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49 「夏から秋へと」
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「あら、このダイヤモンドのクラバットの飾り! 綺麗ですね!
大きいですし」
ティア様が大きなダイヤモンドの飾りを見て、感嘆の声をあげた。
「国王夫妻からのギルバート様へのお誕生日の祝いの品です」
私はギル様の贈り物を整理しながら説明した。
目録にそう書いてあったのだ。
「セレスティアナ、そのダイヤが欲しいならやるぞ」
「何言ってるんですか! おねだりじゃないですよ! ご自分で身に着けて下さい」
「20歳の誕生日の時にでも着ければ良かろう。……覚えていたら」
「んも~~。こんなに立派なダイヤなのに感動が薄い」
ギル様は高価な物を貰うより、ティア様とイチャイチャ出来る方が嬉しいんだと思う。
お茶を運びにお部屋に行ったらティア様をお膝に乗せて、後ろから抱きしめる体制でくっついてて、それはそれは幸せそうにしてたんだもの。
先日私が室内に入って来ても、そのまま動かないし。
とってもラブラブ過ぎたので、心の中で、ずっとお幸せに~~。
と、言って、私はカフェオレ置いてすぐさま部屋を出たくらいである。
*
午後になって、転移陣を使い、エーヴァ公爵領の白い海辺の別荘に来た。
この別荘は公爵夫妻から、ティア様への結婚祝いだ。
貴族の贈り物はスケールが違う。
「今日のおやつは何?」
「バスクケーキです、お好みで塩をふりかけてみても美味しいですよ」
「チーズケーキに塩?」
塩にギル様が反応した。
「味が引き締まり、甘さが引き立つので。紅茶の他にワインの用意もあります」
「じゃあ、塩をかけてみるか。……確かにワインが合いそうだ」
ギル様はワインを選び、それを口にした。
「私はケーキに苺ジャムをトッピングするわ」
「はい、ティア様、ジャムはここに」
「ありがとう」
ティア様はチーズケーキを美味しそうに食べている。
かわいい!
「ギルバート、後で松林を散歩しましょうか」
「そうだな」
「ワイン、飲み過ぎないで下さいよ」
「一杯しか飲まないから心配いらない」
「ティア様、まだ日差しが強いので、麦わら帽子の用意をしておきますね」
「ありがとう」
この後、バスクチーズケーキをギル様の姉であるシエンナ様にお裾分けした。
大変喜んでいただけた。
その後で、麦わら帽子を被って、松林を散歩した。
もちろん護衛騎士もちゃんとついて来ている。
「松林を歩くとハンバーガーを食べたくなるわ」
ティア様のセリフからして、日本の佐賀県の虹の松原でも思い出しているのだろうかと推測する。
唐津バーガー美味しかったよね。
「さっきチーズケーキを食べたばかりだぞ」
「そうですが、夕食はブラックペッパーを効かせたハンバーガーにしましょう!」
やっぱりそうだわ。
確かピリっとした胡椒が効いた美味しいハンバーガーだったもの。
「かしこまりました、夕食にはハンバーガーをお出ししますね」
「ありがとう」
「あ、見て、あそこ、松葉サイダー売りがいるわ」
「観光客もいるな、せっかくだから私達も売り上げに貢献するか」
ギルバート様が私や護衛騎士達の分もサイダーを買ってくれた。
爽やかで夏の名残りのような味だった。
夕食にはリクエスト通りにブラックペッパーを効かせたハンバーガーをお出しした。
ポテトやチキンナゲットも添えて。
美味しく召し上がっていただけて、私はほっこりとし、満足した。
* * * *
夏が過ぎて、秋が来た。
濃い緑から、白いフィルターがかかったような、金色のような色に移り変わった輝く庭を、洗濯物のカゴを持って歩いていると、ウィル坊ちゃまがヤギを散歩させていた。
足元では猫じゃらしが風に揺れている。
ふいに長身の黒髪男性が現れて、私に挨拶をくれた。
ワイバーンでどこかに出かけていたカーティス様が戻って来たようだ。
「ご機嫌よう、リナさん」
「カーティス様、お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました」
カーティス様は私に挨拶をくれた後で、ウィル坊ちゃまの方へ歩いて行った。
「どうぞ、ウィルバート様、ヤギ達にお土産ですよ」
何かの葉っぱ付きの枝葉を手渡している。
「ありがとう、カーティス。これ何の葉っぱ?」
「桑の葉です。実家で飼っていたヤギの好物だったので、こちらのヤギも好きかもしれません」
ウィル坊ちゃまは下生えの雑草を食んでいたヤギに葉っぱのついた小枝を差し出した。
すると、ヤギ達がわさっと寄って来た。
「あげてみる! ……わあ!、すごい勢いで食べる!
ほんとに好きなんだね! おいしいのかな?」
「桑の実は人間が食べても美味しいので、もしかしたら葉っぱも草食動物には美味しいのかもしれませんね」
ほのぼの~~。
かわいい光景だわ。
とても癒される秋の午後だった。
大きいですし」
ティア様が大きなダイヤモンドの飾りを見て、感嘆の声をあげた。
「国王夫妻からのギルバート様へのお誕生日の祝いの品です」
私はギル様の贈り物を整理しながら説明した。
目録にそう書いてあったのだ。
「セレスティアナ、そのダイヤが欲しいならやるぞ」
「何言ってるんですか! おねだりじゃないですよ! ご自分で身に着けて下さい」
「20歳の誕生日の時にでも着ければ良かろう。……覚えていたら」
「んも~~。こんなに立派なダイヤなのに感動が薄い」
ギル様は高価な物を貰うより、ティア様とイチャイチャ出来る方が嬉しいんだと思う。
お茶を運びにお部屋に行ったらティア様をお膝に乗せて、後ろから抱きしめる体制でくっついてて、それはそれは幸せそうにしてたんだもの。
先日私が室内に入って来ても、そのまま動かないし。
とってもラブラブ過ぎたので、心の中で、ずっとお幸せに~~。
と、言って、私はカフェオレ置いてすぐさま部屋を出たくらいである。
*
午後になって、転移陣を使い、エーヴァ公爵領の白い海辺の別荘に来た。
この別荘は公爵夫妻から、ティア様への結婚祝いだ。
貴族の贈り物はスケールが違う。
「今日のおやつは何?」
「バスクケーキです、お好みで塩をふりかけてみても美味しいですよ」
「チーズケーキに塩?」
塩にギル様が反応した。
「味が引き締まり、甘さが引き立つので。紅茶の他にワインの用意もあります」
「じゃあ、塩をかけてみるか。……確かにワインが合いそうだ」
ギル様はワインを選び、それを口にした。
「私はケーキに苺ジャムをトッピングするわ」
「はい、ティア様、ジャムはここに」
「ありがとう」
ティア様はチーズケーキを美味しそうに食べている。
かわいい!
「ギルバート、後で松林を散歩しましょうか」
「そうだな」
「ワイン、飲み過ぎないで下さいよ」
「一杯しか飲まないから心配いらない」
「ティア様、まだ日差しが強いので、麦わら帽子の用意をしておきますね」
「ありがとう」
この後、バスクチーズケーキをギル様の姉であるシエンナ様にお裾分けした。
大変喜んでいただけた。
その後で、麦わら帽子を被って、松林を散歩した。
もちろん護衛騎士もちゃんとついて来ている。
「松林を歩くとハンバーガーを食べたくなるわ」
ティア様のセリフからして、日本の佐賀県の虹の松原でも思い出しているのだろうかと推測する。
唐津バーガー美味しかったよね。
「さっきチーズケーキを食べたばかりだぞ」
「そうですが、夕食はブラックペッパーを効かせたハンバーガーにしましょう!」
やっぱりそうだわ。
確かピリっとした胡椒が効いた美味しいハンバーガーだったもの。
「かしこまりました、夕食にはハンバーガーをお出ししますね」
「ありがとう」
「あ、見て、あそこ、松葉サイダー売りがいるわ」
「観光客もいるな、せっかくだから私達も売り上げに貢献するか」
ギルバート様が私や護衛騎士達の分もサイダーを買ってくれた。
爽やかで夏の名残りのような味だった。
夕食にはリクエスト通りにブラックペッパーを効かせたハンバーガーをお出しした。
ポテトやチキンナゲットも添えて。
美味しく召し上がっていただけて、私はほっこりとし、満足した。
* * * *
夏が過ぎて、秋が来た。
濃い緑から、白いフィルターがかかったような、金色のような色に移り変わった輝く庭を、洗濯物のカゴを持って歩いていると、ウィル坊ちゃまがヤギを散歩させていた。
足元では猫じゃらしが風に揺れている。
ふいに長身の黒髪男性が現れて、私に挨拶をくれた。
ワイバーンでどこかに出かけていたカーティス様が戻って来たようだ。
「ご機嫌よう、リナさん」
「カーティス様、お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました」
カーティス様は私に挨拶をくれた後で、ウィル坊ちゃまの方へ歩いて行った。
「どうぞ、ウィルバート様、ヤギ達にお土産ですよ」
何かの葉っぱ付きの枝葉を手渡している。
「ありがとう、カーティス。これ何の葉っぱ?」
「桑の葉です。実家で飼っていたヤギの好物だったので、こちらのヤギも好きかもしれません」
ウィル坊ちゃまは下生えの雑草を食んでいたヤギに葉っぱのついた小枝を差し出した。
すると、ヤギ達がわさっと寄って来た。
「あげてみる! ……わあ!、すごい勢いで食べる!
ほんとに好きなんだね! おいしいのかな?」
「桑の実は人間が食べても美味しいので、もしかしたら葉っぱも草食動物には美味しいのかもしれませんね」
ほのぼの~~。
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