋で暮らすルームメイトだから伝えとくね。アイツ、夜中に目が覚めるんだけど、よく寝床を間違えるんだ。俺も何回かあったんだが、毎回締め上げてたら恐怖が身体に染み着いたのかパッタリとなくなってね…」
遠くを見つめていたヴェネリオが険しい表情でこちらに向き直った。
「シリルほど小さいとなると、マウント取るのは至難の業だな。…――俺のベッドで一緒に寝るか?」
「…いえ、私と一緒に寝たら先輩が休めないと思うので、遠慮します。」
「そうか?それが一番安全だと思うけど。何かあれば起こしてくれていいからね。」
終始心配していたヴェネリオも明日が早いらしく、入浴後早々に寝てしまった。
私も明日の授業の範囲を確認して、明日の起床時間を確認する頃には睡魔に負けて、ベッドに潜り込んだ。
夜も更けて何だか寝苦しさを感じて寝返りを打とうとして、何かに阻まれた。それどころか金縛りにあったかのように、頭も体も動かせない。
暗闇の中、目をパチリと開けてようやく寝苦しい原因に思い至った。
――オリヴァーが、私を抱き枕に寝ているのだ。
何の対策も取らずに爆睡してしまった事を後悔した。
兎に角ヴェネリオ先輩に声を掛けようと思いオリヴァーの胸元から顔を出そうと試みたのだが。
「んぅ...(ぎゅむむむ)」
暑さから開放されると思ったのも束の間。呻き声を上げたオリヴァーの片手によって封じ込められ、頭を抱え直された。
声を出そうとしたものの、声がくぐもってヴェネリオ先輩に届かない。
結局、朝の早かったヴェネリオ先輩が起きるまでサウナ地獄を抜け出せなかった。
シャワーで汗を洗い流してリビングに向かうと、食卓に寝不足の根源であるオリヴァーを見つけ、思わず恨みがましく見ていたら目が合った。
「おはようございます。」
「…ん」
クロワッサンに齧りつきながら挨拶したつもりのオリヴァーの肩に、トレイを片手に持って現れた先輩の手が置かれた。
「――オリヴァー、違うだろ?」
「…はよ。」
軽く挨拶された私は、テーブルに並べられる食事に目を向けていた。
半熟の目玉焼きはフォークで突けば黄身が中からトロリと溢れそうで、カリカリのベーコンの香ばしい匂いが食欲を刺激する。焼きたてのクロワッサンの間には生ハムとレタスがぎっしりと詰まっていて、思わず喉を鳴らしていた。
その傍らには新品のマグカップが湯気を上げてコトリと置かれた。ヴェネリオ先輩の真心の詰まった、カフェラテだ。猫のラテアートが可愛らしく描かれている。
先輩を拝む勢いで手を合わせ食事を平らげていき、もう少しで食べ終わるという時にオリヴァーが急に口を開いた。
「ヴェネリオ、洗剤変えた?」
長袖部分をスンスンと嗅ぎながら聞くオリヴァーに、ヴェネリオは何を突然にと苦笑しながら紅茶に口を付ける。
「洗剤なら変えてないよ。俺の洗い方に不満でもあるのか?」
「違うんだ、けど...いつもと違っていい匂いだったからぐっすり寝れた、みたい。そのお礼。」
「ぐっ!」
突然咽た私にオリヴァーは不思議そうに首を傾げるだけだったが、心優しい先輩は私の背を優しく撫でながら顔を近づけて訊いてきた。
「シリル、心当たりは…――ある顔だね。不便な思いさせるけど、アイツがごめんね?」
気遣わしげな視線に居た堪れなくなり、カフェラテの残りを飲み干すと、食器をシンクに置いてそそくさとその場を退散した。
しかしそれからというもの、シャンプーやボディソープを変えても、結界を張ったり灸を炊いたりしても、度々オリヴァーに押し潰され、夜更けの記憶がない彼にどう対処したらいいのか困り果てる事となるのだった。
「シリル、アイツの抱き枕と俺との添い寝、どっちがいい?」
「...どちらも遠慮させて下さい。」
オリヴァーの抱き枕になる日々が、ヴェネリオ先輩の私に対する過保護を悪化させたものだから、究極の二択を迫られていた。
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