25 / 30
2章 神と魔の悪戯
1つ目の転機
しおりを挟む「やれ、やれ。
今班長がケンカを売ったら、僕も巻き込まれてしまうんですがねぇ」
槍の名手で頭もいいルーベンがチャチャを入れる。
独身で巻き込まれる家族がいないとはいえ、ルーベンは頭がいいだけに、争っても何の利益もない犯罪者ギルドと敵対したいわけではない。
だが仲のいい班長のギュンターを見殺しにするほど、卑怯でも薄情でもなかった。
「邪魔するな下っ端!
警備団長や隊長達とは話がついているんだ。
邪魔すると首にするぞ!」
「それはいい話をしてくれた。
お前を捕らえて拷問すれば、警備隊を正す事ができる
警備団長と幹部達の汚職を証言してもらおうか!」
「ふん!
お前に捕まるほど弱くねえよ。
だが余計な事を喋られたら、欲深い警備団長に裏金を要求されちまう。
だから、ここで、何も話せないように殺してやるよ。
やっちまいな!」
兄貴分の指示で、犯罪者ギルドのチンピラ達が、一斉にギュンターとルーベンに襲い掛かった。
兄貴分の考えでは、ここでギュンターとルーベンを残虐に殺す事で、見ている他の客の口を封じ、アンナにも言う事を聞かせられると思ったいた。
だが、それは単なる妄想だった。
自分達と二人の実力を見極めることができない、無能者の愚かな判断ミスだった。
戦い始めて直ぐに、兄貴分は自分の両膝を粉砕されてそれを思い知った。
ギュンターはその剛力で大剣を自由自在に操り、犯罪者ギルドのチンピラの骨を叩き折り、身動きできないようにした。
ルーベンは鍛錬を重ねた槍術を駆使して、蛇のように変幻自在に動く槍をコントロールして、犯罪者ギルドのチンピラの骨を叩き折り、身動きできないようにした。
瞬く間に九人のチンピラと兄貴分が地を這い、苦痛のうめき声をあげていた。
「ありがとう、ギュンター、ルーベン。
この恩は一生忘れないわ。
でもこのままでは危険よ。
こんな三下のチンピラは、口封じのために簡単に殺されてしまうわ。
ギュンターとルーベンも同じよ。
逃げるか犯罪者ギルドを討伐しないと、二人も警備隊に殺されてしまうわよ」
二人の反応は全く違っていた。
ギュンターはまだ警備隊を多少は信じていて、自分が明確な証拠証人を確保すれば、正義のために動いてくれると思っていた。
だがルーベンは警備隊を見限っていた。
警備団長や警備隊長達なら、保身のためなら自分達を殺すと考えていた。
それでも、友情のためにギュンターに協力する、犯罪者ギルドと敵対する決断をする、表面に見える姿よりも熱い心を持っていた。
同時に、アンナの洞察力に驚いてもいた。
何より犯罪者ギルドを殲滅するように誘導する言動に驚いていた。
今班長がケンカを売ったら、僕も巻き込まれてしまうんですがねぇ」
槍の名手で頭もいいルーベンがチャチャを入れる。
独身で巻き込まれる家族がいないとはいえ、ルーベンは頭がいいだけに、争っても何の利益もない犯罪者ギルドと敵対したいわけではない。
だが仲のいい班長のギュンターを見殺しにするほど、卑怯でも薄情でもなかった。
「邪魔するな下っ端!
警備団長や隊長達とは話がついているんだ。
邪魔すると首にするぞ!」
「それはいい話をしてくれた。
お前を捕らえて拷問すれば、警備隊を正す事ができる
警備団長と幹部達の汚職を証言してもらおうか!」
「ふん!
お前に捕まるほど弱くねえよ。
だが余計な事を喋られたら、欲深い警備団長に裏金を要求されちまう。
だから、ここで、何も話せないように殺してやるよ。
やっちまいな!」
兄貴分の指示で、犯罪者ギルドのチンピラ達が、一斉にギュンターとルーベンに襲い掛かった。
兄貴分の考えでは、ここでギュンターとルーベンを残虐に殺す事で、見ている他の客の口を封じ、アンナにも言う事を聞かせられると思ったいた。
だが、それは単なる妄想だった。
自分達と二人の実力を見極めることができない、無能者の愚かな判断ミスだった。
戦い始めて直ぐに、兄貴分は自分の両膝を粉砕されてそれを思い知った。
ギュンターはその剛力で大剣を自由自在に操り、犯罪者ギルドのチンピラの骨を叩き折り、身動きできないようにした。
ルーベンは鍛錬を重ねた槍術を駆使して、蛇のように変幻自在に動く槍をコントロールして、犯罪者ギルドのチンピラの骨を叩き折り、身動きできないようにした。
瞬く間に九人のチンピラと兄貴分が地を這い、苦痛のうめき声をあげていた。
「ありがとう、ギュンター、ルーベン。
この恩は一生忘れないわ。
でもこのままでは危険よ。
こんな三下のチンピラは、口封じのために簡単に殺されてしまうわ。
ギュンターとルーベンも同じよ。
逃げるか犯罪者ギルドを討伐しないと、二人も警備隊に殺されてしまうわよ」
二人の反応は全く違っていた。
ギュンターはまだ警備隊を多少は信じていて、自分が明確な証拠証人を確保すれば、正義のために動いてくれると思っていた。
だがルーベンは警備隊を見限っていた。
警備団長や警備隊長達なら、保身のためなら自分達を殺すと考えていた。
それでも、友情のためにギュンターに協力する、犯罪者ギルドと敵対する決断をする、表面に見える姿よりも熱い心を持っていた。
同時に、アンナの洞察力に驚いてもいた。
何より犯罪者ギルドを殲滅するように誘導する言動に驚いていた。
0
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる