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2章 神と魔の悪戯
編入当日 規格外の人達
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クラウディード国の中心都市にある魔法学園。
その校舎のエントランスは通常なら人もまばら。
それも今日は例外であった。
玄関のすぐ傍には複数のゲートがあり、学生証を翳した黒マントの装いをした学生達が通過していき、そのうちの一人を大の男が捕まえようとして、
「君、少し話があ――うわっ」
男がその生徒、茶髪おさげの少女に触れるまで数センチ。
寸でのところで、何もない筈の空気が突如爆発し、男をふっ飛ばした。
少女は尻餅をついて呆然とする男性の方を一瞥し、突き出した手を横に払った。
彼女の動作に合わせて、張り詰めた空気が和らいだ。
「な、何が…起こったんだ。」
一瞬のうちに何が起きたか分からなかった男だが、目の前の少女が魔法を行使した事は一般人の彼にも理解できた。ようやく事態を飲み込めたが、落ち着くより前に頭に血が上ってしまい、
「!!君ッ、一般人の私に向かって魔法を使うとは随分と乱暴だな!
今の君の行動が、このレンドバール魔法学園の名誉を傷つけたかもしれないんだぞ!私は一介の記者に過ぎないが、君の立場を危うくさせる事ができるんだ。今謝罪するなら、先程の事は水に流してやる!」
「…はあ、すみませんでした。」
男の言い分に、少しは反省の色を見せた。
といっても、魔法を使った事は致し方ないと、正当防衛だと思っている節がある。
(肩慣らししてないとはいえ、加減を間違えちゃったな。)
「待て。それで反省したつもりか!」
少女が上の空になる傍ら、男は怒鳴りだした。案外しつこい。
「反省してますよ(一応)。でも、先に手を出してきたのはそちらですよね?」
「なっ」
「先程の貴方の言葉を借りるのなら、伝統あるレンドバールの生徒に、面識もない一市民が乱暴してもいいと?」
「わ、私は魔法学園への入門許可証を得ている。…話しかけてならないとは言われていない。」
「――ほう、それはこちらにも責任があるやもしれないな。」
ザワッ、とざわめきが起き、人だかりから一人の青年が出てきた。
遠めでも分かる長身の男性。
スタスタと長いであろう足で身体を覆う赤いマントを捌きながら、後ろで纏められた美しい金髪を揺らす。どこかの国の王子かといった風貌は柔和な笑みがプラスされ、失神する生徒が後を絶たない。
麗しい青年の登場に眉をひそめた男も、赤いマントを目にするなり怒りを引っ込め深々と頭を下げた。この国の宮廷魔術師である彼に最大の敬意をこめて。
「――して、何があった?」
青年は男、少女の順に事実と其々の言い分を聞いた。
聞き終えると、優雅な動作で男の前に立ち、
「市街新聞のピラレー殿であったか。」
「は、はい!」
「こちらでも不手際があったようだ。入門許可証をお渡しする際の説明で、”許可証は、学園側と取り決めた職務や約束事の範囲外では無効とする”という項目を追加しておこう。」
「え、つまり…生徒との接触は」
「ああ。禁止事項になるね。申し訳ないが、お帰りいただけないだろうか?」
青年が手を上げると、鎧を身に纏った騎士二人が男の両側につき、男の腕を取った。
「あの、本日これから取材を、面会の約束が…あって、まさか」
「何をおっしゃられますか。私共だけではありません。貴方にも非はあります。」
「!その少女との事を言っておいでですか!?こちらは仕事で来ているんです。そんな少女一人の為に潰されては困ります。」
「…そうとも言えるな。ただ、相手が悪かったな。」
青年は更に笑みを深め、少女の肩に手を置いた。
ただ、相当物申したいのか、米神を痙攣させながら王子スマイルが剥がれないよう耐えに耐えた。その青年に肩を掴まれた少女は、後ろめたい気持ちがあるのか顔を徐々に俯けていった。
「彼女は、エインズワース伯爵家の秘宝、カルディナ・エインズワース。英雄ロドルフ・セーガン・エインズワースの孫娘だ。…ここまで聞けば分かるな?」
「あの”北西の砦の番人”に孫娘?今まで隠されていたというのですか!」
「その呼び名は随分と懐かしいな。まあ、この情報は大した金にはならんだろうよ。新聞に載せてくれて構わないから、さあ。ご退場願おうか。」
幾分冷静さを取り戻した男ピラレーは少女を信じられないものでも見るかのように数秒眺め、連行されるまま去っていった。
――さて。
男は去ったのだが、未だに肩に乗せられた手が離れない。
「あの、先生。」
「…何だ?」
斜め上にある青年の横顔を見れば、王子スマイルがまだ健在だった。
もしかしなくても、張り付いたまま表情筋が死んでいるのかもしれない。
そういえばこの教師は見た目に反して引きこm…インドアであったな、
「…いえ。そろそろ離してもらえますか。まだ校舎内をろくに見回れていないので、教室の場所が分からないんです。初日から遅刻とか勘弁してほしいです。」
「ん?この魔法石使えばいいだろう?ほぼ石同然の価値だが、行きたい場所に転送してくれるから便利だぞ。普通に”クラス・ゼイド”って念じれば…」
「――先生。私、魔法石持ってません。でもそうですね、念じれば…行けそうですね!ありがとうございました。」
カルディナは空気中の魔素に触れながら小声でコネクト…クラス・ゼイドと呟き、一瞬のうちに転移していった。
その場に残された青年の懐がモソモソと動き、顔を出す。
金色のふさふさした体毛に覆われた小さな手足で青年の腕に乗っかり、愛くるしい黒目を眠たげに細める。長い耳も体に沿うようにパタリと倒れている。
前足で青年の腕を叩くその動作は可愛らしいが、額の黒い螺旋状の角が人を寄せ付けない禍々しさを放っているものだから、麗しい青年に近づく令嬢達に対する魔除けにもなっている。
”キュー…”
「ミラ、おはようさん。餌だな。えっと…確かここに」
青年は空中に手を突っ込み、片手に抱えきれない――体長3メートルはある熊を引っ張り出し、さあお食べといった風にウサギより一回り大きい彼女を腕から降ろしてあげた。
彼女の目が熊を捉え、飛びつく勢いでそのまま数分もかからず平らげてしまう。
そんなウサギ、ミラを横目に、空中に出現した小窓に対し一言二言伝える。
先程記者を帰らせた件で副理事長から呼び出されるだろうと余りの面倒さに頭を掻き、あの茶髪おさげ――カルディナ嬢の、見るからに協調性のない態度を思い出し、肺をへこます勢いで息を吐ききった。
「…………ミラ」
”キュ~?”
膨らんだお腹を上にして手足を投げ出し、幸福に浸るミラを見ていると、さっきまで肩にのしかかっていた重荷が少し軽くなった…気がしなくもない。
いや、肩を下した事で若干重くなったかもしれない。
満腹で眠りだしそうなミラに一言置いていくぞと吐き捨て、学園の職員用入り口に向かって歩き出す。
カツカツと鳴る足音にミラも我に返り、何度も寝返りに失敗しながら慌てて主である青年の後を追う。
近くまで駆け寄ってきたミラはゼーゼーと息切れしており、運動不足ならそのまま歩かせるかと思っていた所、勘の鋭いミラが彼の思考を遮るようにテレパシーを送った。
『じょ、冗談じゃないわ!レディに対して太ってるから運動しろなんて、あんまりだわ!』
「いや、そこまでは言ってないけど…」
『その、憐れむような目!絶対心の内では思ってるわ!…ひどい。主と契約してからは食べる量だって制限しているし、むやみやたらに人間を襲ってないでしょ?』
「…まあ、守ってもらわないと俺も困るからね。」
食べた事で多少重くなったその体を持ち上げ、プンスカ怒り続ける彼女を宥めながらも、彼女が私と契約する以前を思い出す。
ミラはあの獰猛な肉食獣アルミラージで、野に放てば自分より大きい獣も人間も額の角で刺し殺し食べてしまう。そんな彼女を出会い頭手懐けてしまった自分も規格外な存在かもしれない。
すっかり機嫌を戻したミラは懐で小さな寝息を立て始めた。
「よし、戻るとし……ん?何か忘れてるような…」
青年が何故学園の外まで来たのか。トラブルが起き、その後処理をしなくてはならないため、本来の用事は頭の隅に追いやられてしまったのだ。
その校舎のエントランスは通常なら人もまばら。
それも今日は例外であった。
玄関のすぐ傍には複数のゲートがあり、学生証を翳した黒マントの装いをした学生達が通過していき、そのうちの一人を大の男が捕まえようとして、
「君、少し話があ――うわっ」
男がその生徒、茶髪おさげの少女に触れるまで数センチ。
寸でのところで、何もない筈の空気が突如爆発し、男をふっ飛ばした。
少女は尻餅をついて呆然とする男性の方を一瞥し、突き出した手を横に払った。
彼女の動作に合わせて、張り詰めた空気が和らいだ。
「な、何が…起こったんだ。」
一瞬のうちに何が起きたか分からなかった男だが、目の前の少女が魔法を行使した事は一般人の彼にも理解できた。ようやく事態を飲み込めたが、落ち着くより前に頭に血が上ってしまい、
「!!君ッ、一般人の私に向かって魔法を使うとは随分と乱暴だな!
今の君の行動が、このレンドバール魔法学園の名誉を傷つけたかもしれないんだぞ!私は一介の記者に過ぎないが、君の立場を危うくさせる事ができるんだ。今謝罪するなら、先程の事は水に流してやる!」
「…はあ、すみませんでした。」
男の言い分に、少しは反省の色を見せた。
といっても、魔法を使った事は致し方ないと、正当防衛だと思っている節がある。
(肩慣らししてないとはいえ、加減を間違えちゃったな。)
「待て。それで反省したつもりか!」
少女が上の空になる傍ら、男は怒鳴りだした。案外しつこい。
「反省してますよ(一応)。でも、先に手を出してきたのはそちらですよね?」
「なっ」
「先程の貴方の言葉を借りるのなら、伝統あるレンドバールの生徒に、面識もない一市民が乱暴してもいいと?」
「わ、私は魔法学園への入門許可証を得ている。…話しかけてならないとは言われていない。」
「――ほう、それはこちらにも責任があるやもしれないな。」
ザワッ、とざわめきが起き、人だかりから一人の青年が出てきた。
遠めでも分かる長身の男性。
スタスタと長いであろう足で身体を覆う赤いマントを捌きながら、後ろで纏められた美しい金髪を揺らす。どこかの国の王子かといった風貌は柔和な笑みがプラスされ、失神する生徒が後を絶たない。
麗しい青年の登場に眉をひそめた男も、赤いマントを目にするなり怒りを引っ込め深々と頭を下げた。この国の宮廷魔術師である彼に最大の敬意をこめて。
「――して、何があった?」
青年は男、少女の順に事実と其々の言い分を聞いた。
聞き終えると、優雅な動作で男の前に立ち、
「市街新聞のピラレー殿であったか。」
「は、はい!」
「こちらでも不手際があったようだ。入門許可証をお渡しする際の説明で、”許可証は、学園側と取り決めた職務や約束事の範囲外では無効とする”という項目を追加しておこう。」
「え、つまり…生徒との接触は」
「ああ。禁止事項になるね。申し訳ないが、お帰りいただけないだろうか?」
青年が手を上げると、鎧を身に纏った騎士二人が男の両側につき、男の腕を取った。
「あの、本日これから取材を、面会の約束が…あって、まさか」
「何をおっしゃられますか。私共だけではありません。貴方にも非はあります。」
「!その少女との事を言っておいでですか!?こちらは仕事で来ているんです。そんな少女一人の為に潰されては困ります。」
「…そうとも言えるな。ただ、相手が悪かったな。」
青年は更に笑みを深め、少女の肩に手を置いた。
ただ、相当物申したいのか、米神を痙攣させながら王子スマイルが剥がれないよう耐えに耐えた。その青年に肩を掴まれた少女は、後ろめたい気持ちがあるのか顔を徐々に俯けていった。
「彼女は、エインズワース伯爵家の秘宝、カルディナ・エインズワース。英雄ロドルフ・セーガン・エインズワースの孫娘だ。…ここまで聞けば分かるな?」
「あの”北西の砦の番人”に孫娘?今まで隠されていたというのですか!」
「その呼び名は随分と懐かしいな。まあ、この情報は大した金にはならんだろうよ。新聞に載せてくれて構わないから、さあ。ご退場願おうか。」
幾分冷静さを取り戻した男ピラレーは少女を信じられないものでも見るかのように数秒眺め、連行されるまま去っていった。
――さて。
男は去ったのだが、未だに肩に乗せられた手が離れない。
「あの、先生。」
「…何だ?」
斜め上にある青年の横顔を見れば、王子スマイルがまだ健在だった。
もしかしなくても、張り付いたまま表情筋が死んでいるのかもしれない。
そういえばこの教師は見た目に反して引きこm…インドアであったな、
「…いえ。そろそろ離してもらえますか。まだ校舎内をろくに見回れていないので、教室の場所が分からないんです。初日から遅刻とか勘弁してほしいです。」
「ん?この魔法石使えばいいだろう?ほぼ石同然の価値だが、行きたい場所に転送してくれるから便利だぞ。普通に”クラス・ゼイド”って念じれば…」
「――先生。私、魔法石持ってません。でもそうですね、念じれば…行けそうですね!ありがとうございました。」
カルディナは空気中の魔素に触れながら小声でコネクト…クラス・ゼイドと呟き、一瞬のうちに転移していった。
その場に残された青年の懐がモソモソと動き、顔を出す。
金色のふさふさした体毛に覆われた小さな手足で青年の腕に乗っかり、愛くるしい黒目を眠たげに細める。長い耳も体に沿うようにパタリと倒れている。
前足で青年の腕を叩くその動作は可愛らしいが、額の黒い螺旋状の角が人を寄せ付けない禍々しさを放っているものだから、麗しい青年に近づく令嬢達に対する魔除けにもなっている。
”キュー…”
「ミラ、おはようさん。餌だな。えっと…確かここに」
青年は空中に手を突っ込み、片手に抱えきれない――体長3メートルはある熊を引っ張り出し、さあお食べといった風にウサギより一回り大きい彼女を腕から降ろしてあげた。
彼女の目が熊を捉え、飛びつく勢いでそのまま数分もかからず平らげてしまう。
そんなウサギ、ミラを横目に、空中に出現した小窓に対し一言二言伝える。
先程記者を帰らせた件で副理事長から呼び出されるだろうと余りの面倒さに頭を掻き、あの茶髪おさげ――カルディナ嬢の、見るからに協調性のない態度を思い出し、肺をへこます勢いで息を吐ききった。
「…………ミラ」
”キュ~?”
膨らんだお腹を上にして手足を投げ出し、幸福に浸るミラを見ていると、さっきまで肩にのしかかっていた重荷が少し軽くなった…気がしなくもない。
いや、肩を下した事で若干重くなったかもしれない。
満腹で眠りだしそうなミラに一言置いていくぞと吐き捨て、学園の職員用入り口に向かって歩き出す。
カツカツと鳴る足音にミラも我に返り、何度も寝返りに失敗しながら慌てて主である青年の後を追う。
近くまで駆け寄ってきたミラはゼーゼーと息切れしており、運動不足ならそのまま歩かせるかと思っていた所、勘の鋭いミラが彼の思考を遮るようにテレパシーを送った。
『じょ、冗談じゃないわ!レディに対して太ってるから運動しろなんて、あんまりだわ!』
「いや、そこまでは言ってないけど…」
『その、憐れむような目!絶対心の内では思ってるわ!…ひどい。主と契約してからは食べる量だって制限しているし、むやみやたらに人間を襲ってないでしょ?』
「…まあ、守ってもらわないと俺も困るからね。」
食べた事で多少重くなったその体を持ち上げ、プンスカ怒り続ける彼女を宥めながらも、彼女が私と契約する以前を思い出す。
ミラはあの獰猛な肉食獣アルミラージで、野に放てば自分より大きい獣も人間も額の角で刺し殺し食べてしまう。そんな彼女を出会い頭手懐けてしまった自分も規格外な存在かもしれない。
すっかり機嫌を戻したミラは懐で小さな寝息を立て始めた。
「よし、戻るとし……ん?何か忘れてるような…」
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