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2章 神と魔の悪戯
玩具に執着する主 ???視点
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地上から降ってくる魂の行方を今日も監視する。
魔界行きのチケットと魂を照合するのが私の役目。
勿論天界行きの魂は送り返すし、死ぬはずのない魂は事情聴取をする。
私が誰かって?
しがない魔界の番人ですよ。魔王様の僕ですよ、はいはい。
まあ私の名はシモンという事にして。
また淡く光った魂を目で辿るのだが・・・、
(あれは急遽こっちに来る魂だったはずだが・・・、天界にもこちらにも寄らないだと?何かトラブルが起きているのか?)
思わず訝しんでいると、私の傍らに誰かがくる気配がした。
その人物は心底楽しそうに上を見上げている。
「あれれ~?あの子はどこに行くのかな?」
声色は明るく暢気にも捉えられるが、思っている事は真逆だろう。
顔がそれを何よりも物語っている。
『チッ、神族の奴ら、身内だからって助けやがったな。
何より選定された魂、あいつが余計な事吹き込んだろうけど・・・
どうにかあの子をこちらに堕とせないかな~』
全部、聞こえてますって。
魔界だから負の感情――綺麗な感情以外は全て見えやすく聞こえやすくなっている。
だから、私のツッコミも届いてしまったようで、
「シェイド、脳みそ抜いてあげようか?」
「いえ、お手を煩わせるような事はさせられません。
それに私の脳みそが抜けましたら、今までの魂の通行履歴は削除され、年中発情期並みの煩さになりますよ?よろしいんですか?」
「それは実に面倒そうだな。――して、あの子の行き先は?」
「えっと、あの選定された魂と同じ世界に転生したようですね。何分イレギュラーのようで正規のルートで辿り着きません。世界の名は確か、ヴェンデルートル、ですね」
「ヴェンデルートル、ね。
・・・シェイド、お前といつも馴れ合っているあいつをその世界に送り込め。」
「まさか、奪い返すのですか?」
「ん?いや?死期を早めるだけだ。
私が手を下さんでも向こうの世界の上層部も動いてるみたいだがな・・・」
呆れてものが言えぬとはこういう事を言うのだろうか。
漆黒の外套に身を包む人物を軽く見やるが、何をそこまで肩入れするのか分からない。
魂が通常の規則から逸脱するのは見過ごせないが、その魂に罰則はなされない。
ましてや我ら魔族と関わりのない魂を、この方が気に掛けるなんて事はない。
「おや、シェイド。惜しい所で考えるのを諦めたのかい。」
「え?」
「あ~、君は新参者だから知らなくても可笑しくないな。」
まさか、と一つの可能性が頭をよぎる。
あの魂は、この方と接触した事があるのか。
それも魔族でない魂がという事は、この方が地上に降りている時?
この方の武勇伝なんて、今から300年以上前ではないか!
「えっと、もしかして初恋だったり・・・」
ちらっと横に視線を送るが、見なきゃよかったと思わされた。
顔色は涼しげだが、仄暗い感情を乗せた欲に塗れた瞳がギラついていた。
もう知りたくないのに、感情も流れ込んでくる。
『ああ・・・あれは初恋なんて生温いもんじゃない。初めて執着したもの。
初めて会った時、身体に雷のような衝撃が走ったさ。
魂の美しさに見惚れ、その魂に呼応するように身体は瑞々しい果実のようで、目を合わせただけで・・・くっ、衝動で犯してしまいたくなる程理性を崩された。今だって身体に熱が集まっていく。ああ、熱いッ。
あんな感情、二度と味わえないと思っていたが、ふふふ・・・見~つけたぁ♪
今度こそあの甘美な魂を身体ごと全部貪りつくしたい』
こ、怖っ!!!
聞きたくなかった。
「で、では、ルークをお呼びしてまいります」
「いや、全員招集してくれ」
「皆に話す、のですか?」
「――緊急会議だ」
全く緊急性を感じない呼び出しに、ゲンナリしながら俺は友を探しに行った。
それにしても、
あの子は一体何者なんだろう?
何か他にはない魅力があるのか。
あんな・・・、
魔王様に執着されるなんて、尋常ない。
魔界行きのチケットと魂を照合するのが私の役目。
勿論天界行きの魂は送り返すし、死ぬはずのない魂は事情聴取をする。
私が誰かって?
しがない魔界の番人ですよ。魔王様の僕ですよ、はいはい。
まあ私の名はシモンという事にして。
また淡く光った魂を目で辿るのだが・・・、
(あれは急遽こっちに来る魂だったはずだが・・・、天界にもこちらにも寄らないだと?何かトラブルが起きているのか?)
思わず訝しんでいると、私の傍らに誰かがくる気配がした。
その人物は心底楽しそうに上を見上げている。
「あれれ~?あの子はどこに行くのかな?」
声色は明るく暢気にも捉えられるが、思っている事は真逆だろう。
顔がそれを何よりも物語っている。
『チッ、神族の奴ら、身内だからって助けやがったな。
何より選定された魂、あいつが余計な事吹き込んだろうけど・・・
どうにかあの子をこちらに堕とせないかな~』
全部、聞こえてますって。
魔界だから負の感情――綺麗な感情以外は全て見えやすく聞こえやすくなっている。
だから、私のツッコミも届いてしまったようで、
「シェイド、脳みそ抜いてあげようか?」
「いえ、お手を煩わせるような事はさせられません。
それに私の脳みそが抜けましたら、今までの魂の通行履歴は削除され、年中発情期並みの煩さになりますよ?よろしいんですか?」
「それは実に面倒そうだな。――して、あの子の行き先は?」
「えっと、あの選定された魂と同じ世界に転生したようですね。何分イレギュラーのようで正規のルートで辿り着きません。世界の名は確か、ヴェンデルートル、ですね」
「ヴェンデルートル、ね。
・・・シェイド、お前といつも馴れ合っているあいつをその世界に送り込め。」
「まさか、奪い返すのですか?」
「ん?いや?死期を早めるだけだ。
私が手を下さんでも向こうの世界の上層部も動いてるみたいだがな・・・」
呆れてものが言えぬとはこういう事を言うのだろうか。
漆黒の外套に身を包む人物を軽く見やるが、何をそこまで肩入れするのか分からない。
魂が通常の規則から逸脱するのは見過ごせないが、その魂に罰則はなされない。
ましてや我ら魔族と関わりのない魂を、この方が気に掛けるなんて事はない。
「おや、シェイド。惜しい所で考えるのを諦めたのかい。」
「え?」
「あ~、君は新参者だから知らなくても可笑しくないな。」
まさか、と一つの可能性が頭をよぎる。
あの魂は、この方と接触した事があるのか。
それも魔族でない魂がという事は、この方が地上に降りている時?
この方の武勇伝なんて、今から300年以上前ではないか!
「えっと、もしかして初恋だったり・・・」
ちらっと横に視線を送るが、見なきゃよかったと思わされた。
顔色は涼しげだが、仄暗い感情を乗せた欲に塗れた瞳がギラついていた。
もう知りたくないのに、感情も流れ込んでくる。
『ああ・・・あれは初恋なんて生温いもんじゃない。初めて執着したもの。
初めて会った時、身体に雷のような衝撃が走ったさ。
魂の美しさに見惚れ、その魂に呼応するように身体は瑞々しい果実のようで、目を合わせただけで・・・くっ、衝動で犯してしまいたくなる程理性を崩された。今だって身体に熱が集まっていく。ああ、熱いッ。
あんな感情、二度と味わえないと思っていたが、ふふふ・・・見~つけたぁ♪
今度こそあの甘美な魂を身体ごと全部貪りつくしたい』
こ、怖っ!!!
聞きたくなかった。
「で、では、ルークをお呼びしてまいります」
「いや、全員招集してくれ」
「皆に話す、のですか?」
「――緊急会議だ」
全く緊急性を感じない呼び出しに、ゲンナリしながら俺は友を探しに行った。
それにしても、
あの子は一体何者なんだろう?
何か他にはない魅力があるのか。
あんな・・・、
魔王様に執着されるなんて、尋常ない。
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