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五章 「失われた色彩」
その一
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――――小さいころのことだ。
僕は、みんなより早く〝星の力〟を宿した。
けれど。
世界最強の力なんて、僕には過ぎた代物だったんだろう。
気づけば〝力〟を暴走させ、僕は母さんの体に消えない傷を残してしまった。
もともと病弱で、入院することも多かった母さんは、二週間寝たきりの状態が続いた後、かろうじて目を覚ました。そのとき、病室で、僕は母さんに言った。
『こんな力なんかいらないっ! 母さんもろくに守れないような、こんな力なんか!!』
泣きじゃくる僕に、母さんは言った。
『……ごめんね、カズマ。あなたの〝力〟は、そういうものじゃ、ないの』
言い終えると、母さんは僕に、やせ細った手のひらでペンダントを渡した。ペンダントは、表面が少しこげていて、ザラついていたのを覚えている。
『カズマ。それを、私だと思って、肌身離さず持っていて。それで、もしも、いつか大切な人ができたら、あなたの〝力〟は、その人のために、使ってあげて……』
『母さん!?』
『――――カズマ。あなたの〝力〟は、私の〝誇(ほこ)り〟よ。それを、忘れないで』
母さんが息を引き取ったのは、その翌日の朝のことだった。
以来、髪や瞳は元に戻り、僕は、宿したはずの〝星の力〟を失ってしまった。
それは、僕が母さんを傷つけたからだと、今でも、そう思っている。
僕は、みんなより早く〝星の力〟を宿した。
けれど。
世界最強の力なんて、僕には過ぎた代物だったんだろう。
気づけば〝力〟を暴走させ、僕は母さんの体に消えない傷を残してしまった。
もともと病弱で、入院することも多かった母さんは、二週間寝たきりの状態が続いた後、かろうじて目を覚ました。そのとき、病室で、僕は母さんに言った。
『こんな力なんかいらないっ! 母さんもろくに守れないような、こんな力なんか!!』
泣きじゃくる僕に、母さんは言った。
『……ごめんね、カズマ。あなたの〝力〟は、そういうものじゃ、ないの』
言い終えると、母さんは僕に、やせ細った手のひらでペンダントを渡した。ペンダントは、表面が少しこげていて、ザラついていたのを覚えている。
『カズマ。それを、私だと思って、肌身離さず持っていて。それで、もしも、いつか大切な人ができたら、あなたの〝力〟は、その人のために、使ってあげて……』
『母さん!?』
『――――カズマ。あなたの〝力〟は、私の〝誇(ほこ)り〟よ。それを、忘れないで』
母さんが息を引き取ったのは、その翌日の朝のことだった。
以来、髪や瞳は元に戻り、僕は、宿したはずの〝星の力〟を失ってしまった。
それは、僕が母さんを傷つけたからだと、今でも、そう思っている。
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