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第八章 ヴィルヘルム >5 戸惑いと焦り(POV:ヴィル)
第151話:文官イドレ
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四六時中リアに貼り付いていたいが、会議や打ち合わせのために執務棟や王宮へ出向かねばならないことが度々ある。
後ろ髪を引かれる思いでホールに続く階段を降りていると、リアがぴょこっと部屋から顔を出し、見送りのために降りてきてくれた。
「幸せ過ぎるっ。見送りが可憐なリアだった」と、俺は言った。自慢である。
「羨まし過ぎるっ。俺の見送りはゴリラだった」と、クリスが嘆いた。自虐である。
「もう、リアが可愛すぎるッ」
「くそう、部下がゴリラ過ぎるッ」
「ゴリラも見ようによっては可愛いのでは?」
「そうなのだ。俺によく懐いて……って、バカヤロウ!」
クリスと笑いながら会議室に入ると、第四騎士団の団長が「お前ら昔から変わらないなぁ」と言った。
午前の団長会議を終えると、昼食を買いに喫茶室へ行く。
いつも買う蒸し鶏のサンドウィッチと野菜スープをトレイに乗せてクリスの執務室へ行き、近況を報告し合いながら昼食をとるのがお決まりだ。
「そういえばリアが、お前からの花を凄く喜んでいた」と話すと、クリスは大照れだ。
「俺をあまり喜ばせるな」
「クマのぬいぐるみを付けただろう?」
「ああ、花屋が付けてくれた。部下の実家だから色々やってくれる」
「あれを気に入って、暖炉の上に飾っている」
「本当かっ」
「ほかの貢物なんか、怖がって包みを開けもしないよ」
「何が怖いのだろう」
「知らない男の下心じゃないのか?」
「知っている男にだって下心はあるぞ。大ありだ」
「伝えておくよ」
「悪かった。それは勘弁してくれ」
「はははっ」
リアに届いた大量の貢物は倉庫に放り込まれ、形式的な礼状が送付された。
次々と新たな貢物を送ってきている連中もいたが、むしろ余計にリアを困らせていた。
規制することも視野に入れて検討中ではあるが、景気の問題もあるのでなかなか難しい。とりあえず今は粛々と処理して倉庫へ放り込むことにしている。
現時点で、リアが直筆で礼状を書いた相手はクリスだけだ。
顔見知りだということもあるのだろうが、彼の話をしているときのリアは明らかに嬉しそうだ。相当印象が良いのだろう。
「リアはモジャモジャの大男とか、長細いメガネ岩とか、見た目を気にしないようだ」
「悪かったなモジャモジャで」
「お前のことは『くまんつ様は素敵です』と言っている。名前が間違えているのはご愛嬌だが」
俺がそう伝えると、彼は真っ赤になった。
そして、「変な期待をするから黙れ」と言って、サンドウィッチにかぶりついた。
「ところで、文官のイドレという奴を知っているか?」と、クリスに尋ねた。
「いいや? そいつがどうかしたのか?」と、彼は咀嚼しながら言った。
「ワケが分からない奴だ。犬なのかタヌキなのか」
「書記は何と言っている?」
「アレンは『アホウドリ』と呼んでいる」
「上司に似て口が悪い」
「俺のせいにするなよ。彼は天然モノの毒舌家だぞ」
見合いの担当文官イドレは俺の頭痛の種だった。名前を聞くだけで頭がムズムズするほどに。
奴から見合いの段取りを聞いて驚いた。
リアが見合い相手と密室で二人きりになると言うのだ。
「前の神薙の見合いはどうだったのだ?」と、クリスが聞いてきた。
「並べて比較ができるものではない」と俺は答えた。
そもそも過去の神薙とは見合いの目的が違うからだ。
「先代の見合いは、ケダモノがエサを喰うための催し。リアの見合いは、可憐な淑女が夫を選ぶための面談だ。次元が違う。時空が違う。世界が違うのだ」
「なるほど。聞いた俺が馬鹿だった」
いくら見合いとは言え、彼女が男と密室で二人きりになるなんて有り得ない。
我々が猛反発すると、イドレは「それが決まりなので変えられない」と言った。
誰が決めた何の決まりなのかを質すと、それは見合いの運用方針のことで、王の承認を貰ったものだと答えた。そして、次はその資料を持ってくると言った。
「きちんと根拠があるうえで話をしている口ぶりだった。王の名を言い訳には使わないだろう」
「普通はな?」
「そう、普通はな」
とりあえずその資料とやらを待った。
次に彼に会った際、その資料について訊ねると、彼は平然と「忘れてきてしまったので、また次回に」と言った。
「失敬な奴だな」
「しかし、話をした感じは、とても人当たりが良い奴なのだ」
王宮に出向いたついでに詳細を確認しようと、彼の仕事場を訪ねた。
ところが、彼はいつも外出中だった。
彼の同僚達いわく、見合いのことで忙しそうにしているとのことだ。そして、「今日も神薙様のところに行っているのでは?」と言う。
確かにイドレは数日置きにリアのところへ来ていた。だから、入れ違いになったのかと考えた。
「ところが、エムブラ宮殿に戻って執事長に聞いてみると、『アホウドリなら今日は来ていないですよ』と言う」
呆れたクリスが口をあんぐりと開けた。
「変だろう?」と聞くと、「変すぎるし、宮殿内でアホウドリが定着している」と彼は答えた。
日中に居所不明になる文官など、いまだかつて聞いたことがない。
しかし、別の日に訪ねても彼は不在だった。
彼の上司だという男がいたため、彼が神薙の宮殿には来ていなかったことを話した。しかし、「それなら別の場所ですね」と言うだけで特段興味もなさそうだった。
それに加えて、彼の仕事について詳細を知っている者がほかに誰もいない。
初めの時点では、別の文官がイドレの上にいたはずなのに、いつの間にかいなくなっている。文句の一つや二つ言ってやりたかったが、いなくなった理由に多少の心当たりがあり、探しても時間の無駄になるのは目に見えていた。
俺はイドレ本人を探すことを優先した。
なんで俺が、あんな格下の文官を探し回らねばならないのだろうかと愚痴ると、クリスは同情してくれた。
「まったくだ。友好的で威張り散らさないのはお前の良いところだが、だからと言って軽視されるのは友として腹立たしい」
イドレはガタイも良く快活そうな男だったが、文官は非戦闘員だ。
戦闘員かつ王兄の息子である俺が、彼を探すためだけに騎士を動員すれば逆にこちらの立場が危うくなる。何の証拠もなく力に物を言わせたと思われるからだ。
仕方なく王宮内の知り合いに声を掛けまくる作戦に出た。徐々に包囲網を広げたが、彼はその網にも引っ掛からなかった。
俺とイドレとの追いかけっこは続いていた。
「リア様は不満を訴えたりしないのか?」と、クリスが眉をひそめた。
「いや、彼女も知らない男と二人きりになることを不安がっている。護衛を部屋に入れたいと言ったし、見合いのやり方も別の提案をしていたそうだ」
イドレはリアにまで「決まりなので無理だ」と言ったらしい。
それ以降、リアはほとんど何も言わなくなった。
「リア様は我慢をしているのだろうか」
「それがなぁ……。今、アレンも頭を抱えているのだが」
「どうした?」
俺達はもう一つ、別の問題を抱えていた。
後ろ髪を引かれる思いでホールに続く階段を降りていると、リアがぴょこっと部屋から顔を出し、見送りのために降りてきてくれた。
「幸せ過ぎるっ。見送りが可憐なリアだった」と、俺は言った。自慢である。
「羨まし過ぎるっ。俺の見送りはゴリラだった」と、クリスが嘆いた。自虐である。
「もう、リアが可愛すぎるッ」
「くそう、部下がゴリラ過ぎるッ」
「ゴリラも見ようによっては可愛いのでは?」
「そうなのだ。俺によく懐いて……って、バカヤロウ!」
クリスと笑いながら会議室に入ると、第四騎士団の団長が「お前ら昔から変わらないなぁ」と言った。
午前の団長会議を終えると、昼食を買いに喫茶室へ行く。
いつも買う蒸し鶏のサンドウィッチと野菜スープをトレイに乗せてクリスの執務室へ行き、近況を報告し合いながら昼食をとるのがお決まりだ。
「そういえばリアが、お前からの花を凄く喜んでいた」と話すと、クリスは大照れだ。
「俺をあまり喜ばせるな」
「クマのぬいぐるみを付けただろう?」
「ああ、花屋が付けてくれた。部下の実家だから色々やってくれる」
「あれを気に入って、暖炉の上に飾っている」
「本当かっ」
「ほかの貢物なんか、怖がって包みを開けもしないよ」
「何が怖いのだろう」
「知らない男の下心じゃないのか?」
「知っている男にだって下心はあるぞ。大ありだ」
「伝えておくよ」
「悪かった。それは勘弁してくれ」
「はははっ」
リアに届いた大量の貢物は倉庫に放り込まれ、形式的な礼状が送付された。
次々と新たな貢物を送ってきている連中もいたが、むしろ余計にリアを困らせていた。
規制することも視野に入れて検討中ではあるが、景気の問題もあるのでなかなか難しい。とりあえず今は粛々と処理して倉庫へ放り込むことにしている。
現時点で、リアが直筆で礼状を書いた相手はクリスだけだ。
顔見知りだということもあるのだろうが、彼の話をしているときのリアは明らかに嬉しそうだ。相当印象が良いのだろう。
「リアはモジャモジャの大男とか、長細いメガネ岩とか、見た目を気にしないようだ」
「悪かったなモジャモジャで」
「お前のことは『くまんつ様は素敵です』と言っている。名前が間違えているのはご愛嬌だが」
俺がそう伝えると、彼は真っ赤になった。
そして、「変な期待をするから黙れ」と言って、サンドウィッチにかぶりついた。
「ところで、文官のイドレという奴を知っているか?」と、クリスに尋ねた。
「いいや? そいつがどうかしたのか?」と、彼は咀嚼しながら言った。
「ワケが分からない奴だ。犬なのかタヌキなのか」
「書記は何と言っている?」
「アレンは『アホウドリ』と呼んでいる」
「上司に似て口が悪い」
「俺のせいにするなよ。彼は天然モノの毒舌家だぞ」
見合いの担当文官イドレは俺の頭痛の種だった。名前を聞くだけで頭がムズムズするほどに。
奴から見合いの段取りを聞いて驚いた。
リアが見合い相手と密室で二人きりになると言うのだ。
「前の神薙の見合いはどうだったのだ?」と、クリスが聞いてきた。
「並べて比較ができるものではない」と俺は答えた。
そもそも過去の神薙とは見合いの目的が違うからだ。
「先代の見合いは、ケダモノがエサを喰うための催し。リアの見合いは、可憐な淑女が夫を選ぶための面談だ。次元が違う。時空が違う。世界が違うのだ」
「なるほど。聞いた俺が馬鹿だった」
いくら見合いとは言え、彼女が男と密室で二人きりになるなんて有り得ない。
我々が猛反発すると、イドレは「それが決まりなので変えられない」と言った。
誰が決めた何の決まりなのかを質すと、それは見合いの運用方針のことで、王の承認を貰ったものだと答えた。そして、次はその資料を持ってくると言った。
「きちんと根拠があるうえで話をしている口ぶりだった。王の名を言い訳には使わないだろう」
「普通はな?」
「そう、普通はな」
とりあえずその資料とやらを待った。
次に彼に会った際、その資料について訊ねると、彼は平然と「忘れてきてしまったので、また次回に」と言った。
「失敬な奴だな」
「しかし、話をした感じは、とても人当たりが良い奴なのだ」
王宮に出向いたついでに詳細を確認しようと、彼の仕事場を訪ねた。
ところが、彼はいつも外出中だった。
彼の同僚達いわく、見合いのことで忙しそうにしているとのことだ。そして、「今日も神薙様のところに行っているのでは?」と言う。
確かにイドレは数日置きにリアのところへ来ていた。だから、入れ違いになったのかと考えた。
「ところが、エムブラ宮殿に戻って執事長に聞いてみると、『アホウドリなら今日は来ていないですよ』と言う」
呆れたクリスが口をあんぐりと開けた。
「変だろう?」と聞くと、「変すぎるし、宮殿内でアホウドリが定着している」と彼は答えた。
日中に居所不明になる文官など、いまだかつて聞いたことがない。
しかし、別の日に訪ねても彼は不在だった。
彼の上司だという男がいたため、彼が神薙の宮殿には来ていなかったことを話した。しかし、「それなら別の場所ですね」と言うだけで特段興味もなさそうだった。
それに加えて、彼の仕事について詳細を知っている者がほかに誰もいない。
初めの時点では、別の文官がイドレの上にいたはずなのに、いつの間にかいなくなっている。文句の一つや二つ言ってやりたかったが、いなくなった理由に多少の心当たりがあり、探しても時間の無駄になるのは目に見えていた。
俺はイドレ本人を探すことを優先した。
なんで俺が、あんな格下の文官を探し回らねばならないのだろうかと愚痴ると、クリスは同情してくれた。
「まったくだ。友好的で威張り散らさないのはお前の良いところだが、だからと言って軽視されるのは友として腹立たしい」
イドレはガタイも良く快活そうな男だったが、文官は非戦闘員だ。
戦闘員かつ王兄の息子である俺が、彼を探すためだけに騎士を動員すれば逆にこちらの立場が危うくなる。何の証拠もなく力に物を言わせたと思われるからだ。
仕方なく王宮内の知り合いに声を掛けまくる作戦に出た。徐々に包囲網を広げたが、彼はその網にも引っ掛からなかった。
俺とイドレとの追いかけっこは続いていた。
「リア様は不満を訴えたりしないのか?」と、クリスが眉をひそめた。
「いや、彼女も知らない男と二人きりになることを不安がっている。護衛を部屋に入れたいと言ったし、見合いのやり方も別の提案をしていたそうだ」
イドレはリアにまで「決まりなので無理だ」と言ったらしい。
それ以降、リアはほとんど何も言わなくなった。
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